続きに引用したのは、読みにくいかもしれませんが、Skypeのチャットです。
(Mさん、ブログへの引用が遅くなりました。ありがとう!)
3ヶ月でTOEICの点数が150点上がったという・・・
Mさんはある高専で多読支援をしています。
何度もわたしを招いて多読の講演をさせてくださっている古い仲間です。
Mです。高専のある学生が、昨日の授業後に「TOEIC150点もあがりました。
多読ってすごいですね」と言いにきました。ORT5くらいまで読んだあとは、
Franny K.Steinが気にいって、その後Mighty RobotやCaptain underpantsを読んでます。
600点台になったそうです。Sakai: それはすごい! 記録はとってあるのだろうか?
Mさん: 多読手帳はうちにあります。今年の9月に始めたばかりでもこんなに伸びることあるんですね。
Sakai: 9月からですか! それはまた早い・・・
何冊読みましたか? 総語数はどのくらいでしょう?
ORT5からFranny K. Stein へはORT6以上は読まずに?Mさん: 手帳持ってきました。勘違いでORTは7まで読んでいます。
ORTがいやになったわけではなく、授業中に紹介したFranny Kにはまってしまったということです。
146冊で100827語です。Sakai: おー! すばらしいですね。このやりとりは資料として保存します。
ありがとう!
こういうこともあるという例にすぎません。
だれでもこうなるはずだというのではないのです。
わたしが注目するのは、こんなに少ない量で試験に反映することもあるという点。
この量の少なさと点数の上がり方は電通大のYくん、Hくんの例を思い出します。
*Yくんはピンク・ラベル(1冊の総語数500語以下)の絵本と
赤ラベル(同じく1000語以下)の絵本を300冊くらい読んで、合計10万語前後で
340点から640点へ。多読の期間は途中1年の休みが入って2年間でした。
*Hくんは冊数はわかりませんが、4ヶ月間ピンクと赤の本ばかり読んで、
それから突如 Rainbow Magic シリーズを20冊読んで、6ヶ月目に380点、
9ヶ月目に580点でした。(Mさんの学生の読み方に似ている?)
つまりこの人たちは「多」読の常識を疑わせるものなわけですね。
豊田高専の西澤さんは300万語で100点上がるという結果を報告しています。
サンプル数が多く、信用できそうです・・・が!
まさに The exception probes the rule. なので、
(今では間違って The exception pro<v>es the rule. と言われていますが、
元は probes が正しいと、進化論学者だった Stephen J. Gould さんは
書いています。ただし異論があるようです。wikiへどうぞ。)
わたしの論点は「絵本の多読はこんなにもすばらしい!」ではなくて、
この3人の「例外」を探り針にして「多」読という「規則」の妥当性を
調べることができるのではないかという可能性が見えたことです。
わたしの今の予想は 絵 と 物語 の力です。
絵本には、単語帳にもない、英和辞典にもない、文法書にもない、
「絵と物語」があります。
多読の「多」を調べる手がかりの一つとして、例外3人の読書量とTOEICの
上昇点数を並べてみます。数字は「ざっと」です。
Yくん 20万語 300点
Hくん 10万語 200点
Mさんのある学生 10万語 150点
豊田高専の学生たち多数 300万語 100点
豊田高専の学生たちは比較的絵本を読んでいないのかもしれませんーー
西澤さんの統計はかなり前のものですから。
もし絵本ではなく graded readers を主に読んでいたために
300万語で100点上昇ということだとしたら、
(あくまで 「たら」です。西澤さんにそのうち確かめます。)
A picture is worth a thousand words. という
言い方がありますが、あれはあながち大法螺とも言えないのかもしれません。
いまはYouTubeやドラマやDVDがあるので、絵に音がつき、物語が展開する
ようになりました。今後もtadokuする人たちの様子をじっくり見て、
少しずつ多読/tadokuの姿に迫りたいと考えています。
もし何か感じること、思うこと、考えることがあったら知らせてください。
連絡先はいつものように・・・
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