高度にお勉強な二人・・・ お一人からメールです。

2009年12月17日
カテゴリ : 多読, 聞き読み, 多読的シャドーイング
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もう何度かおなじタイトル名で登場していただいている I さんと M さん--
きょうはひさしぶりにお二人そろって現れて、ともにうれしい感想を聞かせてくれました。

その M さんのほうからメールをいただきました・・・

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酒井邦秀 先生
 
こんにちは。いつも大変お世話になっております。
今日は、私の多聴の経過について連絡さていただきます。
私は、今年の8月から音声の教材を使用して、主に聴き読み
シャドーリーディングを行っていました。

このあたりが I さんと M さんはとても素直な感じなのです。
つまり、電通大に現れる前は超弩級の「お勉強な人」で、
にもかかわらず実にあっさりとお勉強を捨ててしまったのです!
その落差はとてもめずらしいと思われます。

しかし、困ったことに私には一つ問題がありました。それは、スクリプトがあれば音について発音してゆけるのですが、スクリプトなしでシャドイングをしようとすると途端に音声についていけなくなってしまうということです。

そこで先日、酒井先生にこのことについて相談させていただきました。
そして、なぜ私がスクリプトなしでは音についていけなくなってしまうのかが分かりました。最大の原因は、私が聴き読みシャドーリーディングをする際に、スクリプトに頼りすぎていたということです。
私は、耳から入ってくる音を意識して繰り返そうとするのではなく、
音に合わせてスクリプトを正確に読もうとしていたのです。
音声に意識を向けて音についていくのと、音に沿ってスクリプトを
目で追いながら音読するのとでは、一見それほど大差がないように
思われます。しかし、決してそうではありません。
前者は、あくまで流れてくる音声に忠実です。ですから、シャドイングを
継続すればおのずと自然な発音に近づいてゆくことができます。
それに対して、後者は音以上に視覚的なセンテンスを頼りにしています
から、どうしても発音が極端形になってしまうのです。
酒井先生がいつもおっしゃっているように、音は無限通りに変化します。
センテンスには書いてあっても、音はいくらにでも
変化して消えてなくなってしまうものもあるのです。ですから、いくら文章
に忠実であっても自然な音声を発話することには結びつきません。
最終的な目標は、あくまで自然な音声を発音することであるわけですら、
流れてくる音声そのものに意識を向けなければならなかったのです。
これが、私にとっての大きな発見でした。

↑ この違いはなかなかわかりにくいのですが、M さんはよくわかってくださったよう
です。

「聞き読みシャドーイング」には一つ危険があって、耳で生の音を聞きながら、
音読しています場合があります。つまり、せっかく耳から入ってくる音を無視して、
カタカナ英語または極端形の音で繰り返すわけです。

そしてもう一つ、先生から大変ありがたいアドバイスをいただきました。
それは、最初からパーフェクトな発音を目指すのではなく、最初はモゴモゴ
でいいので、徐々に流れてくる音声に近い発音にしていけばいいということです。私は当初、正確な発音をすることをとても心がけていました。
しかし、このことがかえってシャドイングをスムーズに進める
ことの妨げになっていたのです。初めは、モゴモゴでも途切れずに音についていくことが大切だったのです。

そうです。極端形を知っている人も、発音の練習などしたことがないという人も、
シャドーイングの最初の目標は「モゴモゴでも途切れずに音についていくこと」です。

そこで、酒井先生のアドバイスをもとにして、私なりのやり方を考えまた。
まず、スクリプトに頼らないようにするために、まだ読んでいない
音声付きの本で、音声のみのシャドイングに挑戦することにしました。
また、極端形の発音が出てはいけませんから、ICレコーダーで通常の
二倍の速さで再生してシャドイングを行いました。
以下、二倍速のシャドイングで、私の中でどのような変化があったかを
述べさせてもらいます。一日の練習時間は30分から2時間くらいです。

M さんはみずから劇薬をあおったのですね。現代のソクラテスと呼びましょうか?

で、ここがおもしろいのですが、ほとんど同時に、わたしは I さんにも
2倍速のシャドーイングをすすめていたのです。

1日目
Roald Dahl の "Matilda" を使用して二倍速のシャドイングを実行。
かなりのモゴモゴです。しかし、ほとんど途切れることなく進めることができました。そして、とても驚いたことに20分間モゴモゴのシャドイングをした後に二倍速のリスニングをすると、音がとても明瞭に聞こえるようになったのです。意味の理解はまだできませんでしたが、二倍速の音が鮮明に聞こえてきたことには感激でした。おそらく、短時間ではありましたが、モゴモゴのシャドイングをすることで耳が速い音声にもに順応したのではないか思います。

だれにでもすすめるわけではあありませんが(向き不向きがあるので)、
「ふ~ん」さんがはじめた倍速計画は場合によってとてもうまくいくことがあるよう
です。M さん、 I さんの場合がそうですね。

2~3日目
シャドイングだけではストーリーが分からなくなってしまうので、一章シャドイングが終わるごとに、同じ章を二倍速で聴き読みする(本文を見ながら聴く)ことにしました。二倍速でも物語の進行に必要な内容は十分理解できました。うまくいけば、チャプターによっては一度シャドイングをするだけでだいたいの話の内容が分かる箇所もありました。
 
4~10日目
最初の三日間は、とても集中してシャドイングを行っていましたが、4日目以降は余裕が出てきてあまり音に集中しなくてもモゴモゴでシャドイングができるようになりました。それ以降、日がたつごとに明らかにモゴモゴから英語の発音に近づいていることが実感できるようになってきました。

うわー! 幸運でしたね!!
そんなに早くモゴモゴから英語独特の音になっていったなんて・・・
その上、それを実感できたというのはもっと幸運だったかもしれません。

11日目
"Roald Dahl's Revolting Rhymes" を同じく二倍速のシャドイングで行いました。モゴモゴはだいぶ抜けてきました。一度で意味が理解できる部分も多くなってきていることが分かります。
 
モゴモゴシャドイングを始めるまでは、通常の速さでもシャドイングをするのは大変難しかったですが、今では二倍速が私にとっての快適な速さになりつつありす。酒井先生は私の英語に革命をもたらしてくれました。心から感謝しています。今後も、この調子でシャドイングを楽しみたいと
思います。本当にありがとうございました。

前にも書きましたが、M さんと I さんには思いっきり劇薬処方をしてしまいました。
幸いお二人とも劇薬に耐えて(?)見事にお勉強から脱皮しつつあります。
これからの二人の変化にご注目を!

またそのうち報告があることでしょう。楽しみにお待ちください!