いままでにも何度か触れましたが、英語を支援する人(いわゆる「先生」)の
メーリング・リストがあります。
(支援している生徒の状況をくわしく書くことがあるので、一般には公開して
いませんが、リストに参加している支援者一人の推薦があれば参加できます。
だれも知らない場合は info あとまあく tadoku.org に参加希望を寄せてください。)
このメーリング・リストがまたすばらしくて、本当に生徒のことを考える人たちが
集まっていると思います。試験や資格ではなく、生徒一人一人が多読でどう
自分の土台を作り、世界を広げ、考えを深めていくか・・・
下に引用するメールで、このメーリング・リストのよいところを垣間見ることができます。
先日、高2S君とのレッスンの際、彼がとても
興味深いことを言っていたのでちょっとご紹介させて頂きます。S君は数学がとても得意な、明らかな理系少年ですが
中3で多読を始めてから、文系的にとてもやわらかい、良い感性が育っている感じです。”以前は、古文や現代文がはすごく苦手だったのに、最近そっちが伸びてるんです。文章を読んで読み終わった後、内容が頭にちゃんと残ってるんです。主人公の気持ちとかを書け、とか言う問題も、以前はものすごく苦手だったんだけど、最近は楽にかけるんです。僕、これ、多読のおかげなんじゃないかなって思うんですよ。”
私は彼の言うこと、とても分かる気がします。
実際、娘達の古文の問題なんかを読んだとき、自分が高校生だった頃より
”前より読めてるかも???”と思ったことがあるので。単語と文法を繋ぎ合わせて無理やり読んでいたあの頃とは違い、
自然に英語の本を読むときのように文章の流れを汲み取って、わからない部分は飛ばしつつも、全体のイメージから理解していく読み方は古文を読み解くにも十分通じるはずですよね。文系で、普段からよく本を読む子はあまり違いが分からないかもしれませんが、理系の子は、単語と文法を数学の公式のように考えて
あてはめて無理やり読むというやり方が強く出ているので、
そういう子が、多読的な読み方をできるようになるというのは
英語のみならず、現代文でも古文でもとても影響が大きいかもしれません。多読は成果が出てくるまで時間がかかる場合もありますが
その影響は、本人も支援者も、気づかないうちに、
そして、思わぬようなところまで届いているのかもしれませんね。確かな成果を求めて逐一テストをしていくやり方では
とても計れない力だと思います。多読のよさを理解して色んな変化を自分でも感じられる
S君の感性には本当にすばらしいものがあると思います。けれど、
彼が中3でやってきたときは、学校の英語が厳しすぎて、
すっかり英語がコンプレックスになっていました。(彼に初めて会ったときの目、ご一緒していた先生方、
酒井先生は覚えていらっしゃいますでしょうか。
本当に痛々しかったですよね。)英語うんぬんより、まず、彼の傷ついた心を癒したい。
そんな気持ちで始めたレッスンでした。
簡単な絵本を一緒に毎回沢山読んで
大好きな漫画をたくさん渡してきました。
高校2年生になった今でも、絵本を一緒に読んで
二人で語ったり、大笑いしたりしています。高校生と一緒に、まったり絵本を楽しめるなんて
私にとっても貴重な時間ですねぇ。”文字や文法じゃなくて、ストーリーを眺めてごらん。
作者のメッセージを思ってごらん”伝えてきたのはそれだけです。
S君は今ではとても前向きです。
毎回のレッスンで、英語を使えるようになりたいという気持ちが伝わってきます。
先日は、 ”学校のプログラムで、台湾に行って、英語でプレゼンをするというのがあるんです。もしかしたら僕、行けるかも!”とも、うきうきと話してくれました。”Patience is important”
とある海外の多読的な日本語学習者の方が、
”早く日本語を上手になりたい、覚えたい”
と焦る他の学習者に対して送っていたメッセージですが、
多読には、焦る心を押させても、”待つ”という価値がいろ~んな
意味で、十分にあるなぁと
つくづく思う今日この頃です。少し涼しくなって
多読にはいい時期になってきましたね。皆様、Happy Reading^^!
長文、失礼いたしました。
このメールに返信がつきました。その一部を明日以降紹介します。
お楽しみに!