をさなごのやうに

いわゆる「GR」の功罪について--モーリンさんの意見!

モーリンさんは比較的最近twitterでやりとりするようになりましたが、実はふるーい仲間です。

で、次のようなメールをくれました。全文を引用します。

酒井先生のブログの話題は興味がありますが、なかなか結論も出しづらいですね。

はい。何年も考え続けました。
やっと結論が出せると思ったのは、ことばの世界は「絵=映像」からはじまると
思い切れたからです。

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「絵=映像」から始まる Kakkoさんの追伸

昨日の記事のあとに、こういう追伸が来ました。

大事なことを忘れていました。
私、英語がわからなくてもDesperate Wivesを楽しめる、と書きましたが
楽しめない人たちもいます。

私の周りでは、それは「英文科卒の人」と「まじめにテストのための勉強をしている人」です。
または学校が作った英語アレルギーの人でしょうか。
お勉強モードで見るからリスニング、と思ってしまい聞き取れないとイライラして続けられなくなってしまうのです。
テストや資格に熱心だった以前の私も当時ならその中に入っていたと思います。

今はとっても楽しいです!
それではまた。

Desperate Housewives であれ、ほかのドラマや映画であれ、mangaであれ、絵本であれ、
「まじめにテストのための勉強」をすると、「正解は一つしかない」と思いがちになるようです。

Kakkoさんは、「お勉強モード」の具合の悪いところをよくご存じだと思いました。
しかも「以前の私」のことも冷静に思い出しているところもすばらしい。
一旦「お勉強モード」に囚われてしまうと、抜け出すのはかなりむずかしい。
試験に長く関わっていると、自分のことも、ほかの人のことも、試験の点数や資格でしか
判断できなくなる・・・ これは恐ろしい病です。往々にして不治の病に至る・・・

「段階別読み物」--英語多読では graded readers つまり GR と呼びますが、
これは時として、「お勉強モード」に馴染みやすいところがあります。
KakkoさんのメールはGRの具合悪い点に移っていきます。
どうぞ、お楽しみに!

なお、graded readers にはそれなりの使い道があります。
一言でいえば、多読初期の緊急避難的な使い方であり、
中期(?)以後にはダイジェスト版世界名作全集としての使い方です。
くわしくは GR論議の最後に付け加えます。

「絵=映像」から始まる 反響続き

反響は、Facebookからも、twitterからも、メールからも来ます。
今回の最初は Mさん・・・

私は、出発時点では後者タイプで、GRから児童書を経て快読300万語PBへの道を約1年半で突っ走りました。が、幸い、”こどものために”という大義名分があったおかげで絵本の道にも迷い込み、はっと気付いたら森の中でさまよって抜け出せなくなり、現在に至っています。なので、出発点が「絵」や「映像」ではなく「文字」寄りだった後者タイプでもぜんぜん大丈夫ですよ~。かなりまわり道しちゃったのかもしれませんが、”文字→さまざまな絵、映像”という流れもありだと思いますし、それはそれでよかったのかなーと今は思っています。今、多読9年目ですが、おかげさまで、2,3年前に、字幕なし多観の道、劇薬シャドーイングの道、多言語の道、オンライン大学の道、英語おしゃべりの道などの脇道も沢山発見し、ますますtadokuの森の中の道を奥へ奥へと進んでいるようです・・・。さて、この先いったいどうなってしまうのか・・・森を抜けだす日はいつか来るのか・・・今後が楽しみです。

GRで始めた人が絵本に移れて、字幕なし、劇薬シャドーイング・・・ と進めたのは
幸運でしたね!

もう一つはモーリンさん・・・

酒井先生、こんにちは。
また、ブログを読ませてもらっての感想です。

僕は言葉を身に付けるには「原風景」や「原体験」が必要と思います。これは、実際に体験するのが一番ですが、架空の体験でも可能だと思います。
架空の体験の場合、その「濃さ」によって体への染み込み方が違うように思います。一般的には、映像つまり映画やドラマが本より優れ、漫画の方が絵が多い分小説より優れていると考えられます。ただし、僕の場合は日本語では漫画でも映画以上にのめり込めるので「濃い」体験ができるようです。

僕は大学4年の秋に就職活動が始まるまで(僕らのころは4年生の10/1が解禁でした)、本はほとんど読みませんでした。しかし漫画は小1から読みはじめ、特に中2からは環境にも恵まれ近くの本屋でほぼ毎日2時間立ち読みしていました。読んでいたのは、サンデー、マガジン、チャンピオンなどの少年誌からビックコミックスピリッツとオリジナルといった大人用のものまで読んでいました。特にストーリー漫画が好みで手塚治虫や横山光輝のものや「巨人の星」、「あしたのジョー」など結構難しいものも読んでました。また、僕は読むのが超遅読で1冊を読むのに2時間ぐらいかけてました。でも、そのなかでいろんな言葉を身に付けてました(たとえば、「巨人の星」で「上座」を覚え、「浮浪雲」ではいろは歌を覚えました)。これらは覚えようとして覚えたのでなく勝手に身についていったのです。たぶん、字ずらだけを読むのでなく絵もよく見て想像もしながら読んでいたのだと思います。つまり、漫画を精読していたわけです。

独眼竜さんのおっしゃる多読的精読とは違うのかもしれませんが、漫画や小説でもこのように深く入り込めば濃い「原風景」や「原体験」を得ることができ、言葉が体に染みつくのではないかと思います。

余談ですが、中学の時はよくわからなかったのですが、高校になって試験がよくあるようになると現国は、勉強もせず遅読のために最後の問題まで解けなくても学年で常に5番以内でした。試験の成績で実力を評価できるわけではないとは思いますが、「漫画精読」が寄与していたと思っています。

「言葉の原風景」のことは昔SSSの掲示板に書いたことがあるのですが、僕の場合、MAGIC TREE HOUSE でネズミの Peanut が Annie の胸ポケットから顔をのぞかせているのが peek や poke の原風景だったり、Emma’s YUCKY BROTHER で Emma が弟を追い払う時の言葉が “get lost” の原体験だったりします。辞書で単語を調べた場合は、この「原風景」や「原体験」が伴わないため、イメージから言葉を思い浮かべるような応用(会話など)ができないのではないでしょうか。

では、今日はこの辺で。

Happy Reading!

まったくその通りだと思います。
原風景・原体験のない文字は空疎で、渇いていて、摘まもうとするとほろほろと崩れてしまう・・・
漫画でも、映画でも、テレビドラマでも、「絵=映像」がついていれば「ことば=音」は
生きてくるようです。

モーリンさんんの、peek や poke の例、Get lost! の例は、段階別読み物ではかなり
あり得ないと思います。 (Get lost! は少しありえるかな。)

Mさん、モーリンさん、ありがとう!

「絵=映像」から始まる 多読的精読にみなさんからメッセージ!

旧「町の名前をひとつ」以来抱えていて、公開しようかどうしようかと
逡巡を重ねた話題でしたが、投稿してよかった!
たくさんの人からメッセージをいただきました。
全部ではありませんが、お伝えします。

良くわかりました。私の場合、多読的精読ができるようになるまで、やさしい本でもう100万語ぐらい必要な気がします。

最初にいただいたメッセージです。
「多読的精読」なんていう「用語」をみなさんにはやらせてしまうと、それはそれでまた
さまざまな問題が起きそうですが、Yさんの場合、様子を時々伺っているので、
問題が起きないように、お手伝いしようと考えています。

どなたも様子を知らせてください。できるお手伝いはします。

次はSYさん。児童英語教室の先生です。

関係ないかも、ですが…。

小学生のときから、文法とかを中心に、いわゆる英検に向けて勉強してきた子が、中2でうちの教室に入ってきて、絵本を読んでいると、文字しか見ていません。絵本を楽しむことができない状態なんです。

先生のブログを読んで、ホント、納得です。

説明のしようがない、あの「英語の感覚」というものが、なかなか感じとれない。

大変なことです!

こんなにハッキリわかって、正直、ショックでもあります。

人が使う言葉を、そういうものとして捉えられていない、
しかも、まだ若いのに、もう絵本の絵を楽しむことができていないことが、まずショックです。

なぜなら、小学生からORTに親しんできた子供たちは、読めないレベルのORTでも、絵だけを楽しそうに眺めています。大きくなっても必ず絵を見てから読みます。

でも、ページのほとんどが絵なのに、文字だけを追って読む・・・悲しいです。

先生のブログにあったように、気楽にやって、いつでも絵本に戻れるような感覚がないといけませんね。

それには、やはり、多読のスタート時にどれだけ絵本の世界にどっぷりつかることができるか、が鍵だとはっきりわかったことが、なんというか、言い表しようのないショックなんです、私にとって。

小学生から文法や英検対策をやってしまうと、中2ですでに文字しか見なくなる・・・
たしかに大変なことですね・・・ うう・・・

私は絵本ばっかりです(笑) 恥ずかしながら、絵本にしか浸かっていません。今1歳の娘と今まで知らなかった絵本も読めたりして、更に絵本にはまっています。楽しいですよ~✩日本語の絵本もしかり、です。それに、絵本の読み聞かせ講座にも親子で通っていて、そこで先生から聞く、絵本の大切さ、絵を見ることの大切さを痛感しているところなんです。

だから、そういう最近入ってきた中2の子を見て、「あれ??なんで絵を見てないんだろう?」と思っていて、きっと、そういうことが「英語の感覚」に関係あるな~、と思っていたところに、この話がきて、ドンピシャ、というか、モヤモヤがクリアーになった感じ。それが、あまりにもクリアーで、ショックだったんですね、きっと。

大人目線で見ると気づかないことも、子どもが気付いて教えてくれます。だから、やはり「おさなごのやうに」、これが本当に鍵ですね、先生!!

親子で絵本にはまるなんて、なんとも言えませんね・・・
「をさなごのやうに」を日々体験しているのですね。

みなさん、読み聞かせというのも、非常によいものであります。
ぜひ近くにいるこどもたちに、もしいなければ親しいおとなたちに、
読み聞かせをしてやってください。聞く方も、読む方も、幸せな気分に・・・

最初のYさんから二通目のメッセージ・・・

私は、あまり物語に浸れないタイプで、新聞記事や、who was シリーズが好きです。そうすると、会話には繋がらないような気がします。いかがなものでしょうか?そこで思い付いたのが、絵本です。最近、絵本が良いと思い読み始めたところです。

ノンフィクションから会話につながりにくいかどうか・・・ それはなかなかむずかしい。
けれども、実はわたしもちょこっとそんな気がしていないこともないのですね。
リスニングでも、CNNのニュースなどはなかなかシャドーイングには適していないかも
しれないとも感じていて、メリハリのある、感情の起伏がはっきり現れた素材の方が
吸収しやすいかもしれないと考えていますが、まだわかりません。

そして次はShさん。SYさんと同じくふるーい仲間です。
(ただし、久しぶりではないんですよ、ちっとも。
Facebookでは頻繁にやりとりがあります!
あ、そうだ、この前知多に行ったときにもあったじゃないですか!!)

先生、お久しぶりでーす。ちょっと真面目に英語をやりたいかも。という事で知多図書館からORTのレベル1を借りた私(*^^*)私の場合、面白おかしく読むにはロマンス本、真面目に勉強するにはORTでーす。

↑ これはまた、すばらしい! SSS時代の古い仲間に言いたいのはまさに
このことです!! ところでShさん、CDも一緒に借りてこようね。
それから海外ドラマも向いてそうな気がするな!

次は意外な告白・・・
Tsさんです。

絵をみて浸る、って大事なことなんですね。たぶん私も出来てないです。字のない絵本は苦手。。。先日「硫黄島からの手紙」を観て翌日娘が言ったのは、「昔は絵を書くのに鉛筆じゃなくて、なんかインクをつけて描いていたんだね」
渡辺謙が戦地から絵手紙を書く、と言う場面がたくさんあったのですが、私は絵ばかりみていました。道具に目が行く子どもはさすがだな、と思いました。
私ももう少し絵本を眺めなくてはσ(^_^;)

「負うた子に教えられ」--いろはかるたそのままですね。
おとなとこどもの目の付け所の違いを見せつけられますね。
娘さん、いくつなのかな? 小学生? 今のうちにたくさん絵本を楽しんでください!
(あ、もちろんいくつになっても絵本は楽しいです、をさなごのやうに・・・)

ほかにもメッセージやメールが来ていますが、きょうはここまで・・・
みなさん、ありがとう!!!!!