「英語育児」はいかがなものか・・・ 当座のまとめ

2009年11月12日
カテゴリ : 多読
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大学のある調布は「墓場の鬼太郎」の作者水木しげるさんの住んでいる街です。
そのせいか、先日の蘊蓄オフで日曜日に大学に来たら、正門からずっと奥まで
かなりの人が歩いていた・・・妖怪検定の試験日だった!

世の中検定ばやりです。英語検定、TOEIC、漢字検定、数学検定・・・
英語育児も乗せられていないだろうか?

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とりあえずのまとめとして、わたしの考える「英語育児」の具合の悪いところを
挙げておきます。

みなさんからのご意見ご感想は大歓迎です。

* 英語育児がうまく行かなかった場合

  -- 英語が嫌いになる。

つまり、うまく行かなかった場合はたいした具合の悪いことにはなりません。
いまのほとんどの日本人とおなじ境遇が待っているだけですね。

* 英語育児がうまく行ってしまった場合

問題なのはこちらだとわたしは考えています。

もっとも極端な場合、たとえば英検2級を小学校低学年で取ったとしましょう。
英語育児関係のブログをいくつか見ましたが、みなさん有頂天に見えます。
うちの子はすごい! 高校卒業時の資格をもう取得してしまった!

すでに書いたように、こどもは天才だという意見があります。
わたしもそう思います。こどもはだれでも天才のようです。
にもかかわらず保護者の期待はいやが上にも高まって・・・

・・・おそらく次は準1級を取らせようとなさるでしょう。
もちろんその次は英検1級でしょう。さらにTOEICも受けさせるかもしれません。
数学検定ははどうだろう? 漢検も、世界遺産検定も、妖怪検定も!

こどもの成長は検定に合格することで計られます。
数字こそ、点数こそすべて! ということにならないといいのですが・・・

    (まるで「バイリンガル」のような発音になったとします。また、
     英語の理解も話したり、書いたりするのも、「帰国子女」のように
     なったとします。その場合、中学校の英語とどう折り合いをつける
     のでしょうね。

     英語育児の保護者のみなさんは、学校英語との齟齬を
     可能性を考えていらっしゃらないようです。定期試験でよい点数が
     取れなくても気にしないだろうか? どうも、大いに気にしそうな
     様子がありますが・・・)
     

保護者の期待は次々に高まっていきます。うまくいけばいくほど心配です。
難関大学に入れ、医者になれ、大会社のエリート社員をめざせ、
大学教授になれ、高級官僚になれ・・・

こどもはいつか自分の道を歩み始めるために、保護者の期待を裏切ろうと
するでしょう。なんとか裏切ることができればいいでしょう。
そのとき悲しむのは保護者でしょうが、それは身から出た錆。

一番の問題は成人しても、中年になっても、裏切れなかった場合です。
人付き合いができなくなる場合がありえます。
保護者との絆が強すぎて、他の人は間に入れないほどになってしまう。
それはそれで美しい場合もあるでしょう。
けれども美しくない場合もあります。わたしのまわりでは美しい場合は
残念ながら見たことがありません。

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「英語育児」からそこまで話を飛躍させるのか、という声が聞こえてきます。
もちろん杞憂であることを祈ります。haruharuさんがわたしの書き方は
反感を買うだけではないだろうかと助言してくださいました。

そうだろうと思います。

けれども多読の話とおなじです。
聞いた人の5%は「ひょっとしてその通りかもしれない」と聞いてくださる・・・

次の記事では「英語育児への提案」を書きます。