浸ること (そして突き抜けること)

2011年2月22日
カテゴリ : 多読亭日乗

ことばの獲得、特に外国語の獲得には「浸ること」が大事だと思います。

「これは学校の成績に関係あるから」、「TOEICでよい点を取らないと会社に
しかられる」、「だれだれさんが英検準1級を持っているからぼくも」といった

  外にある理由

では、外国語の獲得には結局届かないか、とんでもない時間がかかるように
思われます。

わたしが「これで英語を獲得した」と意識したことは二度ありました。

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どちらも最終的な「獲得」ではなく、ある段階を越えただけだったと今は思います。

一つは アメリカのニクソン政権の崩壊を1年半にわたって「目撃」したとき、
もう一度は数年間にわたって BBC World Service の短波放送をシャドーイング
したあとでした。

いま中東で(そして中国で?)かなりの数の人の目を釘付けにしそうな大事件が
起きています。「主観の新茶さん」は村の掲示板は社会科学に関心がなさすぎる
という感想をお持ちのようです。

けれどもチュニジアにはじまった今回の大事件に関心を持つ人は多いと思われます。

こんな大事件を外国語獲得に利用するというのも、何か功利的な匂いがして
もう一つすっきりしませんが、歴史の変動を日本のマスコミを通さずに目撃するよい
機会であり、同時に外国語を知ることが世界を一気に広げてくれる好例だと
思うことにしましょう。

ウォーターゲート事件のときはアメリカの週刊誌 TIME と Newsweek だけが
頼りでした。どんな海外ドラマよりも緊迫した展開、それぞれに「濃い」登場人物、
渦巻く人間模様があり、ついには世界一権力があると言われるアメリカの大統領が
その世界最高の権力の座から topple down します。 

わたしは毎週毎週新着の週刊誌2誌を舐めるように読み続けたのでした。

そして目眩く1年半が終わってみると、ウォーターゲート事件以前は読みはじめるのに、
どっこいしょと重い腰を上げなければらいけなかった TIME と Newsweek が
なんでもなく読めるようになっていた・・・

ウォーターゲート事件以前も TIME と Newsweek は定期購買(購読ではない!)
していましたが、ほとんど読みませんでした。いや、読めませんでした。

当時両誌は英語をやる人の一つの目標だったのでしょうね。
大学で購買していたので、共同図書室で見ていた。
時折ページをめくったとしても、そのころは「お勉強」だったと思います。

  (そうです、このときわたしはすでに国立大学の英語の先生!
   大学の英語の先生なんて、ほんっっとにたいしたこたぁないんです・・・)

ウォーターゲート事件報道の1年半、わたしは両誌を読むことを英語のお勉強など
とはまったく考えませんでした。ひたすらあの悪人面のニクソン大統領が追い詰め
られることを願って、捜査の成り行きを見守ったのでした。

その後あれほどの大ドラマは「ベルリンの壁崩壊」以降、今回がはじめてです、
わたしにとっては。

そしていまはインターネットがある・・・

インターネットで情報とともに「革命」が伝わっていく様をわたしたちは目撃しているの
かもしれません。

この革命がいつか日本にも及んで、control without manipulation つまり
「操作なき支配」が社会のすみずみにまで染みこんでいる状況ががらがらと
崩れる日を、わたしは呼び込みたいと思います。