The New Yorker誌のブログから ひさびさに・・・
2013年2月22日
タグ: ことばは活字にあらず!, ことばは生きもの, 多読の進化・深化
このごろ The New Yorker誌のブログから という話題はtwitterの方で
さえずっておりましたが、この話題は多読・tadokuの近未来にも関係するので、
ブログに残しておこうと・・・
manga あるいは visual media の役割の見直しが始まっているようです。
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このブログの「語数より冊数?」の記事で「やさしい絵本」を強くすすめて、
そのことで「わたしのやってきた多読は多読ではなかったのかもしれない」と
心配になった人がかなりいるのではないかと思います。
(わたしの心づもりでは「やさしい絵本」は「基本的なことばを使ったあらゆる素材」の
代表ですが、これからはその点をもっと強調します。)
今までの「多読」が文字中心であったことは間違いありません。
わたし自身が文字による読書しかして来ませんでした。
でもそれは「音声・画像・映像メディア」が高くて手が出なかったことも一つの理由でした。
紙の本はなんといっても手に入りやすく、(ほかのメディアにくらべると)安かった!
そこへ(ほとんど)あらゆる情報がデジタル化される時代が来ました。
(考えてみると、この大きな変化はこの10年の間のことなのですね!
10年前には紙の本しか(それも絵のほとんどない本)しかなかった・・・)
それで一番大きく変わったのは値段です。たとえば音声素材は・・・
10年前は段階別読み物(graded readersとも言う)が、どんなに薄いものでも
1冊700円で、その朗読を録音したカセット・テープは1500円でした。
そしてそのころは絵入りの本が安くなることは考えられなかった。
けれども今は www.oxfordowl.co.uk に行けば無料で信じられない数の絵本を
見て読んで聞くことができます。
そうした変化にともなって(進歩という人もいますが)、多読も変化しました。
みなさんの変化を観察することで(わたしが最近よく強調する)
ことばは白い紙の上に印刷された黒い活字ではない
という「スローガン」が生まれたのでした。
(このままだと小論文並みに長くなりそうなので、ここから一気に表題へ・・・)
表題のブログの上から5番目の引用先をクリックすると、comicsが学生の
記憶を助けるという研究が出てきたという記事に跳びます。
manga(日本の漫画の各国語版)を堂々と多読授業で使うことは、
わたしの知るかぎり、大田桜台高校の鈴木徹さんとわたししかやっていません。
mangaの効果は非常に大きいと思いますが、多読で有名で、mangaをどっさり
持っているはずの新宿のSEGという塾でも、mangaは授業中ではなく、
「ご褒美」としてしか使っていませんでした。
(同塾が今はどうなっているかは知りませんが。)
大田桜台では今年度からmangaとDVDは授業では見てはいけないことになって
います。
次の引用にある大きな心理的壁が教室の入り口に立ちはだかっているということ
でしょう。
[Josh Elder, founder of Reading With Pictures] told PW Comics World. “Even the newly implemented Common Core Standards explicitly call for the use of alternative media – including comics–in the curriculum. That being said, the biggest obstacle remains one of credibility. This study represents an impossible-to-dismiss data point for our side in that debate.”
(Core Standards というのはアメリカの州がそれぞれに設けた
学習指導要領のようなもののようです。それを集めて各州共通の核としたものが
Common Cor Standards?)
わたしは大学の授業でmangaを利用したり、「だれでも多読サークル」で子どもたち
がmangaに真剣に取り組むのを見て、「ことばは本来文字ではない」という感想を
いよいよ強く持ったわけですが、漫画・mangaには大きな偏見があります。
授業中にDVDで映画やアニメやドラマを」見ることには、今はmangaに対するよりも
もっと大きな偏見があるかもしれませんね。
でもそれは間違いです。ことばは文字ではない!
(少なくとも、文字だけの本を読みながら声や表情や情景が頭の中で再現されれば、
もっと楽しい読書になる!)
この記事にあるような「研究」に実質的な意味があるかどうかは別として、
世の中のmangaや visual media に対する姿勢が少しずつ変わってきていることは
たしかなようです。
このまま進んで、ことばの理解もさらに進みますように・・・!