英語嫌い? 英語の授業嫌い? 第二報

2011年1月15日
カテゴリ : 多読, 多読支援
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「英語嫌い? 英語の授業嫌い?」の第一報 で紹介した「Tsubasa」さんの
メールはもともと多読お手伝いさんたちのメーリング・リストに投稿したものでした。

そこでわたしはこのブログで引用させてほしいとお願いし、
ついでに(?)なぜアインシュタインくんが 「文法や単語への拘り」を捨てたのか
尋ねました。

以下はそれに対する返信です・・・

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酒井先生のブログでのご質問について、
暫く考えていました。

彼と最初にしたことは、じっくり彼の
英語に対するグチを聞いたこと。酒井先生がおっしゃる通り、
少しでもかれの気持ちをほぐしたかったのです。


彼は
”英語は文法や単語を覚えて読む”ということしか頭にないし、
そうする以外ないと思っているし、それが別に
苦ではないからとりあえず覚えてきた。。。という感じでした。

「英語は文法や単語を覚えて読む」--これは世界の常識でしょうね。

何をわざわざそんな基本的なことを疑うのか?

でも、彼にとって幸か不幸か、彼の学校には文法的な授業のほかに
”長文”の授業があって、そこでは文法を駆使して、教科書ではない、
コラムや本の長文をどかどか読ませられるそうです。
テストはもちろんすべて長文。そしてその文章はあまりに難しくて
覚えた文法や単語では太刀打ちできないようです。
どこぞの小説から文章を引っ張ってこられるため
対策の立てようもない。

 

長文の先生は
”この授業をきちんとやれば、高校を卒業する頃には
ネィティブレベルの文章だって読めるようになる”と
おっしゃるそうで。。。(どんなレベル・・・??)

だれがそんなことをできるようになるのでしょうね?

で、その強行的な授業についていけるのは
文系のトップぐらいなもので、
理系の人間の中には
”リア十”の人がいっぱいるそうです。^^;)

(通常、リア充とは、実生活が充実していることをさすそうですが
 彼らの学校では ありえない、リアルに10点なんかとってしまった!”
という生徒達の嘆きをいうそうです。^^;)

文系トップの生徒は「ついていける」かもしれませんが、
「ペーパバックをさらさらと読めるようになる」かというと、それはまずないですね。

わたしと一緒に一橋大学を卒業した同級生の中に、卒業までに英語の
ペーパバックを読んでいる人はいなかった。

  (わたしは読んでいましたが、さらさら ではなかったと思いますね。
   スタインベックの「エデンの東」を2ヶ月かかって読んだ時は、
   疲れ切った覚えがあります。

   文法なんかいくらやってもだめなんだ! という見本みたいなものでしたね
   わたしは。)

彼が言うには、
”英語は、
文法や単語をいっぱい覚えても
数学の公式のように実際の文章であてはまらないことが多いことが
許せない”んだそうです。
これ、理系の私の主人も全くおんなじことを言っていましたね~~。


私が
”そんなものは必要ないんだよ”と言ったとき
ものすごく不思議そうな顔をしたのを覚えています。

 

同時に、
”じゃあ、例えば、文法や単語覚えなんかしないで
読めるようになれるかもって、想像してごらん”って言ったときの
彼のものすご~~く幸せそうな顔も。
そして、
彼が”読めない”と言って机に置いた本を、
”うちの中一たちは単語練習も、辞書もなしに
それを読めるようになったよ”と言ったときの、
彼の驚いた顔も、
とても印象的でした。

うーん、とても素直な人のような気がする、アインシュタインくんは。
理屈で攻めたいのに理屈が通らない--それをどこかであきらめなきゃ
いけないのだろうけれど、Tsubasaさんの言い方がよかったんでしょうね。
あきらめ、切り換え ができたのかな?

そして、”普通、言葉って、目で見たり、音を聞いたり、感覚があったり、
そういうものを通して覚えるのに、文字と規則だけで覚えろって言うほうが
不思議じゃない?大変そうじゃない??”って聞いたときは、
妙になっとくした顔をしてくれました。

最近やっとわたしが重視するようになったことですね。

いまわたしのことばで言えば、ことばの根 みたいなもの。
そこがなければことばじゃない。 

要するに彼は、学校でいやというほど、
”文法や単語”だけでは通用しないという事実を
突きつけられていたからこそ、
多読をやってみるのもいいかもしれないって思えたんじゃないでしょうか。
困るのは、きっと、文法中心のテストしか受けたことがなくて、
そこそこいい成績を撮り続けてしまう人たちなんですね。
そういう人たちを多読に導くのは難しいでしょうねぇ。。。

むずかしいですね。英語の先生は特にむずかしい。
学校でいい点数を取ってきた人たちだから。

だから、そういう英語の先生の中で、「蓄積を捨てて」多読に踏み切れる人たちを
わたしは尊敬します。 

レッスンが始まって、しばらくはやっぱりつらそうでした。
だから、できるだけ、彼の好きな数学の話を聞きながら、
とにかく簡単で楽しい本を紹介し続けました。
宿題も別に出しませんでした。
もし、読めたら読んでおいでって、いくつか本を渡しましたが
強制は絶対しません。


また、”英語を読んで楽しいと思ったことがない”という彼の横で、
私も一緒に自分の読書にいそしみました。
楽しく読んでいる雰囲気を味わって欲しかったからです。
(グループレッスンだと、楽しく読んでいる子に
引きずられるっていうことがあるんですが。。)
1時間は彼と一緒に多読をしています。
時々、私の読んでいる本に興味をしめして
くれたりもしますね。
私も、彼とのんびり時間を過ごすことで、彼の好みのお話も
わかるようになりましたし。
みなさんが言うように、やっぱり多読は
生徒を良く見る。。。だと思います。

うーん・・・ いいなあ、そういう「先生」!

NEOさんの接し方とそっくりではないでしょうか? 

多読支援三原則が全部当てはまっているかな?

”多読指導は、先生が暇そうに見える”なんていう先生たちには
こんな授業はただの”さぼり”にしか見えないかもしれないですがね~~^^;)

三原則すなわち、「教えない、おしつけない、テストしない」!

そりゃ、「さぼり」にしか見えないでしょうね。
わたしも、「さかいさんは授業中にコーヒーを飲みながら廊下をふらふらしている」と
言われたことがあります。

メーリング・リストでTsubasaさんの投稿にもう一人、stepgrandmaさんが
返信を書きました。そこで・・・

長くなった上に申し訳ないのですが。。

Stepgrandmaさん、こんにちわ。
私の教室にも、どうみても、文法的なこと、暗記的なことは
苦手で、中学になったらどうなっちゃうかなあ。。。って
つい心配してしまう小学生がいます。せっかく本が大好きで、
すこしづつ読めるようになっているのに、つぶされちゃうのかなあって。。


でも、中一の女の子で、やっぱり文法的な考え、
暗記的なことが苦手な子がいるのですが、
(テストの成績は、文法のできる子には及びませんが)
昔から、ジャンルを問わず、色んな本に挑戦する子でした。
そして、最近は学校の成績が良い子より、長い本にも難しい本にも
手を出すようになり、先日ついにMagic Tree Houseにも
届いたんですよ^^。先週30分間、ずっと1巻を読んでいました。
私は疲れたら途中で短いのを読むといいよとアドバイスをしたんですが
耳に入らないみたいでした!!

この子は多読歴が長いので、同じ状況とはいえないかもしれませんが、
続けていけば、Stepgrandmaさんの生徒さんも
きっと伸びると思います。
学校につぶされないように、応援し続け、
来つづけてもらえるようにするのが
私たちの役目なんだなって
Stepgrandmaさんの報告を読んで思いました。

 

こういう生徒さんたちこそ、大丈夫だよって言い続けて、
一緒に長い目で応援していきたいですね^^

もう、なんとも言えませんね、こういう先生たち・・・

こどもたちも、先生たちも、がんばれー! 外の評価なんかに負けるな-!!