熟成はやはりあるのだろうか?

2月23日の日曜日に、新宿区四谷図書館で多読講演会がありました。
四谷図書館は開いて愛知県知多市立中央図書館と並んで多読に
とても熱心に取り組んでいます。

四谷図書館の第1回は一昨年の8月でした。その講演会に参加して
くださったSさんはなんと四谷図書館の本だけで多読を続けて、
半年後にはOxford Bookworms Library の Stage 3や4を読んでいた。
ちょうど1年くらい前のことです。

ところがその後いろいろ忙しくなって、今年の1月の四谷図書館
講演会まで、まったく英語の本を読まなかったそうです。
1月の講演会のあとでわたしに、いちばん易しい絵本から
やり直したいと言いました。

それでわたしは(自分では覚えていないのですが)
Louis Sacher の Holes を読んでみたらと、勧めたそうです。
無茶なことを勧めるものですね。今となってはなぜそんな無茶なことを
言い出したのか、まったくわかりませんが、なんとSさんは
5日間で読んでしまって、とても楽しい読書だったと、きのう
知らせてくれました。

約1年間の中断の間にその前6ヶ月間に吸収した英語が熟成したの
でしょうか? まだ判断材料が少ないのでなんとも言えませんが、
少し前には4年半(だったかな?)中断した後で The Last of the Really
Great Whangdoodles というペーパーバックで復活した人もいいます。

ま、これから資料が集まってくれば「熟成」という多読を巡るOne of the
Really Great Possibilities の一つに決着がつくことでしょう。

流されないために・・・ 一人一人はがんばれ! 国旗と国歌はいらない・・・!

ソチ・オリンピックが終わりました。
わたしはほとんど競技を見ませんでした。

感動的な場面がいくつもあったと聞くと残念な気がしますが、
それ以上にわたしは国家が前面に出てくるのを見るのがいやだったのです。

オリンピックは世界の平和のために行われるという話があります。
音楽やスポーツや芸術に国境はないと言われているからでしょう。
(古代ギリシャのオリンピックでは戦争を中断して競技に興じたのではなかったか?)
けれども、わたしには国際オリンピック委員会は強大な営利組織に変化していて、
さまざまな利権にまみれているように見えます。

国内のオリンピック委員会もわたしには多くの利権を抱えて、
ちょうど原子力ムラのように、利権から収入を得ることがスポーツの喜びからは
すっかり独立して一人歩きしているように感じられます。

純粋にスポーツの喜びを追求している選手一人一人はがんばってほしいと
思っていました。けれども、国境を越えるという意識があまりない
選手や観客もいるようで、国旗を体に巻き付けたり、ほっぺたに国旗を
ペイントしている人がいて、日の丸飛行隊なんていうことばまで聞かれました。

日本はいま危ない方向へ向かっていると思います。
日本は過去の歴史で悪いことはしていない、あるいは悪いことをしたとしても
他の国だってやっていることだから反省などする必要はないという議論が
勢いを増しています。

そうした日本国賛美の流れを作るために、オリンピックは見事に利用されている
のではないでしょうか? このまま行くと、「天皇陛下万歳!」を叫ばないと
非国民扱いされる日が早晩来てしまうと心配しています。

10年くらい前に、電気通信大学にいた西尾幹二さんという先生に、
「このまま二世議員が国会に増えると、日本は封建制に逆戻りですね」と
言ったことがあります。西尾さんは「封建制じゃなくて、封建的でしょ」と
修正しようとしました。わたしは修正に応じませんでしたが、
まさかこんなに早く封建制が戻ってくるとは予想していませんでした。
国民主権という考え方は結局根付いていなかったのでしょう。

このところの選挙や政府や国会議員やNHK経営委員会や仲井真知事の
振る舞いを見ていると、日本の「民主主義」は非常に根が浅かった
という気がします。

形だけ民主主義で、中身は封建制ということが、日本では可能だったのですね!

そして、韓国との竹島問題、中国との尖閣列島問題程度で人々の
気持ちは一気に日本万歳、外国排斥の方向へと大きく変わりました。

日本人はまた外国人や外国との付き合い方が幼いとわたしは感じています。
自分をえらいと思わないと不安だというのは、まだ自分の生き方がしっかり
していないということなのでしょう。

その点、ある人のtwitterで知ったのですが、安藤美姫さんの次の態度は

報道ステーションSUNDAYに出てる安藤美姫さん、「女子フィギュア、日本人で表彰台独占してほしいですね」的な振りに対して、「ほかの国にもいい選手はいるから、いろんな選手にスポットライトを当ててもらえたら」と柔らかく反論。真っ当な人だなーと思った。

わたしにもまっとうなものに思えます。

国家を賛美し天皇制を賛美することで現支配層はやりたい放題のことができます。
自民党は大企業の経済的繁栄しか関心がなく、一般の日本人はそのための
「人材」にすぎません。人材を動かすためには日本人をまとめて同じ方向に
導く必要があり、そのためには国家賛美と天皇制賛美はきわめて手っ取り早く、
有無を言わさず、理屈を言わせない威力があるのでしょう。

「だって、生まれた国ですもの」

というあれです。

わたしたちは一人一人、なんとか流されないようにがんばりましょう。
国旗と国歌に目くらましをされないように・・・

日本人高校留学生についてメールが届きました。

ある人から・・・

今日のブログ、すばらしいですね。いろんな意味で勉強になりました。日本にいてはなかなか分からない(想像はつくんですが。。)あちらでの状況を教えてくださってありがとうございましたとお伝えくださいませ^^

外国で多読はどんな評価をされるのか--興味ありますよね?
マサミさんの便りは貴重なものでした。

外国からの評価を評価してくださったTさんも、ありがとう!

『日本人高校留学生たち」 カナダの学校から

簡単に「多読」と言っていいかどうかわからないので、こんな件名にしました。

カナダに来て1年半の日本人高校生は何が足りないか?
高校生で英語国に1年半滞在すれば普段の会話には困らなくなっていると思われますが、
高校レベルとはいえ普段の勉強に伴う「アカデミック・リーディング」にはどうしても
「読む力」が必要なようです。

文法問題集をたくさんやっても、実際に英語を使う環境では役に立たない場合がある--
そういう意味では「学校英語」の批判でもあります。

なお、次の締め切りに向かってアップアップなのでコメントは最少限にして、
印象的だったところを太字にしてあります。
また、ESL は English as a Second Language (英語国で移民が学ぶ英語)
EFL は English as a Foreign Language  (非英語国で外国語として学ぶ英語)
としておきます。二つの間には違いがいろいろあると言われていますが、
区別しない人も多いようです。

酒井先生へ

お久しぶりです。
現在カナダに滞在中のマサミです。

ちょっと切ない現実についてお伝えしたいと思い、メッセージを送ります。

今回のお題はこちらの『日本人高校留学生たち』です。

既にこちらでの滞在が1年半を超えた留学生たちですが、残念ながらESLでも落ちこぼれています。あまりの英語のできなさに愕然とし、色々話をしながらESLも含め彼らの過去の英語の学習などをリサーチしたところ、やはりガッポリ抜けている部分が彼らの英語力上達を妨げているのでは、と感じています。

それは簡単な本の多読です。
こちらの高校のESLの先生の部屋に行って最初に思ったことは、『こりゃダメだ』でしあ。何しろ生徒が読めるレベルの本が一冊もないのです。少しだけ本が置いてありますが、明らかに読む指導はされていない、とおもったため、先生に授業の内容を尋ねました。基本はボキャブラリーと文法指導だということ。それ以外の授業ですと、通常の英語の授業になるのでご想像の通りネイティブの子たちの受けているような英語の授業についていけるわけもありません。

仮に辞書を引きながら課題の本を読んだところでチンプンカンプンでしょう。ESLでは本を読む宿題も出されたことがなく、過去に一冊の英語の本も彼らは読んでいませんでした。

いくら習うより慣れろと言っても、日常生活で聞き、耳で覚える英語には限界がありますし、ルーティーンの会話では出てくる単語も決まっています。それと高校レベルのアカデミックな内容の英語ではあまりにも開きが大きすぎで、どうにもならないレベルで停滞していることは明らかです。

ですが、本人たちは自分たちの学習法に問題があると思ってはおらず、いずれ近い将来[ニア・ネイティブと]同じくらいの英語力になると思っているようです。(もちろんたくさん本を読めばできるようになるのですが)

方や小学校息子のESLの先生は多読が基本と言うか、多読のみです。オンラインの教材を使って子供たちは自宅で毎日各自のレベルの本をどんどん読み進めていきます。これは音声で読み上げてくれますし、読んでいる箇所がハイライトで映し出され、目で追いながら読んでいくことができます。

この教材はかなり最初のレベルからアカデミックな内容がふんだんに盛り込まれていますが、単語のレベルは極めて易しく、アカデミックな物を子供に分かりやすい、読みやすい表現で書かれています。レベルが真ん中以上になりますと、ぐっと読みごたえもあります。

各レベルが40冊、A~Zまであるのかな?とにかくかなりの量がありますし、小学校の図書室がとても充実していて、英語学習者だけでなく、地元の子供たちにもふんだんに簡単な絵本が用意されています。

この小学校の留学生、移民の子供たちは半年ほどでまったくのゼロからでも英語力は完全に日本人高校留学生を抜いていしまっています。

人はきっと年齢が低い方が吸収が早いとか思うかもしれません。もちろん小学生と高校生では求めれれるものも違うのですが、実際の英語を素直に理解する力を比べても圧倒的にこの『とにかく多読』『どんどん多読』は明らかに日常会話の英語とアカデミックな学習での言語との差を縮めています。

こちらの小学校で納得したのは、作文に関しても全く先生は間違いを指摘しません。いわゆる赤ペンで添削するようなことはなく、子どもの暗号のような文字を読み、難解な文章に丁寧にコメントを書くにとどめています。やはりこちらもどんどん書く。です。

通常の小学校4年生のカリキュラムでも軽く100ページは超えるような児童文学を(けっこう難しいです。)年に4,5冊は授業で読みますし、一日の中で少しでも隙間があると、『自由読書タイム』となっていて、子供たちがさっと本を取り出して読み始める光景に驚きました。

今日本の小学校の国語で児童文学を年間に一冊でも授業で読む学校がありますかね?

やはりどんどん読むですよ。

日本人高校留学生の子たちは小学校にもどってこの(小学校の)ESLの先生についた方が良いのではないかと思いますが、本人たちが何も問題だと思っていない以上私は手を出すことはできないので静観しています。

それにしても留学生の子たちの苦難は見ていて忍びないです。

人生の中でそれなりの年数をかけて英語を勉強した来たものの、誰一人として指導者が本を読む指導をしていない。こちらに来て、既に1年半もたっているのに、一冊の本も読めていないんですよ。そりゃそうですよね。彼らがイメージするような本は難しくて読めないから、読まない。という事ですよね。多読が良いとか悪いとかそういう事ではなくて、読みたいと思うんですよね、全く読めないのは辛いじゃないですか。

高校のESLの先生は日本の中学で勉強してきたはずの彼らがあまりにも英語が伸びないので悩んでいますが、これも難しいところ。外国人の私がバイリンガル教育の最先端のカナダの専門家に意見することなんて許されることではないので、話をしながら苦笑していましたが、先生も何が足りていないか分かっていないんだなぁ。これがこの留学生の悲劇よね。と思っています。

ワークブックで文法を勉強をする事しかしらない彼らにとっては簡単な本から始めるというような学習はきっと思いつかないのだと思います。

それにしても息子の小学校の先生はすごいですね。
ここの学校はちゃんと図書室に司書の先生もいて、読書活動が盛んなのを感じることができます。

簡単な本をたくさん
好きなものをたくさん
面白いものをたくさん
興味のあるものをたくさん

それ以外はないとこの学校の司書もESLの先生も言います。
(何を質問しても『好きな物どんどん読んで♪』しか言われません)
素直に物を考えればそうなるのに、日本でもカナダでもまともな言語指導をされていない留学生を見ているのは本当に切ないです。

そっちょくな感想です。

日本の指導者は
ESLとEFLは違うし、
ましてや英語圏の子供たちとはまるで違う。

と言いますが、

前からずーーーーーと違和感がありました。

そんなことないです。
全部一緒です。

音声が、単語が、文法がとか色々言われますが、どこまで行っても、まずは英語そのものを理解するだけの量を体が消化してからの話です。環境や個人差でかかる時間は違うでしょうが、プロセスは大人も子供もネイテティブもEFLも一緒です。

もうここまでいろんなケースを見ると確信します。

作文をまったく添削しないで、子どもの読みにくい文字を読んで、感想を書く--
これでなきゃいけませんね。

最後は太字にするのに力が入ってしまいました。
まだまだマサミさんが書いていることを日本の英語の先生に納得してもらうには時間が
かかることでしょう。いや、ごく一部しか納得してもらえないかもしれませんが、
その一部の先生のためにがんばります。

おっと、マサミさんにはカナダのESLの先生を説得してほしいですね。ぜひ!

それにしてもあちこちから寄せられるメールやメッセージだけで、ブログの材料は十分ですね。
それもまた、すごいことだ!

学校英語を洗い流すために・・・ 試験の話題に反応たくさん!

この話題の前便は英語の試験のひどさについてでした。
その記事をFacebookで紹介(リンクともいう)したところ、
これまでで一番多くのコメントが・・・
それを一挙に引用して、きょうの投稿とします。

Sさん:あー。見るだけで疲れる~。

Qさん: この日本語訳でマルがもらえたのでしょうか?

Yさん: このくらいなら、マシです。もっと恐ろしい現実があるんですよ〜。和文英訳で、教科書に載ってる英文以外は、×どうなっちゃてんだよ!!!!と思うことばっかり。笑ってられません。

Sさん: 大丈夫(*^_^*)ある意味、まったく役に立たないから多読やらでザーッと洗い流せます。わしがそうだも〜ん嘆いてもできないものはしゃあないんちゃうかな。先生方も英語ができるイコール日本語訳の概念抜けてない人が多いでしょ。変わりません。

Yさん: 全く役に立たないものに、何分でも費やすことの矛盾に気がついてしまった子達は、辛いですよ。そりゃ、記憶するだけですぐ忘れますけど、その失われた時間を考えると空しくなる方が、健全だと思います。英語なんて見るも嫌になった子は、多読は絶対やりませんし。

Sさん: 虚しくなるのはわかります。自分もそうでした。ただ、英語学習からアプローチせずに読書から英語に入ったわたしはラッキーでした。絶対やらないとは限らない少ない例かもしれないけど、英語を違った角度から見る方法の一つに多読があると思います。

Yさん: 読書スキだと、多読初期に内容的にあまり面白くない本しか読めない時期が乗り越えられないようです。英語を見るのも嫌だという状態では、何を見せても無理なのでね、内容の問題でもないかもしれません。皮肉なことに、自分の娘が例を見ない程の英語アレルギーになるとは。失笑です。トホホ。面白そうなyoutubeを見せたり、かっこいい曲を聴かせたり、普通にバイリンガル環境を作ってたんですけどね〜。テストの度に英語で楽しむことも嫌になってきています。学年でワースト3になったのは、流石に本人もショックだったようで、学校からも「このままですと高校進学(付属校なので)出来ません。」っていうお手紙までご丁寧に頂いて。他の教科で英語だけはまかなえないのです。最低ラインがあって、それを超えないと進学出来ない。ま〜、中学で人生決められるもんか!と思って受験を覚悟してますが。。。嘆いても仕方ないけど、お日様燦々降り注ぐビーチでのんびり寝転がってうたた寝をしていたら、いきなりバケツで頭から氷入りの冷水をかけられたような感覚です。lol

Wさん: 前に甥の英語のテストを見せてもっらたことがありますが、それも出題文の意味が判らなかった。親戚のイギリス人がその英文を見たらこんな英語は見たことがないよと、言っていました。

酒井 邦秀: みなさんの反応の良さにびっくり! この話題はしばらく続けましょう。ほかにもほんっとに酷い問題がいっぱいあるんだから。あ、お持ちだったらぼくに送って下さい!! みんなで嗤いましょう、そして泣きましょう。

Sさん: もっとひどい、つまり私が学生だった頃から変化なし?しかも小学生から英語あるんだっけ。う〜ん。

Yさん: なんか後退してると思います。和文英訳ほど、選択肢が多くなるはずが一つしか答えがないって。。。。小学校では。。。これ以上は言えませんが。。。。

M. S.さん: 日本語に翻訳じゃないが、英語に翻訳すると、”Students in America don’t clean their classrooms.” 英語でSVOは基本です!そして”The signs were in Chinese”

Kさん: わあああーっ!! 今でもこんなことが?!?!?
だいたい問題の日本語をしゃあしゃあと書いてる先生、日本語多読にきてください!!こなれた日本語教えます。
これで思い出したことがあります。
どこだか忘れたけれど、ガイドが日本語に通訳している凄まじくおかしい日本語、子供達がおちょくってた。それは、
いまから、少し休憩します。トイレのほういかれる方はいかれてください。コーヒーのほう飲まれたい方は飲まれてください。
です。おれ、コーヒーになんか飲まれたくないさってね。
英語と違った話でごめんなさい。娘が英語の教師だから、変な例ないか聞いてみます!!

Nさん: 先生の言う学校英語が具体的にどう不自然なのかとかどう悪いのか、実はいまいち掴めていなかったんですが(問題文の奇妙な日本語は明らかですが)、

そうかペーパーバックなどのネイティブのことばに出てこないような言い回しをいうのですね。最近ここらへん関心強いです

酒井 邦秀: Sさん、英語嫌いが小学校から始まる・・・

Kさん: これで英語好きになったら奇蹟だ!!

これほど反響が大きいとは思いませんでした。
ぜひみなさん、おかしな試験があったらぼくに送ってください。
写真を撮って送ってくれたら、うれしいな!