8月6日は多読支援セミナー!

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やはり16年ぶりの波が来ているのでしょうか。
参加申し込みは100名を相当超えそうです。

中でも今回初めて図書館多読を支える人たちが多数参加するので、
新たに分科会を作ることになりました。

発表、講演は最小限で、ただ聞くだけでなく、みんなで語り合います。
多読も多読支援もはじめてという人の分科会もあります。
ただみなさんが語る様子を見るだけでも多読と多読支援が見えてくるはず。

2018年8月6日(月) 第7回 多読支援セミナー
「いま改めて多読とは?多読支援とは?」

https://tadoku.org/seminar/2018/06/04/5693

「続き」では、日本多読学会の成立経緯から多読支援セミナーの
成り立ちと仕事について少々理屈っぽい話を・・・

2002年に「快読100万語 ペーパーバックへの道」が出てすぐ、
多読は予想外の広がりを見せ、多読支援も広がりを見せ始めました。
そこでウェブサイトや多読普及行事の場を貸してくださっていた
科学的教育グループの古川昭夫さんが学会を作ろうと言い出しました。
当時多読普及の中心にいた佐藤まりあさん、河手真理子さんも乗り気で、
やりましょうということになり、初代会長はさかいさん、という話に
なりました。

わたしは渋々引き受けました。
理由はそれまでにあちこちの学会を見てきて、
学会のくだらなさに辟易していたからでした。
わたしは英語関係の学会を「カラオケ大会」と揶揄していました。
その心は・・・

おれの下手な講演を聞いてくれたら、おまえのも聞いてやる。

そういう馴れ合いと時間の無駄が耐えられなくて、
日本多読学会発足当時はわたしはどこの学会にも参加していませんでした。
けれどももし多読学会を作るとなると、会長は引き受けざるを得ないなと
覚悟して、発足時の挨拶でわたしは「清く・正しく・貧しく」を
スローガンにすると言いました。

*清く -- わたしが見た学会はどれも発表者の業績稼ぎが目的でした。
そこでどうしてもカラオケ大会になってしまう。わたしはみなさんに
発表はほかの学会でやりましょう、多読学会はみんなで語り合う機会に
しましょう、と呼びかけたのです。

*正しく -- カラオケ大会になると、とかく同じような発表が
続きます。ほかの人が言ったこと、やったことをちょっとだけ変えて
とにかく「学会発表」の実績を作る・・・ それはいやだったので、
発表するならまっとうな内容、つまりほかの人には言えないことを
言ってほしかったのです。

*貧しく -- 「清く」とあまり変わりませんが、お金も名誉も、
権力も関係ない集まりにしたかったのですね。
業績稼ぎとか、ぼく/わたしはえらいでしょ?といった見てくれの
ために発表するのではなく、多読支援の喜びや悩みや苦しさや
楽しさを共にする、そういう話し合いの場にしたかった。

その後NPO多言語多読ができて、すぐに支援セミナーが始まって、
支援セミナーのおおよその形は日本多読学会発足時の「理想」を
ほぼ保っていると考えています。

わたしが支援セミナーの広報で「講演や発表は最小限です。
みんなで語り合う場です」と強調するのもその理想を守りたい、
というわけです。

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日本多読学会の後日談ですが、最初の挨拶で、わたしは「学会誌は
発行しません。発行することになったら会長も会員も辞めます」と
言いました。発足最初の挨拶にしてはとげがありましたね、今から思うと。

けれども「学会」という名前にしたいというところからして、
従来の学会の形に入りこみたいという意思が表れているわけで、
わたしの「清く・正しく・貧しく」はおそらく当時の学会員は
だれも理解できなかったにちがいありません。

会長を2年やったら辞めることにしていましたが、
辞めるときにはすでに学会誌発行の話が出ていました。
そこでわたしは会長も学会員も発足2年後に辞めたのでした。

NPO多言語多読の会員には、学会誌や、業績作りや、自分の名誉や
名声のためにセミナーに参加するという人は一人もいません。
どの人も多読と多読支援に好奇心いっぱいで参加するのだと
思われます。なんという稀有な集まりでしょうか。

Long live, 支援セミナー!

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追記

上の投稿から数日経ちました。現在の日本多読学会がどうなっているか知りませんが、
日本多読学会のすべてを否定しているわけではないと付け加える必要があると思います。

日本の英語関係では清く・正しく・貧しい学会を覗いたことがありません。
だから学会というものは日本では腐敗する傾向があると思います。
とはいえすべての学会のすべての会員とすべての発表とすべての学会誌を知っている
わけではありません。ですから、日本多読学会であれ、どれであれ、その中に
まっとうな学会があって、まっとうな会員がいて、まっとうな発表をして、
まっとうな学会誌を発行している可能性を、かなり薄いとは言え、
100%否定する物ではありません。