多読と受験 Hくんの場合

2009年6月30日
カテゴリ : 多読, 多読と受験
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電気通信大学の学生の場合、こんなあっさりした例もあるということで・・・

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このHくん、第一、書き出しが成長したなあ! という印象です。
いま4年生で、大学院の入試対策にTOEICの点数を上げたい、
そこで昔受講していた多読を思い出して、3年後期すなわち去年の10月から
またわたしの多読クラスに出るようになったのですが、1、2年のときは
本当にいい加減に受講していましたね。

でも、電通大ではちょうど3年の後期くらいから、学生の目が澄んできます。
表情もどこか冴えてくる。自分が何を目指しているか、わかってきたという顔になります。
 

いつもお世話になっております、Hです。

大体、報告書(?)っぽいもの(?)ができました。
こんな感じでいいでしょうか?
何か加筆・修正点などありましたらお願いします。

紙での印刷は…なくていいですか?
本当はワード等でレポート形式にしようと思ったんですが
面倒なんでテキスト形式でそのまま書いちゃいました。

印刷、配布、改造、その他ご自由にどうぞ。

 


酒井さん英語報告書

・TOEICテスト点数変遷

年次 点 数 院試換算{ (SCORE-150)*5/29 }

1年 340点  32点
4年 630点  82点

・テスト当日の感想(今年)リスニングは分かるとこはまぁ分かったけど、
よく分かんないのも多かった。けど明らかに昔受けたときよりも集中が持続した。
昔受けた時は始めの方意外全く聞き取れなかった気がする。

リーディングは文法は全然分からず。フィーリングで。
ただ後で時間が足りなくなることは知っていたので快速で解いた。

長文は1つの長文につき問題数は少ないんだが、よく分かった。
っていうか読んでいて分かるので楽しかった。
分からない単語もあったような気がするがいつもの事なのであんまり気にならなかった。
やっぱり時間が足りなくなったので最後の解答欄6つ位Bで埋めた。

・テスト直前勉強方法(今年)

単語帳は買ったがつまらないのですぐやめた。
前々日位にTOIECの過去問題を解いた。
文法問題は解いたが解説がウザいので途中でやめた。
長文は時間がなかったので読んだだけ。

・酒井さんの英語授業歴と現状
1年の頃は前後期で酒井さんの授業を履修。
2年は前期のみ酒井さんの授業を履修。
2年後期と3年前期は教職と再履に追われたという名目で履修せず。
   一切本も読んでいない。
3年後期は履修。その辺りからなんか知らんけど本気モード突入。
4年(今)は自主的に来ている。
今の所は読んだ本の冊数は365冊。単語数は142,966位。

・読む本の種類
基本的にノンフィクションは嫌い。絵本が好きなので絵本ばかり読む。
字の小さい本もまた嫌い。そこそこ字の大きめの本を。
漫画は元々読むほうじゃないので読まない。
読む本の難易度は、今は800単語以上2000単語未満位で。
昔は1000未満や500単語未満を狙ってたくさん読んでいたきがする。

・読んだ本の履歴詳細
1年の頃は、4月だけで70冊越え。まず、LLLをレベル0からかたっぱしから読む。そしてLLL5まで読んで、ORTの方に転換。ORT1からまた片っ端からORT7まで読む。が、ORT7あたりで難しくなってきたのでLLL6に戻ったが難しい。難しくて眠いので後期は睡眠時間と化した。まれにレポートをやってる事も。
この頃はあまり持ち帰って読むことはしなかった。
最後の辺りでは平均400単語位で、YL0.6~0.7位の本を読んでいた。

2年の前期は、200~300単語位のを読んでいたようだ。あんまり記憶はない。

それから1年が過ぎて・・・

3年の後期は、300~1000単語位のを読んでいた。
この時は、春休みにちょくちょく学校に来て本を取替え、読んでいた。
授業では本を読むのは少なく、色々英語を書いたり、シャドウイングしたりしていた。シャドウイングする本は基本的に不定。
春休み中は基本的に読んでいたのはSIR2と少しのSIR3。

4年入ってからは、だいたい毎週3,4冊読んでいる気がする。
学校では基本的にLLLやORTを。家には適当な絵本を持って帰っている。
他にもゼミで使う英語で書かれた教科書や、研究用の英語の資料を読んでいる。難易度は2000行かない本で、赤かオレンジのシールの貼ってあるやつ。

・本の読み方日本語には訳していない。はず。
基本的に辞書は引かないし、むしろ持ち歩かない。ってか邪魔。
わからない所はあんまり飛ばしていないかもしれない。というか、
分からなければそのページを読み直す。それでもだめなら飛ばす。
つまらなくなった時は大抵眠いので寝て、後で再挑戦。
つまらなくなってもやめる事はあまりなかった。少しはあったけど。

・将来の夢
ハリーポッターを原作のまま読む。
英語の専門書をバリバリ読む。

・将来の夢のまた夢
TOEICとかの試験でほぼ満点。
外国人に電車の乗換え案内。
留学またはそれに順ずる何か。

1年間の多読クラスの最後にTOEICを受けることはわたしのクラス受講の必須
条件でした。

   (あまり点数に反映しないようなので昨年度から条件をはずしました。
    1年間あるいは2年間に読む量が少なすぎたのだと考えています。
    多い人で年間30万語くらい! 100万語も読む人は1年間に一人くらい。)

Hくんの1年生のときのTOEICの点数はわたしの授業を1年間受けた学生の
ちょうど平均くらいでしょう。(必須と言っておきながら集計をしていないので、
「平均くらいという感じ」にすぎません。)

くわしく読むと、自分から多読クラスに復帰したあとも、「いい加減な、勝手気まま」な
読み方は変わっていませんね。気ままなのだけれど、しっかり1冊の語数は意識し
ながら読んでいたのでしょうか? なおHくんの言う難易度は1冊の総語数のようです。
たしかにわたしは大学ではおもに1冊の総語数を使って「少しずつ1冊の語数の幅を
広げよう」と言っています。

さて、340点から630点までHくんは多読以外のことはほとんどしていないようです。
では、これが「多読の成果」を表すきれいな例かというと、そうは考えていません。
読了語数が少ないので、対応がうまくいっていないのかもしれませんが、
電気通信大学の多読の総語数とTOEICの点数はほとんど関係がなさそうです。

では、Hくんの例を持ち出して何をいいたかったのか?

Hくんと、もう一人よく似た人に?くんがいます。二人とも本当にやさしい絵本しか
読まなかったのです。二人ともわたしはレベルを上げるようにとは一度も
言いませんでした。

?くんの場合は特に極端でした。センター試験の英語の点数が
200点満点中90点だったからです。多読開始から半年で、やさしい絵本ばかり
1000冊ほど読み、最後の1ヶ月半はRainbow Magicシリーズを20冊ほど読んで
受けたTOEICの点数は390点でした。その2ヶ月後の点数は490点、3ヶ月後の
点数は580点でした。

つまり、わたしが言いたいのは

「やはり非常にやさしいことばを使った絵本には非常に大きな力が
 あるかもしれない」

ということです。

もしみなさんがセンター試験を試しに解いてみて、100点くらいの点数なら、
ほかのことは一切せずにやさしい英語で書かれた絵本を何百冊と読んで見ませんか?
そうするとTOEICの点数は600点くらいに上がるかもしれません。
(おっと、Hくんの受験準備は上のようなものですが、?くんは5月のTOEICの
直前に問題集を一ヶ月くらいやっています。)

ぜひどなたか、実験をお願いしたいものです。

なお、Hくんは15万語足らずしか読んでいません。
?くんもそのくらいか、せいぜい20万語から多くて50万語くらいでしょうか?

どうしてそんな少ない語数で二人ともTOEICの点数が上がったのでしょうね?
どなたでも、こうした例の解釈を提案していただけませんか?
材料となる資料が足りないかな?

今後もHくんは単位にならない授業に出てくると思うので、
夢の実現、夢の夢の実現に協力しようと考えています。