学校英語を洗い流すために differently の t は声にしない

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前回の質問は誤解を招く表現でした。

differently をどう「発音」していますか?
あなたの場合、t ははっきり聞こえていますか?

特に2行目がいけませんでした。みなさんが differently を声に出して読む時に、
(だれかそれを聞いた人が) t の音をはっきり聞きとれますか?
という意味でしたが、見事に舌足らず。

それで、一気に学校英語が忘れている「発音」の大事な点に話を持って行きます。
それは英語は(日本語にくらべて)、

  「一つ一つの文字を全部声にはしない」

ということです。

differently の場合は、Yさんがメールをくださったように、

t は前のn次のL と舌の位置が同じなので、破裂(上あごから離さないで)せずに発音しています。

・・・その通りですね。けれども、そのほかにも独眼龍さんの提案によれば

exactly とか absolutely とか slightly とか

などがありますね。

実は英語の綴りで 子音 (aeiou以外のアルファベットが表す音としておきます)が続く
ことはよくあります。上の例では differently の ntl というつながり、
exactly の ctl 、absolutely の bs や tel (e は声にしないので、tl という
つながりと同じになります。)、slightly の sl と tl などはどれもつながった子音のうち、
どれかが弱くなったり、消えたりするわけです。

(どれが弱くなる、どれが消えるという話はこの話題をそらせてしまうので、別の機会に
しましょう。)

(でも、やっぱりみなさんおもしろがると思うので一つだけ・・・
absolutely の b は弱くなって、場合によっては p になります!)

消えたり、弱くなったりするのは重なった子音だけではなく、主に aeiou が表す
「母音」にも起こります。さらに 「音節」 や 「語」 が弱められたり、まるまる
消えたりするのですが、そんな風に音が消えたり、弱くなったりする現象をまとめて

マクドナルドの法則 (すでに何回か記事にしているという気がします。)

と呼ぶことにしましょう。

たとえば ハンバーガーのマクドナルドは英語ではMcDonald’s ですが、
ク の音も ル の音も英語では聞こえません。カタカナにすれば ムダノスのように聞こえます。

ハリー・ポッター・シリーズの愛すべき McGonagall 先生は、翻訳では
マクゴナガル先生でしょうが、映画でも朗読でも カタカナで書けば マゴナゴ に
聞こえますね。たとえば次のインタビューでは10秒あたりで、Maggi Smith 自身が
マゴナ としか聞こえない読み方をしています。

http://www.youtube.com/watch?v=VOl9taK1OR8

ところが学校では

すべての文字を声にしなくていいとは習わなかった

のではありませんか?
したがって、学校で習ったことをそのまま援用すると、
McDonald’s と書いてあれば マクドナルズ と読む(声にする)のではありませんか?

もし綴りの通りに読まなかったら、教室では「崩れた発音 」などと嫌がられます。

McDonald’s を マクドナルド と読む(声にする)のも、
McGonagall を マクゴナガル と読む(声にする)のも、
学校英語の影響ではないでしょうか?

(書くときには 綴りにできるだけ忠実に、というのはちょっぴりわからないでもありません。)

このことについては20年前にちくま学芸文庫から出して
「どうして英語が使えない? 学校英語につける薬」
にもう少しくわしく書いてあります。

さて、次回は 英語の過去形は「・・・した」と訳せばいいのか? という話題について
考えます。ぜひみなさんの意見を寄せてください!
宛先は info あとまあく tadoku.org です。

「ええーっ! 過去形は「・・・した」じゃなかったの!????」という人もぜひメールを!

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