「語彙力」について・・・ 「Julie」さんのブログから 大胆補強版

2010年3月31日
カテゴリ : 多読, をさなごのやうに
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この定義を村の掲示板で読んだとき、びっくりしましたね。

いわば 裏から 語彙力を定義してるわけで、
一瞬なんのことかわからなかったのだけれど、
よく考えるとわたしがいつも強調している「内容語と機能語」にそのまま通じる!

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内容語と機能語のことは何度書いても、なかなかみなさんから意見や感想が
聞けません。それは無理ないとわたしは思っています。
いわば相当な蘊蓄ヲタクでもないと、そこまで奥深く、袋小路を極めるみたいな、
(いや、この場合は「窮める」というべきか?)受け取り方はできないと思います。

第一、語彙増強なんてことを初手から考えもしない多読仲間はまったく考えなくて
いいことですからね。 感想がないのはごく自然なことです。

さて、tadoku.org の掲示板に書いたことですが、
気に入ったので、こちらにも書きます。



語彙力とは、未知語があってもその本が読めるとき、
その単語以外の単語の語彙力がある、ということ。




たとえば。

多読をはじめたばかりの頃、はじめて聞く名前や地名がでてくるたびに
「これ、なに???」
と、いちいちびっくりしませんでしたか。

「なまえかなあ?
なまえでいいのかなあ??
……
どうも、なまえでいいみたい??」

と、落ち着くまでに、しばらく読み進めないと
納得できなかったりして(笑)。

それが、今は、読んでいてすんなり入ってくる。

そうだとしたら、未知語(この場合は名前)以外のところの
地の文章を読む力があがったのでしょう。

あえて未知語のある文章を、
わからないところは飛ばして読むと
その単語以外の語彙力が育ってくる、のでしょうね。

人の名前や地名は内容語の最たるものです。
それに対して機能語はほかの語と語の関係を示すだけで、
その語自体の「実質」はありません。

   (例によって、実際にはどちらともつかない語がほとんどです。
    また同じ語があるときは内容語風に、あるときは機能語風に使われます。
    たとえば have などは「実際に手中に持っている」ときは内容語に近くて、
    have been drinking なんていうときは機能語に近いわけです。
    文法用語が常に矛盾を孕んでいる好例ですね。)

Julieさんの挙げている「人や場所の名前」を内容語と読み換えれば、
増強すべきはどちらかといえば機能語だ、
長い綴りの内容語は機能語が増強されれば自然にわかるようになる! 
と言えるわけです。

もっともいまはまだはっきり言い切れません。
何例かは裏付ける例が見つかっていますが、
はっきり言い切れるまでには至っていません。

なお、機能語は I とか、me とか which とか、in とか before などですからね、
ほとんどのみなさんが見たことがあるはず。

「そういう単語なら知ってるぞ、それを増強ってどういうこと?」という当然の疑問を
お持ちの方は、「そふぃ」さんの「多読的受験報告 1」も参考になるかと。

つまり「語彙増強」には「基本語」を絵本や映像とともに吸収する、あるいは実生活
の中で吸収する。

またしても「多読のパラドックス」が見つかりましたね。

追記
特定分野の非常に専門化した語や(基本的な語の専門化した使い方)については
暗記もいいでしょう・・・というようなことをかつては言っていましたが、
いまはそうは考えておりません。

そうした語は、その方面について日本語の専門知識があり、
かつ基本的な語についてちゃんとした理解があれば易々と推測できると考えます。

ちょっと前まで、わたしは、英和辞典は翻訳家以外には必要がないと言ってきました。
そういうわけでいまはそうは考えておりません。

しかも英和辞典は訳語にせよ、例文の訳にせよ、日本語が極めて
不自由なので、いよいよ英和辞典はなくてよい!

英和辞典を抱えて放せないような翻訳家は修業が足りない
(つまり英語と英語の世界の理解が足りないか、専門知識が足りないか、
その両方)ですね。

翻訳家に○和辞典はいらない! これも多読のパラドックスでしょうか?
いや単なる常識だとわたしは思いますが・・・

あ、Julieさん、お仕事しながら「修業」を続けてくださいね。
わたしのいう意味で修業のいらない翻訳家は、いまのところ日本にはいない
ようなので、ご心配なく・・・

  (とはいうものの、希望は忘れずに持っていたい・・・)

Julieさんの元の記事は

http://paperback.blog10.fc2.com/blog-entry-1595.html

です。