今までのこのトピック同様、一つの言い方の役割は一つではありません。
Good-bye が普通のお別れの際に使われることはあるでしょう。
it が「それ」にあたることもあるでしょう。
belong が「所属する」という場合もあるでしょう。
悪いのは「一対一対応」です。
「Good-bye=さようなら」、「head=頭」、「water=水」、
「climb=登る」、「on=上に」・・・・・・・・・・ といった
一対一対応はそれほど齟齬を来さないこともありますが、
ずっと信じているといつかきっとしっぺ返しを食うでしょう。
でもこれについては1993年出版の「どうして英語が使えない?」に
くわしく書いているので、ここまで。
今回は Of course. です。
実はこれも「どうして英語が使えない?」にくわしく書きました。
一言で言えば、Of course. は「なんでそんなわかりきったことを
訊くんだ?」という役割がある、ということです。したがって、
「バカを言うな」と受け取られて、相手が怒り出すこともある・・・
ある人が I Want My Hat Back という絵本の作家 Jon Klassen さんの
サイン会に行って、サインをもらい、その時の会話で Of course. を使ったことを
ツイートしていました。本人の許可を得て再掲します。
イラストとは別のことで you like it ?? って聞かれて、例の”of course”をついついつかってしまって、笑ながらsorry silly question って言わせちゃった(笑)
「バカな質問だったね、ごめん」と軽く受け取ってもらえたのは
絵本作家とその講演に来たファンということでお互いに信頼があったからですね。
信頼がある場合はこんな風におだやかなやりとりになりますが、
信頼がない場合や信頼を築いている最中の場合は具合の悪いことも
ありえますね。わたしは大昔、Of course. と言ったとたん、
Why Of course?
と顔色を変えて迫られたことがありました。「そんなこともわからないのか、
バカだね」に近く受け取られたのでしょうね。
わたしはいくつもいくつもそういう齟齬を体験して、学校英語に対する
疑いを膨らませていったのです。学校英語で「一対一対応」を押しつけ
られていなければ避けられた齟齬の記憶がいっぱいあります。
なお、ことばを適切に使える時と場面と相手はさまざまです。
じっくりやりとりして誤解を解ける時と場面と相手の場合や
誤解など気にせずにとにかく相手を納得させなければいけない場合は、
間違いや齟齬なんて気にすることはありません。
Jon Klassen さんのサイン会で Of course. を「ついつい使ってしまって」
Klassenさんを恐縮させた「ある人」の結論は・・・
でもばっちりコミュニケーションとってきたぞーーー
いいぞ、いいぞ! それが大事だもんね!!
いくら間違えたって、表情や態度や眼で誤解を解くことはできます。
ばっちりコミュニケーションがとれたのなら、何も心配はないですね。