ディクテーションは無意味  「ある人」のメッセージから・・・

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「ディクテーションには意味がない」なんていう、きっとほとんどの人には「寝耳に水」
みたいな話に付き合ってくださって、正面から返事をくれた人がいます。

ありがとう!

その全文を紹介して、無意味な理由をさらに掘り下げようと考えています・・・

先生!
3本も記事を書いていただき、詳しく説明していただいてありがとうございました!
ディクテーションがダメな理由とは、「リスニング向上に意味がない」ということだったんですね!理解しました。確かにディクテーションは根を詰めてやるものじゃないですし、ドラマなど学生にはとても無理でしょうね。

3本どころか、なんとまだ続くのです・・・

(以下長文です)

私が生徒にディクテーションをやらせた(といってもまだ数回ですが)理由は、まさにその
音は変わる
音は落ちる

ということを体感してほしかったからです。
聞こえた(あるいは聞こえない)ことを書きつけてみると、ノートに残りますので実際の文章との差が目に見えてわかります。
どこが聞こえていてどこが聞こえない、またどこの音が変わってしまっているというのが、文字に慣れすぎてしまっている高校生には文字で見せてあげるのがわかりやすいかなあと。

↑ なるほど!です。書いたとおりに読んでいないよ、ということを知るには
ディクテーションもいいかもしれませんね。わたしがシャドーイング・セミナーで
いつも言うのは、「ありゃっした~」のように、普通は

書いてある文字を全部声にしない

ということです。

もちろん音の脱落や変化を教えるなら最初からシャドーイングでもいいのですが、やらせてみてもまったくできません…(できなさすぎて嫌がります)。ですので、妥協案としてどの音が落ちてどの音が変わるんだなという意識を持ってもらった上で、まずはリピーティングをさせています。(リピーティングのときは文字は見ません)。
ちなみにこれは学習塾の子たちの話です。英会話スクールの高校生たちは音に慣れているのでもっとできます。(現在私は塾と英会話スクールとダブルワークしています)

リピーティングがどういうものか分からないので何とも言えませんが、
ディクテーションに代わる解決策はシャドーイングだろうと思います。

ところがシャドーイングは大人にも不評です。
セミナーではそれを乗り越える楽しいシャドーイング、気軽なシャドーイングを
やってもらいますが、ここでは簡単に説明します。

*何度も出てきて耳につく音だけ繰り返す
好きなドラマの主人公の名前ーーたとえば Neal と Peter だって、
日本式カタカナ英語と英語独特の音の出し方ではまったく違いますね。
「ニール、ピーター」ではなくて、聞こえるとおりに音にしてみましょう。
「ニィーォ、ピィーラァ」と、気持ち悪い音が出たら大成功!
こどもたちなら気持ち悪い音の出しっこをすると大喜び?

人気アニメ Peppa Pig  では、主人公の Peppa、弟の George の名前だけでも
カタカナ英語を抜け出せます。「ペパ、ジョージ」とはずいぶん違う音が出てくるはず。
だいぶ本格的なシャドーイング案内になってきました。ここからちょっとはしょります。

上のページの Hey Duggee では、いつも最初は It’s time for…Duggee! で始まります。
これをみんなで声を合わせるのも楽しいはず!

*なりきりシャドーイング
好きな俳優や気に入った台詞回しがあったら、それをできるだけその人に
なりきって感情を表現します。音がどうのこうのではなくて、
演技力で勝負のつもり。音がちゃんと出てるかどうかなんてどうでもよくなって、
好きこそ物の上手なれ--その方が音の獲得は早い!

*四カ国語麻雀シャドーイング
これはYouTubeでタモリさんの演技を見てください。
こどもたちにもまずこれを見せて、それからシャドーイングに入りましょう!

*いっそ劇薬シャドーイング!
シャドーイグは不評ですが、劇薬シャドーイングはもっと不評です。
でも、劇薬シャドーイングを数分、できれば5分くらいやってから
普通の英語(教科書じゃなくてね)のシャドーイングをやる手もありますね。
いきなり英語よりもはるかにやりやすい気がするはず。
ご要望があれば劇薬シャドーイングの素材CDを差し上げます。

 今まで英会話スクールの子たちしか知らなかったので、塾の子たちの「文法問題はすごく出来るけどリスニングのあまりの出来なさ」にものすごく衝撃を受けています。(英会話スクールの高校生たちは、私の喋る英語をほとんど聴き取るし、たどたどしくても話せますが、文法は結構知りません。まあこちらも教えないのですが。笑)

塾の高校生は学校の授業では音は一切使わないそうです。先生が一方的に文法説明して終わり、と。生徒の発言機会もほとんどないそうです。ALTもいません。そのうえ、彼らが通う塾にもCDプレイヤーがありません。えーーそんな!彼らは英語の音はどこで学べばいいのでしょう?あまりにもかわいそうすぎると思い、塾の上司とかけあって、私の授業では音源を使う許可を得た次第です。(塾にCDプレイヤーがないので私の私物iPhoneを使うというしょぼさですが)

英会話スクールではシャドーイングは嫌われていないのかな?
塾ではまず「ことばは文字ではなく音」というところから納得してもらわなければ
ならないようですね。「ある人」なら、できる!

本当はもっと易しい文章でリスニングさせてあげたいのですが、カリキュラムに沿って行わなければならず、私の勝手な判断で教える内容を変更できないのが悩ましいところです。授業の一部を多読の時間に充てているのもこの塾の子たちです。「塾に行かせてるのに、絵本なんか読ませやがって!」と保護者から苦情がこないかヒヤヒヤしながらやってます(笑)

それは大変だ。どこでも多読の最初はゲリラ的にやることになりますね。
結局絵本をじっくり楽しんだ方が成績の伸びはいはずなんですが、
それを塾の経営者や保護者に納得させるのは至難の業。
授業の一部で多読をしているというのは相当勇気が要りますね。

また、英会話スクールに通う高校生は明らかに「英語が好き!喋れるようになりたい」という子たちですが、塾に通う高校生は「英語なんか喋れなくても、テストで点が取れればいい」「大学さえ受かればいい」というスタンスの子もいて、教える方も悩ましいです。単元テストで点数が取れるのと、センター試験や英検、実力模試など実力を発揮できる力は明らかに違うと思うのですが。「教えない」は割と得意ですが(笑)「押し付けない」って難しいですね。

豊田高専の西澤さんたちが書いた論文は説得材料にならないだろうか?

最後は仕事の愚痴のようになってしまい申し訳ありません。
先生のおっしゃることの本質が理解できてよかったです。毎週何時間も生徒にディクテーションさせるようなことはしていませんし、自分もそんなやりかたはしていません。(そもそも手が疲れてできない笑)

わたしはほんとにむごいことをしていましたね。
そういう罪の意識もわたしが多読・Tadokuを広める原動力になっています。
おたがい、がんばろうね!

「ある人」、ありがとうございました。

次回はディクテーションと発音練習の両方に共通する不毛さについて、
まだまだ理屈が続きます! 懲りずにお付き合いください・・・

なおシャドーイング特別セミナーの詳細はこちらへ・・・

http://tadoku.org/seminar/2017/10/14/5113