多読がじわじわと根を下ろしている北米から、またまたすばらしい報告が!
University of Southern California は全米でよく知られた大学です。
そこで日本語多読の授業を行っている熊谷さんは東のノートルダム大学のはなぶささんとともに
北米の日本語多読をひっぱる存在。先年わたしも多読講演会+ワークショップに招かれました。
続きの報告を読んでください。最近広がり始めた北米ですが、日本の大学の英語の授業より
ずいぶん進んでいます。・・・というか、深まっています。日本の大学はまだまだ文字のない
絵本どころか、絵本を使おうとさえしていません。
熊谷さんの報告にあるように「生徒の(学生の)目の輝く方へ、目の輝く方へ」と舵を
切っていけば、自然に読書の(絵本を含む)楽しさに流れ着くのですけどね。
そしてそこでは先生も生徒もない、ただ読書の楽しみを共感する瞬間がある!!!!!
そしてそういう瞬間にいちばんことばが染みこんでいく・・・
勝手に興奮してしまいました。熊谷さん、ありがとう!
これからも報告をお願いします!! (うまく行かなかったという報告もね)
多読支援の楽しさはやっぱり支援者が本好きであってこそなんだなー、としみじみ思った今日の多読クラスでありました。
安野光雅の『旅の絵本』。私はとても好きなんですが、文字が一つもないせいなのか(きっとそうなんですが)、向学心の高いうちの多読クラスの学生には手に取られることが少ない絵本です。
今日のクラスの終わりに一人の学生がニコニコとこの本を手に近寄ってきて「先生、私はこの本大好きです!」と。
おお、分かってくれたのね、と嬉しくなって「同じ人なんですよね」と言ったら「え?同じ人ですか?」
え?気づいてなかったの?この本は一人の旅人が毎ページに出てくるのがポイント。だってだから「旅」なんだから。毎ページどこに旅人がいるのか探すのが楽しいんだよ。
「そうですよ、まず初めのページを見て」と言ったら「あ!先生言わないでください。私は自分で考えます。来週のクラスの時にもう一度ゆっくり見ます」とキラキラした目で。
なんだか私はそれを聞いて涙が出そうに嬉しかったんです。なんとなく好きだなーと思った本をもう一度じっくり眺めてもっとよく知ろうとする。本を楽しむことを知っている。それってなんだか「同志よ!」と思わず言いたくなるようなそんな嬉しさ。
多読のクラスには感動がいっぱい転がってますよね。でも、それはやっぱり自分が本が好きだからこその感動なのかな、と。新しい言葉を覚えてくれたとか、上手に意味を推測してくれたとか、本の説明がうまくできるようになったとかいう日本語教師としての喜びもたくさんあるんですけど、ただ本が好きという共感に出会って「生きててよかった」レベルの喜びを感じてしまいました。
おおげさだねー。でも、仕事に追われる灰色の毎日(暗いな、おい)の中でたまにキラッと光ったことはおおげさに騒いで覚えておきたいです。
多読のクラスがあってよかったー。
興奮を抑えて最後に一言・・・
安野光雅さんの「旅の絵本」は出版当初に買って、隅から隅まで堪能した絵本です。
みなさん、もし楽しんでなかったら、ぜひ図書館で見つけてください。
「読書」の豊かさを実感できると思う。