多読向きな(?)人たち
2010年2月21日
カテゴリ : 多読, 多言語tadoku, 日本語多読研究会, 学校訪問
タグ: 多読支援, 学校訪問, 日本語多読, 日本語多読研究会, 村営国際空港, 英語育児
多読は英語だけではないわけです、何度も書いていますが。
で、日本語の多読教室でも、英語の場合とよく似たことが起きているようです。
どんなことが起きているかというと、多読は学校的には優等生じゃない人たちに
大歓迎されることがある・・・
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わたしも日本語多読研究会の会員ですが、同研究会はときどきブログで
日本語多読の様子を報告しています。たとえば、
1月27日 多読自主講座
長い間、日本語学校での多読授業記録を書かずにいました。
久々にご報告します。昨年秋の選択授業は5回で終了。登録は8人。前から継続している学生と合わせて十数人で行いました。卒業生が多読をテーマにドキュメンタリーを作ると言って現れ、撮影されながら、あっという間に終わりました。
でもその後、継続しているのは2人だけ。後の学生は受験勉強で忙しい、あるいは何かピンと来なかったのでしょう、戻ってきてくれません。
この選択授業でびっくりしたのは、台湾から来日したばかりの学生が、乙一の文庫本を持って現れ、次々に「告白」や、はたまた漫画を楽しんでいたこと。ドラマをたくさん見て、日本語を独学で勉強してきた彼女、かなり上級に思えるのですが、なんと、日本語を話したのは、10月に来日したときが初めて、というのです。まさに「多読多聴」の人だなーと関心。根掘り葉掘り、これまでやってきたことを聞きました。やっぱり、とにかくたくさんの日本語を聞いたり読んだりしているんですね。日本のドラマが好き!という思いで何十回もドラマを見ている。「愛」の力!?
おー、海外ドラマ!
台湾ではに日本のドラマが海外ドラマなんですね、あたりまえですが。
それにしても10月に来日したばかりで?
他にうれしかったのは、「私は漢字があまりできないので、だいじょうぶでしょうか」とおずおず参加したスペインのEさんが、「よむよむ文庫」で自信をつけて、レベル3まで読んで、「クレヨンしんちゃん」が楽しめるようになったこと。
残念だったのは、留学試験や能力試験が気になってしまって、楽しむ読書ができなかった学生がいたこと。「政経」の教科書を読んでいたなあ・・・。彼、クラスで成績はいいんだけれど。
さて、年も明けて相変わらず毎週水曜日の午後に本の「お店」を広げています。
最近は、「みんなの日本語」が終わったあたりの学生や中級前半の学生の参加が増えました。
Eさんは相変わらず「クレヨンしんちゃん」Yさんは初級だけれど、漫画もふりがながあればどんどん読めます。
同じくAさんも漫画大好き人間。特に野球漫画がお気に入り。
Eさんは「たかぎなおこ」とレベル4を行ったり来たり。
1年多読を続けてきたLさんはすごい。最近は新書や小説を読み切れるようになりました。
今日は、担任の先生から借りたという「外国人力士はどうして日本語がうまいのか?」
力士の日本語習得法に刺激されたようで、いま通っているスイミングプールの同好会に参加しようかなと計画を語ってくれました。
日本に住んでいるので、「外国語としての日本語」ではなくて、「第二言語としての
日本語」を獲得しつつあるわけで、そこは「外国語としての」英語やスペイン語を
日本で獲得するより有利でしょうね。なんといっても身の回りに「やさしい」日本語が
いっぱいある!
今日、初参加のKさんは、文学好き。来年は日本の大学の文学部に進みたいそうです。
難しいものから手を出すかと思ったら、素直に?レベル1の「ハチの話」から。読んでは、感想をちょこっと聞かせてくれました。
「浦島太郎」・・・「最後、ちょっと悲しい。子どもが読んで大丈夫?」
「すし」・・・「えー、これも寿司なの?」「最初は魚に米を入れて、米を食べなかった?面白いね」などなど。
「『菊と刀』を中国語で読んだんだけど、日本語版も買ってある。いつか読めるかな・・・」などと頼もしい発言も飛び出してなかなかいい感じで読み進めました。後で、Kさんの話をすると講師室の先生方がびっくり。
「へえ。Kさんはクラスではちょっと問題児なんですよー。みんなと一緒の作業ができなくて・・・」とのこと。「やっぱり、多読クラスが合うんだ~!」とも言われました。そう、そういう問題児?は案外、多読クラスにはまることが多いのです(私には全く問題児に見えなかったなあ)。ウェルカム、問題児?! 多読はマイペースでできる。わがまま三昧。試験もないし、先生も教えないし・・・。
続けてくれるといいのだけれど。長い目で見守っていきたいと思います。
「ウェルカム問題児?!」は多読のいろいろな面を象徴していると思います。
ちょっと深く探れば一人一人みんな問題児だと思うのです。
優等生は自分の中の問題児を押し隠して、先生や親の考える「優等生像」に
合わせているんじゃないでしょうか?
先生はそのほうがやりやすいからそちらばかり見る。
そのうち優等生は自分の無理に耐えきれなくなって、壊れはじめる・・・
おっと、「英語育児はいかがなものか」の話題になってしまいました。
元の記事はここです・・・
http://blog.canpan.info/nihongo-tadoku/archive/128
スペインから来たEさんは国際空港を手伝ってくれないかなあ?