多読的ライティング

字幕なし多観について katobushiさんのツイートから

まず、katobushiさんのツイートを引用・・・

僕が字幕なし多観をはじめたころのORTのような動画から、というコンセプトはよくなかったと反省しています!字幕なし多観のいいところは、レベルの概念を捨てやすいところだと思います!

字幕なし多観の効果は聞き読みよりもっと強力だとおもいます!プラス、字のない絵本から始めるみたいに1%も聞き取れないものからはじめることをお勧めしたいです!

レベルの概念を捨てる・・・大事件ですね。
これまでの多読はレベルの概念は大事だということで始まり、進んできました。

レベルの概念を使って入り口を入りやすくする--これはうまい作戦だったと思いますが、
場合によってはうまく行き過ぎていつまでもレベルから抜け出せないことがあります。
また学校などでは試験や成績や点数、数字に反映しやすいので、
そもそも抜け出す気がないのが普通・・・

わたし自身がレベルという考え方から抜け出すのにずいぶん時間がかかりました。
最初から警戒していたのに時間がかかったのだから、レベルや進度や理解度といった
考え方のしつこさは身をもって体験しています。

ではレベルの概念を捨てて、代わりにわたしたちの歩みを確認するには何がいいのか?
わたしは年齢だろうと思います。「をさなごのやうに」始めて、少しずつ世界と物語を
理解していく・・・

その場合、katobushiさんの言う「1%も聞き取れないものからはじめる」ことは、
赤ちゃんが自分の周囲の言葉や状況をほとんど理解できないところから成長していくことを
真似することになるでしょう。

つまり、最初は 見る・聞く・泣く(もごもご?) から始まって、一語文で話すへ、それから
読む・書くへ というところでしょうか? もちろん大人が同じような過程を経るのかどうか、
それはみなさんの報告で少しずつ明らかになっていくことでしょう。

(ついでに言うと、その過程に学校英語がどう関わるのかも、明らかになっていくでしょう。)

多読的ライティング モーリンさんのメールから

多読的ライティングはまだちゃんと説明してませんが、一言で言うと
英作文ライティングの反対です。

英作文ライティングは 正しく! を目標にします。
したがって、テストで点数がいい。

多読的ライティングは 楽しく! を目標にします。書く方も読む方も楽しければ、それで満点!

で、そこがよく分かっている人たちから、一つ前の中学2年生の多読的ライティングに
賞賛のメールやtweetをいただきましたが、今回はモーリンさんのメールを紹介!

ブログを読ませていただきました。

非常に impressive ですね。
僕も多読を始めて数か月後ぐらいから頭の中を短い文(たぶん文法的にはめちゃくちゃな)が駆け巡って、思ったことを英語で書きたいという衝動が起こったことを覚えています。
書く文章は部分的に借用したものが多いのですが、日本語でも最初はそうですものね。
最初のタドキスト大会のコンテストで先生にほめられた文章もその前に読んだ本から借用したフレーズがいくつか入っていました。

多読を始めて数ヶ月で「英語を書きたいという衝動が起こった」というのは、
早い例だと思います。どういう場合にそういう早い反応があるのか、研究します。

そして、「書く文章は部分的に借用したものが多い」とのこと。
「日本語でも最初はそうです」ね。
多話・多書はとにかく「借りる・盗む・真似する」から始めましょう!

思えば、YL0~YL2 で読む本の短い文は読んだときの印象とともに脳に刷り込まれ、同じ感覚を感じた時に recall されるのかもしれません。ぜひ、どんどん読んでどんどん書いて欲しいものです。もちろん間違いもするでしょうが、間違いはそのうち「ああ、あの時間違ってたんだな」って自分で気づきます。引用されていた教室ではいいところを褒めることに重点が置かれているようでいいですね。学校だと間違い探しをされて書く気がなくなってしまうでしょう。先生によっては “very very” さえ否定されそうです。僕も、知識のついてしまった今よりも多読を始めたころのほうが生き生きとした文章が書けていたような気がします。

間違えることを気にするのは非常によくないと思います。
あの中学2年生たちも、そんなことは気にせずに書いたからモーリンさんに
impressive と褒めてもらえる文章になったのでしょうね。

(日本の試験は減点法です。そうではない例は見たことがありません。
唯一の例外はわたしが退職する前の電気通信大学の英語の自由英作文の試験ですね。
いまどうなっているかは知りません。)

引用した教室の支援はすごいです。先生が一人一人の伸び方をじっくり待ってくれます。
そしてよいところを見つけたら褒めます。何よりも生徒の間に信頼がしっかりあるのですね。

で、モーリンさんのメールは「声にならない文字」の話で終わっています。

そういえば、mitten の “tte” もそこに音はあっても聞こえないですよね。先日読んだ Junie B. #9 のAudible を聞いていて気づきました。

では、Happy Reading and Enjoy Writing!

mountain、Milton、suddenly など、「声にしない」文字はいっぱいありますね。
それについては マクドナルドの法則 と チャーチル・マティーニの法則 の説明を
楽しみにお待ちください!

多読的ライティング 中2でこれだけ書ければ・・・

「多読的」という冠をつけて、これまでの英語学習や英語教授法とはちがうことを
強調しています。今回は多読的ライティングの紹介です。

最近高校生に作文で絵の無い絵本に
お話しをつけるというレッスンをはじめたのですが
とても楽しそうにやってくれるので、
ちょっと暇をしていた中学2年生たちにも
やってみてもらいました。

そしたら思わぬ素敵な文章を書いてくれて
私としては感動してしまいました。
ちょっとご紹介させてください。

ふっくんの文

Wilfの家族が公園に行ったらいっぱい鳥がいて、餌をあげて楽しんでいたらくじゃくがきて、最後に尾を綺麗に広げてびっくり。。という展開のお話しです

Wilf’s family went to park to see a lof of birds.
They bought food for bird in there.
They walked a short way. There are many kind of birds.

They’re glad! The children gavea food to bird. Mum took pictures. Then, they were boring to gave a food. Then, they saw picok. The picok opened the fether. It was very very beautiful. Dad ran around pond seeing all bird.
”くじゃく”については、本人が何ていうの?ときいてきたので
ピーコックだよ、と伝えました。そしたらあのすぺるになりました^^;)

それと、fetherは、たまたまその日読んだORTの中に出てきた単語に
あったことを思い出して、見つけ出してきて書いたようです。

今回の学校のテストは今一だったというふっくんですが
私は満点!!を上げます^^。
そう多読仲間の先生方にお話して、ふっくんのを見せたら
二人の先生が100点ずつくれました^^。
ふっくんの文を点数では表せないけど、私達にとっては300点!
きっともっと!!です。
さて、次はたっくんの文です

最近キッパーたちの町は、やたら鳥が多くなったようです。
そこで、子供達が遊びに出かけている間に
パパとママはかかしをつくりました。
キッパーの家族にそっくりの5体のかかしです。
これでもう鳥になやまされないね~と喜ぶ
キッパー家族ですが、町中には鳥さんがあふててて。。というお話しです。
”Good bye”, said children.
Mum and Dad was making かかし.
Mum made a heads.
Dad made body.

“Surprise!!”, said children.

“They looks like us!!”, said Biff.

“We can’t go there”, said the birds.

この、鳥さん達の気持ちを表す一行が
とんちがきいていて最高に素敵でしょう!!^^)
普通だったら鳥は入ってきませんでした。。
くらいの文になりそうですが、たっくの、この、
とんちを聞かせる余裕と想像力があるところがとても好きです。
次はもっくんです。

キッパーが幼稚園で絵を描いた後
おうちに帰る時間になった時、手袋がみつかりません。
くつを履き替える時、何か変な感じがしたので
先生に言ってみると、なんと靴の中に手袋が
入っていて、ママに先生が見つけてくれたことを自慢する
ほほえましいお話しです。

Kipper went to school, and he drow a picture with classmates.
Kipper said “Oh, my picture is very cool.”
When Kipper back home, he bring his bag and put on shoes.
Every-one back home, too. Saddenly he lost his mitton.
He was panic. Then his mitton was in his shoes. That was found a teacher.
Kipper talked it mum.
“Teacher found my mitton to me”
He was very glad.
とってもほのぼのしたようすがよ~くあらわされてますよね。
読んでてこころがほっこりしてしまいました^^。
間違えても全然OK。スペルはどうでもいいと言ってます。
日本語もOKと言ってます。

それで楽しく書いてくれるなら
それが一番だと思うからです。

いつも自由すぎてどうしていいか分からなくなるくらいの
元気ダンスィーズですが、
こらからまたどんな文章を書いていってくれるか
本当に楽しみです^^

間違えてもいい、スペリングもいい、日本語もOK、楽しく書いていれば一番!
これが「多読的」の真髄--読むのも、聞くのも、話すのも、書くのも、このいい
加減さで大量に!

中学2年生が自分でこれだけの長さの文章を楽しく書ける--
すごいことです。

二人目のたっくんの文章はOxford Reading Treeのスタイルをそのまま利用して、
その上に突然鳥の気持ちをことばにしています。この自由度は特にすごいですね。
英語が自分のものになっているからこんな離れ業ができるのでしょう。

ぼくからも3人に、それぞれ100点満点、300点をあげましょう!!!

離陸の図解のために 朝令暮改--昨日の晩の今日の朝でもう?!

たとえというのは気をつけなきゃいけませんね。

「離陸」というのは多読にぴったりのたとえだと思うんですが、
(その点は変更の必要はない。なにしろ「独り立ち」が目的だから)
離陸する飛行機というのはいわば一直線に昇っていきますが、
多読でみなさんが学校英語から自由になる経路は決して一つではない!

それこそぴ~ママさんやakoさんのように、多読の途中で絵本に引っかかって
ずーっと絵本を読む人、児童書に引っかかって当初のペーパーバックを楽しむ
という目的を忘れたYYYさん、本は読まずに俳優の追っかけに英語を使っている
YYYさん、ロマンス本にはまったYYYさん(多数)、XXXさん(一人)、
BLにはまったYYYさん(複数)、翻訳に向かっているYYYさん(複数)などなど、
「完全に離陸」したあとはいろいろ楽しみ方があるわけです。

従って、離陸を図解するとしても、各段階を・・・

1冊の語数やラベルの色 で決めつけてはいけない!

そんなものは本棚から本を取り出すまでの目安に過ぎない!

逆に言うと、語数も色ラベルも気にしないで好きなものを好きなように楽しむことが
本格的離陸ですね。楽しめないものを一言「いまのわたしには合わない!」
と切り捨てる自由さえ手にする!

反省とともに、語数や色ラベルに囚われない図解を考えることにします。

離陸の図解のために

最近こういう一文のあるメールをもらいました。

さかぺんに報告出来る事は、Tadokuから完全に離陸して、大空を飛び回っているって事かな!

これ、実はわたしが考える「完全な離陸」のたとえと同じなのです。
最初は飛行場の滑走路のように、ある程度レールの敷かれたコースを、
Stage 1 から Stage 2 、Stage 3、Stage 4 というように助走します。

そのうちスピードもスタミナもついてきて、離陸態勢に入る。
前輪、後輪と滑走路を離れて、機体はふわっと air-borne になる。
これが「不完全な離陸」ですね。まだ地面を離れただけ、空の旅には先がある!

この段階の離陸を多読でいうと、絵本から挿絵入り本に移るあたり、
NPOの色ラベルでいうと黄色、1冊あたりの総語数でいうと5000語から1万語くらい。
挿絵は間遠になり、挿絵だけ見たのでは話はさっぱりわかりません。

で、飛行機はふわっと浮くとすぐに車輪をしまいます。黄色ラベルの厚い本、
1万語くらいの本を気持ちよく読めるようになるのがこのあたりでしょうか。

でも、まだ飛行機は急上昇を続けていて、わたしなどはまだ息を詰めて、
この高さなら墜落してもかなりの確率で助かるのではないか? などと
気休めを思いつつ、街の俯瞰図を楽しんでいるあたり。

多読支援する人にとってもこのあたりは伸びについていちばん気を遣う
ところですね。無理に機首を上げると失速します。それに黄色ラベルになると、
それ以上上昇しなくても十分おもしろい本があるので、
ゆっくり時間をかけたいところでもあります。

そうやって息を詰めていたのが、少し楽になるのは、シートベルト着用の
サインが消えた時。トイレに立つ人、頭上の荷物置きから何か取り出す人、
なんとなくざわざわしてきて、客室乗務員が飲み物の用意をする音も
聞こえてきます。さあて、ここからの数時間をどうすごそうかと、
上昇よりも楽しみの方向へ気持ちが向き始める。
(絵本にはまってずっと絵本を楽しむ人もいるのだから、ラベルの色なんて
ほとんど意味がありませんが、字ばかりの本でいうと、そうですね、
緑ラベルに入ったあたりでしょうか。)

けれども最初のメールの人がいみじくも書いた「大空を飛び回る」のは
もう少し先かな? それは水平飛行に移って巡航速度で進み始めたあたり。
それが完全な離陸ですね。青いラベルまたは1冊の語数にして
3万語から5万語くらいの本を気持ちよく読めるようになったら、
このあたりですね。

1万メートルの上空からはどこへでも行けます。近い外国、遠い外国、
遠い国内もおもしろそう! 外国語の本を選ぶにしても、もう語数は
どうでもいい。好きな作家を見つけに空を飛び回ります。
飛び回るうちに今まで好きになるとは夢にも思わなかったものが
好きになるかもしれない!

追記 ついでに次の記事も必ず見てください。短いです。

それは絵本作家かもしれないし、何かの専門分野かもしれないし、
外国の友だちかもしれないし、ブログを外国語で書くことかもしれない。
Skypeで新しいことを始めるかもしれない・・・

大事なヒントをありがとう、ぴ~ママさん!

いま多読について書いたことは聞く、話す、書くについても言えます。
要するにすべて、簡単なところからはじめて、少しずつ複雑な方へ・・・
支えありから支えなしへ・・・

いわゆる4技能は読了語数や色ラベルと同じで、目安にすぎませんが、
聞く、話す、書くについても、具体的に離陸を図解できたらと考えています。