勝手に歩き出さない場合・・・
2010年4月11日
カテゴリ : 多読, 多読支援, 多読のパラドックス
タグ: The Independent Learner, 多読支援
「みんなの広場」の掲示板で、多読三原則にどこまで頼るか、という話題を
みなさんに提案したところ、
http://bbs.tadoku.org/kb7.cgi?b=yayakoshiki&c=t&id=5608#a5608
たくさんの人からお答えをいただきました。
その中から、「勝手にやっていく状態にならなかったら」という「杏樹」さんの投稿に
わたしが返信した投稿を一つの覚え書きとして、そのままブログに残しておきます。
以下は掲示板からそのままコピーしてきたものです・・・
杏樹さん、こんばんは!
さかい@tadoku.orgです。>さかいせんせい、こんにちは。
>>>ですから先生が「勝手にやってね」と言ったか言わないか、が問題なのではなく、
聞いてなかったとしても、実際に語数を重ねていくうちに自然に好きなように、
勝手にやっていく状態になっているかどうかが問題だと思います。>>勝手にやっていく状態にならないのはどういう場合でしょうね?
>>杏樹さんはどういう場合だと思われますか?>まず考えられるのは、勉強意識が抜けないことでしょうか。
多読推薦図書を順番に読んでいくのが「正しい勧め方」だと思ってその通り読んでいく。これが最近登場してきた問題点のように思われますね。
「正しい進め方」があると思ってはじめる人たちは
おそらく多読三原則などはあまり意識していないのでしょうね。>あと、「つまらない本は投げる」と言われても、けっこうこれを実行するのは難しいです。
がんばって読んだらそれなりにおもしろいかも…とか、これからおもしろくなるかも…とか、
ここまで読んだら最後まで読まないともったいないとか。これは最初からあった問題点ですね。
途中で投げないための理由はいろいろありますからね。
がんばってしまって、疲れる・・・>それに多読で推薦されている本で、おもしろい本に出会えない。
だから「おもしろい本を読みましょう」と言われてもピンと来ない。
ピンと来ないままでもレベルの低い本なら読めるから読んでいく。なるほど。
ただ、おもしろい本に出会えないことを嘆く場合は
まだいいかもしれない。問題はおもしろい本に出会っていないのに、
読めるからというので、読み進めてしまう場合ですね。
これもやっぱり疲れてしまう。>多読がうまくいくのはまず本を読むのが好きな人だと思います。
日本語でもあまり本は読まない人、「お話」を読むのが苦手で
ノンフィクションの方がいい人、絵本や児童書が性に合わない、
逆にGRが苦手。そういう人は自分が「おもしろい」と思う本を
見つけるのは簡単ではありません。読書の好きな人がうまく行きそうなのは想像しやすいですね。
ところがそれがかならずしもそうではない場合がありそう。典型的には日本語の読書のレベルと、外国語の読書のレベルが
違いすぎて、楽しめないという場合です。
ぼくには手強いタイプの場合です。みなさん、もし「わたしはそうだったけれど、こんな風に楽しんだ」という
報告があれば、お願いします。ぼくの不得意な読書支援の助けになります!
>さらに、目標があるとそれに向かっていくことができます。
原書で読みたい本があるとか、ドラマや映画が好きで字幕なしで見たいとか。
目標本があったらキリンでもいきなり読むことがありますし、好きな映画なら
何度も見たりします。でもこれといった目標がなく、ばくぜんと
「英語ができたらいいな」と思っていて、でもがんばって勉強する根性もない。
そういう人が多読を知ると、最初は「自分でも英語の本が読める!」と喜んで
飛びついてうまく進み出したとして…。100万語とか200万語とか
達成したらそれ以上の目標が見えなくなってしまう。>結局「自由に飛び立てない」のは、モチベーションが低いのではないでしょうか。
英語で読みたい本がそんなにない、英語でやりたいことが特に思いつかない、見つからない。これもなるほど・・・ですが、
ぼくだったらそれを「モチベーションが低い」と表現せずに、
「満足している」と表現するでしょうね。
その状態で満足していないなら、やる手はきっとありますね。>でも見つからなかったら無理に多読を続けなくてもいいんじゃないかと思うんですけど。
>「多読はすばらしい」と刷り込みすぎるとマズイのはそのへんでしょうかね。
そう思い込ませてしまうと、多読がうまくいかなかったら挫折感を味わってしまう。
楽しくなくても無理に続けようとしてしまう。
>100万語とか200万語とか読んでも、何を読んだらいいかわからないなら、
「よくこれだけ英語の本が読めたね。今度は英語以外にも自分の好きなことを
見つけてみたら?」と言ってみることも有りじゃないでしょうか。ああ、それはぼくが上で言っていることとおなじですね、きっと。
加えて、「ほかの人があそこまで行ったのだから自分も」というような
「自分の外にある」目標やモチベーション(?)は挫折感の遠因になりそう。杏樹さん、ありがとう!
これは別のスレッドでしっかり意見を募集してもよかったくらいの
大きな話題でしたね。でも、なんとか、「勝手にやっていく状態にならない場合」の
整理がある程度できたような気がする・・・