「多読雑感」--いなぎ市プロフェッサー講座から・・・
2011年4月18日
カテゴリ : 多読, 聞き読み, みんなの集まり, 多読支援
タグ: 市民講座
各地で市民講座の花盛りのようです。
その中で東京の西南にある稲城市の「いなぎ市プロフェッサー講座」は
市役所よりも市民が中心となって大変な成功を収めていると思われます。
その詳細はウェブサイトを見ていただくとして、
きょうは昨年の1年前にはじまって月1回9月まで6回の「英語多読講座」に
参加してくださった清河さんのメモをご紹介します。
例によって、わたしのコメントが邪魔するかもしれません。
引用部分だけ読んでくださっても結構です。
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多読雑感
私は稲城市に住む67歳。昨年たまたま酒井先生提唱の「多読」にめぐり合い、以来英語を楽しんでいる。
英語とのかかわりは中学校から始まった。中学3年になった時、英語の成績のあまりの悪さを心配した親が、隣の親しい大学の先生に頼んで、英語をみてもらうことになった。
勉強法は辞書を引きながらの和訳が中心で、毎日30分の予習後、先生に15分程度みてもらった。
最初に与えられたのは「マッチ売りの少女」で1日10行程度から始まり徐々に増えていった。続いて小泉八雲の「耳なし方一」では毎日1ページに増えた。
高校のときは毎日予習に1時間、先生には15~30分ほどみてもらった。同じく小泉八雲の「怪談」、エドガーアランポーの「黒猫」さらにバートランドラッセル卿の「核」に関する書物などを辞書を片手に読み終えていった。
中学、高校を通じて辞書を引くという作業を延々と続けたお陰と思うが、大学に入って英語の授業があまりにも易しいのに驚いた。さらに教材に使われたのが、すでに高校の時に読み終えた物が多かったこともあり、英語に関しての勉強は殆どしなかった。
専門に入ってから英語の文献を読まされるようになったが、それまでの不勉強がたたって馴染めずに終わった。
結局、英語力は高校卒業時がピークで以後は下がるばかりだった。
清河さんの多読を見ていると、高校の時の訳読が見事に役立っている幸運な場合
のようです。(隣の先生にも恵まれましたね。)
(そういう人は非常に少ないのですが、まったくいないわけではありません。)
社会人になってからは英語に接する機会は殆どなく、稀に外国人のお客様からの電話や手紙に接することはあったもののその場合は輸出部門に対応を依頼すれば済んだ。
61歳の時、将来の「ぼけ」を防止するのに英語をもう一度やろうと思った。選んだのはスピードラーニングで通勤の往復を利用してほぼ4年間毎日聞いた。これは英語に慣れるという面でたいへん良かったし、外国旅行の時も結構役に立った。
65歳で退職した後、英語を飽きずに続ける面白い方法がないかといろいろ探した。
英語のサークルや外国人との交流サークルへ参加したが満足できるものではなかった。
たまたま、図書館でビデオを鑑賞した。英語字幕付で見たらなんとなく分かるではないか。これだ!と思った。字幕なしで見ることを目標に以後ビデオを見まくった。1週間に少なくとも4本は見たと思う。だが半年もすると見たいビデオが無くなってきた。
そんなこんなで一年ほど過ぎた時に稲城市の市民講座を知り、酒井先生の「多読」にめぐり合った。
「辞書をひかない」「分からないところは飛ばす」「おもしろくなかったら投げる(やめる)」という3原則はそれまで考えたこともなかった。斬新だった。
先生は3原則以外これといって指導されることはなかった。
「耳で聞いてなぞること。これで子供は言葉を憶える」というのが先生の口癖だった。
授業はCD付きの教本を聞きながら読んでなぞることの繰り返しだったが実に楽しかった。
訳読を一生懸命なさって、さまざまな英語学習に挑戦なさって、
それでも多読三原則や聞き読みシャドーイングを楽しいと感じられた・・・
それもすばらしいと思います。
市民講座は半年のコースで昨年の9月に終了。この時先生から多読村のことを聞き早速10月に参加させていただいた。
参加してみると実に多彩な方々が英語を楽しんでいるのに驚かされた。中学生・高校生から中年の方、70歳台後半とおぼしき方、さらにはお母さん達が子供連れで一緒に英語を楽しんでいた。
小学生はマンガ(勿論英語)に夢中で、その様子は私には考えられないことだった。
「だれでも多読サークル」の様子は初めて目にした人はだれでも驚きます。
「多彩な方々」--まったくその通りです。
(日本の奇観?)
多読村の最初は読みたい本(CD付)を自分で選び、教室の使用時間の1時間半をひたすらに読んで聞いての繰り返しだった。
思えばこの間、先生は私の英語力を観察されていたのだと思う。しばらくして先生から「これを読んでみたら?」と次々と奨められるようになった。
ロールドールの「The Twits」「The Witches」
「Fantastic Mr Fox and other Animals」
「Charlie and the Great Glass Elevator」
「George‘s Marvellous Medicine」
「James and Giant Peach」等々。
シェークスピア原作「ベニスの商人」「マクベス」のCD劇中劇。エリザベス1世の物語、アガサクリスチーの「ナイルに死す」、インガソルの「大草原の小さな家」、映画小説の「クイーン:ダイアナ王妃事故にまつわる女王とブレア首相の葛藤」なども奨められ、いずれも夢中で読み・聞き終えた。
ロイスサッカーの「ホールズ」は膨大な量でしかも読みスピードが極めて速かったが内容は面白く、この本のお陰で他の作品の読みが速いと感じることはなくなった。
たしかにわたしは清河さんを「観察」していたのでした。
そしてわかったことは、清河さんは英文和訳の能力が非常に高いこと、
にもかかわらず、飛ばし読みをそれほど苦となさらないこと、でした。
そこで、まずは「おもしろい本」を、ということで、ダールをおすすめしました。
案の定、次々と読んで、おもしろかったという感想でした。
ただ、英文和訳の能力が高すぎて、実は大きな問題を抱えてもいらっしゃった・・・
そこから滅多にない工夫がはじまりました。
すなはち、清河さんの 和訳 をいかにして減らしていくか・・・
しかし「ハリーポッター」は奨められて読んでみたものの、使われている魔法用語が難解でとてもついていけず3原則に基づいて投げてしまった。
その時の先生の反応は「それでよいのだ」だった。
この半年、多くの本を聞き読んだお陰で日本語に訳しながら読むことは随分減った。
それでも時々意味が分からず、読み返してしまった時、意識しなくてもどこかで日本語に訳しながら読んでいるんだなーと感じる。
先生は私が日本語に訳しながら読み、聞いていないかを常にチェックされている。
この3月、無意識に訳しながら読んでいる私を見かねたのか子供向けのミステリーを奨められ、これは殆ど日本語に訳すことなく読み進んでいる。一方、私が面白いと思うものはどしどし読むことを奨められ、現在はシドニーシェルダン(400ページもある分厚い小説だが)の展開がおもしろく夢中で読んでいる。
先生からは当面これを続けるよう奨められている。CD付小説、子供向けミステリー、シドニーシェルダンの3本立てで、この先とても退屈する暇などないと思う。
平成23年4月 清河記
この3本立てがいまのところとてもうまく行っていて、
*CD付きの小説で音と文字を馴染ませ、
*こども向けミステリーで 日本語に直さずにさらさらと読む癖をつけ、
*シドニー・シェルダンで 英語読書 の楽しみに浸る!
どれも心から楽しんでくださっているようで、またまた人生の先達は多読向きだと
いうことを証明してくださいました。
まだまだ「無意識に日本語に直していると思う」とのことですが、
少しずつ減っているということなので、これからいよいよ楽しみです。
考えれば考えるほど、多読支援はそれぞれの「癖」にどれだけ合わせて
お手伝いをするか、ということだと思いますね、こどもでも、おとなでも、自分でも。