さかい殿ご乱心! 先が短いとはこういうことか・・・

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ここ1年くらいまもなく引退だ引退だと言ってきましたが、
引退詐欺に終わって、理事長は交代したもののまだ理事です。

(使い道が残っていると思われるのはありがたいけれど、
2002年のNPO多言語多読発足以来、世代交代がわたしの
最大の仕事と考えていたので、本当なら「さかいさん邪魔だから
どいてください」となるといちばんよかった!)

まだ現役ですが、気持ちは早く引退しなければ、引退できるように
しなければと、焦っているのだと思います。
6月14日から16日の東海地方tadoku行脚でも、焦りが出ました・・・

まず14日、豊田高専イブニング・セミナーでDさんが大切に大切にしている
多読記録ノートを取り上げました。

きっと多治見のIさんの顰蹙を買うに違いありません。
Iさんはそのまま菩薩様かというお人柄ですから、
顰蹙を買ったらもう多治見に伺えなくなります。そこで言い訳です。

Dさんはとんでもない人で、多読を始めたのは5年前、それまでは
英語はとても不得意だった様子(くわしくは報告を書いてくれる
ことになっています)。それが5年の間に分厚いペーパーバックを
どんどん読みこなして、くわしいノートを作っています。

辞書も引いているようです。ほとんど想像を絶する頭の回転と
粘り強さの両方を使って何千万語を読んできたと思われます。
けれども辞書を引いているだけにリスニングはかなり不得意と見えました。

今までの「お勉強」的な読書は辞めた方がいいと思ったので、
わたしはDさんに「もっと英語の力を伸ばしたいですか?」とたずねました。
Dさんは即座に「できるかぎり」と答えました。

そこでわたしも即座にノートを手にして、
「Dさんはこのノートのやり方は極めたのだから、
多読を試しましょう。これ、預かります」と言いました。取り上げたわけです。
Dさんは素直に「はい」と言ってくれました。

Iさんの顔が頭をかすめます。Iさんは以前にわたしがDさんに
辞書引きをやめましょうと言ったときに、厳しい顔になって、
それぞれの好きなやり方でいいんです、という意味のことをわたしに言ったのでした。
Iさん、許してくれるだろうか?
許してもらうために、わたしは必死でDさんのお手伝いをします。
楽しみです!

そして16日、津市の三重県立図書館で多読交流会があって、
そこで多読の話をしました。そのとき若い男性が、
「多読で百数十万語読んだけれども京都大学の英語の試験問題を
やったらやっぱりわからない」と言いました。
そして、「この本を買いました」と見せてくれたのが、
薬袋善郎という人の書いた「英語リーディング教本」でした。
それをわたしは取り上げました・・・

東京に帰って、この本を見ると、これはひどい・・・
かつての伊藤和夫という受験英語の神様とまったく同じことを言っています。
文法用語だらけです。だれもこんなことを考えながらペーパーバックを
さらさらと楽しめるようになった人はいないと思われます。
おそらくこの薬袋という人も、ペーパーバックを楽しんだり、
映画やドラマを字幕なしで楽しんだり、さらさらと何気ない話を
英語で楽しんだりはできないひとでしょう。

(できる人だったら、こんなしちめんどくさい作業は
とっくの昔に卒業しているはず。)

いまだにこういう文法分析が世の中の主流なのだと思うと、愕然とします。
「英文を読む」ことが「英語の読解」で、分析しながら少量の英文を
日本語に直せることだと考えているのでしょう。哀れとしかいいようが
ありません。

もうまもなく、いや本当はすでに、英語を日本語に直しながら読む
時代ではありませんね。大学入試の英文量もすでに文法分析英文和訳で
読める量をはるかに超えています。いま文科省が提示している新しい
試験の案によると、2年後にはいまの量の何倍かになるようです。

そうなったら文法分析英文和訳の人たちはどう対処するのでしょう?
いや、数年前にすでに、東大受験で有名な鉄緑会なんていうところは
長文問題の優先順位をいちばん低くしていたそうです。
(7、8年前に同会に通った多読っ子の言です。)
とても文法分析している時間がないからですね。

ではどう対処するかというと、設問を先に読んで、本文の当該個所
付近をざっと読んで答えを見つけるわけです。
東大などはそれをやられたくないので、全体を読まなければいけないように
設問を工夫するけれども、そういう工夫にはかならず裏道がある。
そこで塾や予備校はその裏道を受験技術として教える、
大学側はまた別の問題を考えて読ませようとする、塾や予備校は
その裏道を教えて儲ける・・・ 以下同文。

(「英語リーディング教本」まだちらちらとしか見ていませんが、
見た部分だけでもひどいものです。文法用語の羅列もひどいけれども、
例文がまたおっそろしく奇妙で、古くて、その点でも伊藤和夫そのまま、嗚呼!)

お名前は聞き漏らしましたが、また津市に伺ったときには、
その後どうしてるか聞かなければいけません。そして二度と
文法分析英文和訳に戻らないように説得しなければいけません。

ふだんはそういう人たちはもう勝手にしてくださいと思っているのですが、
目の前にこういう本が現れるとつい強く反応してしまいます。
やはり焦りがあるのか?

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