多読的受験報告 「NEO」さんの場合

2010年4月11日
カテゴリ : 多読, 多読的リスニング(多聴), 聞き読み, 多読的鑑賞, 多読的シャドーイング, 多読的おしゃべり, 多読的ライティング, 多読と受験, 多読支援

「そふぃ」さんの例もあって、現在多読的受験対策についていろいろ考えている
ところです。

そこへ、いままでに何度も途中経過を報告してくださっているNEOさんが
ご自身の多読的受験支援について、メールをくださいました・・・

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Aちゃんと、S君を支援してみて自分なりに見えた事を書いてみました。

あくまでも一例としてです。

そうですね。
「ひまぞ」さんが「みんなの広場」の掲示板で書いていたことに近いと思いますが、
わたしにとっては、多読はこれまでも、これからも、一例一例の積み重ねですね。

自主性について

酒井先生の基本理念と、姿勢に感銘を受けて多読支援をしていますが、これって一番難しいことかも知れません。自由に、好きなように、楽しい、それを追及していきましょう。言い換えれば、受身でなく自主性を重んじているかと思います。

受身に慣れているし、人任せの方が楽な事もあり、自主性・・・自由、思うがままに、楽しいを追及するっていうのは、ゴールの保証を誰もしてくれないので踏み込めない人の多いかと・・・・

そのようですね。
学習法のように、TOEFLやTOEICや通知表の点数でゴールを示してくれないと
不安なのでしょうね。

自主性 というのは、本当にいちばんむずかしいことでしょうね・・・
(だから、わたしは村に集まる人たちに、乾杯!)
そこで、多読をしながら何度お不安に駆られる・・・
受験時となれば、不安はさらに膨張するでしょうね。
膨張して当然です、ほかにだれもやっていないこと(少なくとも学校の友だちは
だれもやっていないこと)をやろうというのですから。
そこで高校生が不安をぶつけてくる・・・

高校生は、レッスン内の会話で色々とぶつけてきますが、私の揺るがない信念が後押しをして、それぞれが走ってる状況になっていきます。、私の支援の仕方は従来の学習を捨ててもらう。それに対する不安を取り除く。多読にはまってもらうのが大事であり、そうなるには、支援する側が多読によって変わった自分、豊かになった自分の経験を伝えられるか、感動を伝えられるか・・・(だから、たくさん読んでいないとダメ)  これが備わっていなければ多読支援なんて上手くいくはずがない。

うーん・・・ なんとも言えませんね・・・
むずかしげなことばで言うと、ここまでの認識に達する人は稀でしょうね。

そしてそれというのも、NEOさんが多読をはじめ徹底的に疑っていて、
                         ( ↑ ただしい姿勢です!)
にもかかわらず少しずつご自分の体験を通して納得してきたからでしょうね。

多読にはまってもらい、そこから、もっともっと、面白い、興味がある事に広げていくのですが、その中で基本となるのは多読3原則。

多読3原則は自立、自主性への道だと思います。

1、辞書を引かない。

2、分からない言葉は飛ばす。

3、面白くなかったら捨てる。

これって、自分の判断に任されていますよね。そこから踏み込んで細かく言えば、私の中では・・

和訳をしない。和訳をしないでイメージ画像を頭に流す。

単語一つ一つの意味なんか気にしないで文章全体を感じ取る。そうなるには単語、熟語の暗記をしないのが大事。

構文なんて無視。(こんなのをやってしまうから、必死に組み立て作業から入り日本語から英語にした変な文章になったり、話せなかったりする)

文法? これは中学程度のお作法はいる。生徒と8年つき合わせてもらって必要なルールが分かるようになりました。多読をしているなら文法も英語でやりましょう。

わたしは先日山形講演会でNEOさんの生徒を見ました。
NEOさんがどれほど「実感、体感、気持ち」を大事にしているかを見ました。

最低限のルールが入ったら、話す、書くをしてみて疑問に思った場合に、ルールを調べる。それだけで文法の勉強なんて必要なし。

多読で溜まった語彙を使いこなすには・・・・(暗記をせず、単語集を使わず)私の生徒の場合は、ボキャブラリーインユーズによって自然な使い方が身についたと思います。単語、熟語を暗記するならこのワークをした方が良い。多読・多聴・ドラマ系でも語彙を使いこなせるようになるけど、生徒の人生がかかっている目標がある場合、時間が足りない。生徒が気楽にやれる段階になって、自分がしたいと思えば、これは言葉をクローズアップして言葉のニュアンスが分かるから語彙に対するストレスが減るかも。

Vocabulray in Use の Elementary はNEOさんと「雫」さんのおすすめで、
わたしは一気に3冊も買ってしまいましたが、大学ではいまだに使う人が
現れておりません。今年度はもうちょっと強く言います!

音に関しては・・・・・

シャドーイング、チャンツ、歌、聞き読み、映像系、気楽にやれる事をしてみる。ストレスがたまる事は排除。気楽に言えるのをやる。

↑ この「気楽さ」、NEOさんの教室の真骨頂でしょうね。

話す、書くに関しては・・・・・・・

多読と同じでやさしい、簡単、考えなくても言える、書けるから始める。ここで教材を利用したりするのですが、自分の事を表現するのに当てはまらない文章は全て飛ばす。暗唱や文章を書いて覚えようとしないのが大事。簡単な事から初めていって、量があれば自然に入っていくのです。やさしい事がぽんぽん出ないようでは難しい事なんか話せるはずがないでしょ?

↑ の最初にある「多読と同じで」というところに注目してください。

ここで、大きなポイント、しつこいけど・・・・・・・

それは、これらを可能にするには・・・多読を楽しんでたくさん読んで吸収していくのが大前提。

多読をしている生徒は、どんどん心が豊かになって(読書により)、興味が広がってどんどん質問が増えてきます。そうなれば自主的に走っている状況に自然になるのです。

多読から「自主性」へはストレートに、素直に、切れ目なくつながっていると思います。

さらに、外国語が自分の興味や関心とそのままつながって、
吸収も発表もごく自然に起きはじめるようですね。

先日、Aちゃんがはっきりと言っていましたが、自分の変化をたくさん感じていたそうです。単語や熟語の暗記、文法もしていないけど、多読とここでやってきたことで語彙、文法も構文のようなスタイルもちゃんと整った。そういう変化がたくさんあったそうです。構文なんか無視した方が、自然な言葉の重なりで表現できるようになると思います。これは多読などで自然な英語にたくさんふれているからです。その感覚を大事にした方が良いと言うことです。学校英語に関しては単語テスト、定期テストは忘れるを前提に直前に詰め込んだだけだそうで平均点もしくは、追試にならないようにしていたくらいだそうです。

Aさんは学校英語が得意なところから多読に入っていった人です。

わたし風の解釈をすると、Aさんは自然な英語をたっぷり吸収して、
学校英語が壊れていくのを実感したのでしょうね。

本人も徹底して、こちらの英語で学習と言うより、楽しくて、どんどん吸収していって、大量な量をいつのまにかしてしまったようです。

Fluently Over Accurately が、まずは、何よりも大事で、Lazyにやっていった方が多読支援は上手くいくようです。例えば、合わないな~、つまらなさそう、自分の事を表現していないパタンードセンテンスなど・・・すぐに引っ込める、無視。暗記しなくてもそのうちに染み込むさ~くらいの気楽さでもなんとかなる。(多読をしていれば)

で、Accruatelyが次にステップだろうけど、AちゃんとS君を見ていると文法をしなくてもちゃんと整ってきています。自然に。(高1になってからはほとんどしておりませんが、学校英語で?となったらグラマーインユーズでその箇所をコピーしていました。それも高1まで)Aちゃんは書いた文章を学校でネイテイブにチェックしてもらっていましたが、そんなに直されませんでしたから・・・・この辺は、ボキャブラリーインユーズで文法面を補っていたような気がします。

そうですね。いままでのわたしの観察では「量が質に変化する」ようです。
たくさん書いているうちに文法も整ってくる・・・

  (なお、急いで文法を整える必要がある場合は、英語国の文法書や問題集を
   やるといいでしょう。ドーピングですが、害は日本語の文法書や問題集に
   くらべて、はるかに少ないでしょう。)

あえて、Acuratetlyで言及してみると・・・ネイテイブにチェックされるのは、時制、A, The,  複数、単数が多いです。この変の感覚は日本語にはないので、多読によっ てイメージがちゃんと出来上がってからクリアーできる感覚で学校英語では無理だろうな~と思っています。

はい、そうですね。学校英語ではとても対処しきれないでしょう。
なにしろ触れる量が少なすぎるし、(むずかしすぎて)吸収量はもっと少ないし、
しかもすべて日本語に直すのですからね。

なお多読っ子の先頭を走る「リボン」さんも、最初に Oxford Reading Tree の
The Lost Teddy にお話をつけたときは時制に日本語の特徴が出ていました。
その後どうなったか、つまびらかにしませんが(くわしくはわかりませんが、の意)
リボンちゃんのような例がたくさん集まれば、Accuracy に関してどういう支援を
すればいいかも、はっきりしてくるでしょう。

最後に、やっぱり、多読だよ~。それも自分が好きな本をたくさん読みましょう。楽しい、好き、面白いと思える本を読む場合、とてつもない吸収量みたいですよ。こういう場合、質が量を超える事もあります。多読を原点に色々と広げてみたら、こうなっちゃったという例でした。

もう、何も付け加えることはありません・・・

ありがとう、NEOさん!
これからも Aさんの様子をお知らせください。
Sくんの様子はぼくの方から報告かな?

あ-、若い人たちが、素直な外国語を身につけていきますね!