(毒)ドアをノックしないとき・・・
2009年10月28日
カテゴリ : 多読
タグ: 多読的精読
「やさしいことばをたっぷり吸収すること 連載第二回 多読的精読篇」で
office を 「事務所」と訳してしまうと劇的な場面がちっとも劇的ではなくなって
しまう、という話を書きました。
劇的=異常?だということを示していたもう一つの手がかりはCatherine が
Wim の office にノックしないで「乗り込んだ」ことでした。
きのうの夜布団の中で Michael Connelly の Lost Light を読んでいたら、
(そうです、まだ Harry Bosch を読んでいるのです・・・)
まさにノックしないで乗り込む場面が出てきました!
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あの記事の中で、わたしは
office なんていうことばは絵本や児童書にはほとんど出てこないと
思うので、絵本や児童書や「officeの出てこない本」を多読してきた人は
office=事務所 と受け取って、劇的な場面だと気づかなかったかもしれません。
と書きました。
つまり 「office≠事務所」 だとわかるには、office の出てくる物語を
たくさん読んだり、見たり、聞いたりする必要があるということですね。
そしてそういう物語はきっと児童書よりは大人向けのペーパーバックに多いこと
でしょう。
ノック はどうでしょう? 部屋に入るときにCatherineがノックをしなかったことが
異常なこととわかるにはどういう物語を読んでいるといいのか?
たとえば Harry Bosch なわけです。
..... There were doors for the rest rooms and then a door marked "Management Only." I didn't knock. I just went through and it only led to a continuation of the hallway and more doors. The third door down said "Linus" on it. I opened that one without knocking, too.
実はこの場面はこれ以上書くとネタバレになる重要な場面であり、
劇的な展開の場面です。
そこでは ノックしなかったこと、ただ went through したことが強調されて
います。13語の例では office に walked into したのでしたね。
どちらもまさに「乗り込んだ」わけです。
こんなのが「多読的吸収」です・・・