音寄りの人、文字寄りの人 「kiwi」さんのお便り
2013年5月 3日
カテゴリ : 多読, 多読的リスニング(多聴), 聞き読み, 多読的シャドーイング, 多読的ライティング, 多読支援
タグ: 劇薬シャドーイング, 多読的シャドーイング, 聞き読み, 音寄りの人、文字寄りの人
きょうある人から「音寄りの人というのはわかるけれど、文字寄りの人っているんですか?」と聞かれて、わたしは「あ、そうだ、なんだかずいぶんいい加減に「文字寄りの人」と言っていたと気がつきました。(ある人、ありがとうございました!)
文字寄りの人、あるいは「文字の人」についてはまったく考えてこなかったので、何も書けませんが、かといって、「ことばはもともと音」という点については、わたし自身まだ骨身にしみてわかってはいなかったと思います。
そこへ、Ai さんのお便りです・・・
*********************************
Kiwi さんは a と the についての先生の説明が分からなくて悲しい思いをした H ちゃんのお母さんです。その記事は ここ 。
一連の聞き読みの話について。
幼稚園や小学生から多読を始めるという時、聞き読みが大前提なので、聞くことが大切だというのは私の中では当たり前だったのでまず驚きました。
聞き読みで本を読んでいると、かなり難しい表現の本でも読み取れるようです。
私のところでは多読を取り入れて3年は経っていますが、子供は無理をしないので、同じ年齢でも読む本は本当に様々で、本好きの子はGraded readersではなく、1000語位の絵本を楽しむようになっています。かと思うと、3年経ってもORTのStage2を飽きずに読んでいる子もいます。
全て聞き読みで、自力読みに移行しようとする子はまだいません。
H がこの前100万語を超えましたが、ようやく最近、音が遅すぎる、と言って、自力読みを好むようになりました。ただ、長めのPBは音付きでないと読まないです。
S は、ORTのStage3までは音無で読むのが好きですが、4以上は音がないと読めない(読むのがめんどくさい)ようで、音付きだとstage8、9が楽しいようです。
「音”も”大事だ」という話が、私には当然過ぎて驚きました。
はい。「音も大事」なのではなくて、「音が大事」ですよね。
こどもは三原則なんかなくてもだいじょうぶ。
そして、音から新しいことばに触れていきます。
このところよくこのブログに登場する T さんの英語教室では、同時期に読み聞かせからはじめたこどもたちよりはるかに遅れて、4年かかって自力読みをはじめた子がいたそうです。
シャドーイングに関して、私自身、独眼竜さん同様、シャドーイングが嫌いです。
読むときにシャドーイングすると、そっちに神経が行ってストーリーにのめりこめないからです。
オフ会で会った「とり」さん(?)と話をしていたら、彼はシャドーイングが大好きだそうで、理由は、シャドーイングをしていて内容がわかった時に気持ちがいいから、だそうです。
コーチングの手法で、人間は4つの優位感覚に大きく分けられ、それぞれの感覚に大きく頼って情報を得ている、というのを知ってから、全ての人に万能の勉強法、習得法はないと考えるようになりました。
ほー、そういうとらえ方もありますか! なるほど・・・
視覚、聴覚、言語感覚、触覚の4つのどれか、あるいはミックスでそれぞれ優位な感覚があります。
生徒さんを見ていて、触覚、言語タイプは多読に向いている気がします。絵からたくさん情報を得て、豊かに情報を得ている感じ。
視覚タイプの子は文字に頼るので、リスニングが苦手。文字を見ないで絵だけ見て聞き読みするようにしてもらったら、少し耳も慣れてきました。
ん? そうすると視覚タイプが「文字寄りの人」?
私は聴覚タイプなので、自分のシャドーイングの声が邪魔なのかな、と思っています。聴覚タイプは邪魔な音があると集中できません。
それぞれの感覚が違うので、私も独眼竜さん同様、一斉にシャドーイング、とか、強制するのはやりたくないです。
きっと苦痛な人がいるはずで、それこそ「楽しむ」から外れそう。
NPOの講座では、劇薬シャドーイングはいやだ!という人がいて、その人はやっていません。(ついでに言えば、ブックトークやフリー・ライティングも話題によっては苦手という人がいて、そういう人たちはそれぞれ「嫌なこと」は無理強いしていませんね。おお、さらについでに言えば、不得意そうだけれども、無理強いする場合もあります。多読支援は相手次第で複雑なのです。)
ただ、中学生が受験の時は、リスニングに役立つからシャドーイングやってごらん、と勧めはしました。
というようなことをつらつらと考えつつ、やはり、多書、多話は、多読多聴と絡めて、ぜひやっていきたいと思っているところです
はい、それがよいかもしれないと考えています。福岡女学院の「さめちゃん」の報告でもいわゆる4技能すべてについて多読の考え方を利用してよい変化が起きているようです。文字寄り、音より、シャドーイング好き、シャドーイング嫌い、聞き読み派、黙読派--いろいろいる人たちのそれぞれの時機をつかんでいろいろなやり方を組み合わせたいと考えています。
Kiwi さん、報告をありがとう!