物語の力? 語りの力? The Power of Narrative? メモです。

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呼び名をどうしようか、困っています。

多読については毎度のことです。tadokuというだれも考えていなかったこと、
名前をつけていなかったことについて考えようとしているのだから、当然ですね。

多読が普及しはじめてすぐ、わたしは「読む」ってどういうことなんだろう、
どうやったらある本を「読めた」と判断できるのだろうと、悩みはじめました。
どちらも今まで(少なくとも)英語教育では思いもつかなかった疑問でしょう。

(読めたかどうかの判断については、すぐに答が出ました。
「ある本を読み終わってすぐに次の本に手が伸びるなら、その本は読めたと考える」
というものでした。要するに「読めたかどうかを測ることはできない」ということですね。
それはわたしにとっては自明でした。だから読むという行為の「外形」で判断しよう
というわけです。)

英語教育で「物語の力」に類する考察は一切されてこなかっただろうと思います。
わたし自身は「物語の力」という呼び方ではずいぶん前から考えてきました。
知っている人もいると思います。最近また「ことばの氷山」に関連して、
「物語の力」の大きさをしきりに考えていて、ついでに呼び名をどうしようかと・・・

そのまま「物語の力」でもよかったのですが、「物語」にするとフィクションだけと、
受け取られそう。そこでノンフィクションも含めた「語りの力」というのも考えたのですが、
どうもしっくりこない。第一「騙りの力」と受け取られかねない?

そこで英語で the Power of Narrative というのを考えたのです。
おお、いいぞと思って、narrative を wiki で見ると・・・

any report of connected events, actual or imaginary, presented in a sequence of written or spoken words, and/or in a sequence of (moving) pictures

普通の「物語」はもちろん入ります。加えて、フィクション、ノンフィクションには関わらず、
しかも文字にも音声にも関係なく映像も含んで 「一連のできごとを描写したもの」と
定義されています。とすると、「物語の力」で言いたかったことにほぼぴったり!?

connected, sequence ということばが出てくるところに注目してください。
逆に言うと箇条書きは入らないと、わたしは考えます。
数式や化学式を並べただけというのも、入らない。
写真がただ並んでいるのも入らない・・・? 無声映画は? 大丈夫でしょう。
年表はいかにもひとつながりに見えますが、描写はしていないとわたしは思うので、
入りそうもない。しかしそもそも「描写」か「叙述」か、「語り」か、「お話」か、
その辺も今はまだ決められません、わたしは。

一方で、どんなに自然科学的な内容でも、話し言葉や書き言葉でつないだ叙述は
入りそう。通常の科学論文は narrative ですね。
逆にウィトゲンシュタインの「論理哲学論考」は narrative とは言えそうもない。
ただしウィトゲンシュタイン本人には十分narativeである可能性はありますね。
つまり、文字であれ、音声であれ、映像であれ、数式であれ、物であれ、
それが連なって narrative と言えるかかどうかは、「読む」人によって変わるらしい。

と見こう見すると、 the Power of Narrative がいちばんいいんだがなあ・・・!
・・・でも、英語ではなあ・・・?

というメモでした。

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