「レーヌ」さんからのメール!
2009年7月16日
カテゴリ : 多読
タグ: 多読の届くところ
多言語、世界史クラブで勇名を馳せているレーヌさんからメールをいただきました。
わたしはどんな小さく見えることでも大きくして語れる、手品師というか、
大法螺吹きというか、誇大妄想狂というか、まあ詐欺師みたいなものでしょうか・・・
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酒井先生、こんにちは。多言語マニアのレーヌです。
4月に数冊ミステリのペーパーバック(現物はハードカバーですが)を読んで以来、英語は読んでいませんでした。先日、Princess Diariesの9巻と10巻を読み始めました。3日で読んでしまいました。
ブランクがあると多少はとまどいがあるかと思ったのですが一切なかったです。停滞かしらと少し思っていたのですが、必要だったのは面白い、読みたい本だけだったようです。
4月に読んだ本はDavid Handlerの、10万語近くあるかなというミステリで、翻訳も読まずに4冊ほど立て続けに読みました。そのあと英語を読まなくなっていたので、疲れたかなと思っていたのです。Handler自体、もう2、3冊残っていてしかもすでに買ってあったので、疲れていなかったらそれを読むはずだと思ったのです。実際は、多分、話の内容の重さに疲れていたのではないかと。結構本格的に推理もやるミステリで、心理描写も重かったですし。
Princess Diariesは2冊合わせて20万語ぐらいで、しかも読み始めて二日目は10万語以上は読んで頭痛がしていたぐらいですから、英語を読むことに対するストレスはなかったと思われます(日本語で頭痛が出るには、文庫本が5冊は必要なので、さすがに頭痛が出るのに必要な分量は英語の方が少ないようです)。フランス語は読んでいたとはいえ、英語が2ヵ月半ぶりだったので、もう少し波に乗るのに時間がかかるとか何かあるのではと思っていたのですが、最盛期と全く変わりがなかったです。英語で読んでいるという意識もあまりなく、とにかく読みたい面白い本の続きが気になって仕方がありませんでした。
多読だと間が空いても英語力が落ちた気がしないという話は聞いたことがありましたが、ここまではっきりと体験して、さすがに少し驚きました。
語れば語るほど騙りになると思われるので、ここはぐっと抑えます。
大風呂敷:
多読はどうも心や頭や気持ちの奥の方まで届くのではないかとわたしは推測して
います。
その根拠は何人かの人たちに起きた変化、そしてレーヌさんの今回の報告のように
中断や停滞の影響を受けにくいという報告です。
(それにしても3日で20万語とは!)
また大学の授業でも、2ヶ月間の夏休みのあと、後期の授業がはじまって
2週間もすると学生たちは夏休み前のペースに戻ることができます。
そうしたことはどれも、多読による外国語の吸収は表面的なものや、頭だけで
「覚えた」ものではなく、読まなくなっても消えないところで起きていることを示して
いるような気がするのです。いわば物語とともに、世界とともに体に吸収された
「知識」は自らの命を持ち、心の土の中で芽を出す日を待っている?
SSSの掲示板でも、こども式の掲示板でも、tadoku.orgの掲示板でも
わたしは中断期間の長さに注目してきました。時がたつにつれて次第に長い
中断期間が報告されるようになり(当然ですが)、現在わたしの覚えている
最長は2年半です。
学習書や文法書や単語集や単語カードで覚えた知識は
どのくらいの命でしょう?
とまあ、例によって我田引水ですが、レーヌさんのメールで多読に信頼を置く人
が増える、あるいはこれまでもおいていた信頼が深まる場合があるのでは
ないかと思います。
レーヌさん、非常に説得力のあるメールをありがとうございました。
またそのうち、ひょっとして英語と日本語で頭痛のするまでの冊数がおなじに
なったり(?)するかもしれないので、報告をお願いします!!