最近こういう一文のあるメールをもらいました。

さかぺんに報告出来る事は、Tadokuから完全に離陸して、大空を飛び回っているって事かな!

これ、実はわたしが考える「完全な離陸」のたとえと同じなのです。
最初は飛行場の滑走路のように、ある程度レールの敷かれたコースを、
Stage 1 から Stage 2 、Stage 3、Stage 4 というように助走します。

そのうちスピードもスタミナもついてきて、離陸態勢に入る。
前輪、後輪と滑走路を離れて、機体はふわっと air-borne になる。
これが「不完全な離陸」ですね。まだ地面を離れただけ、空の旅には先がある!

この段階の離陸を多読でいうと、絵本から挿絵入り本に移るあたり、
NPOの色ラベルでいうと黄色、1冊あたりの総語数でいうと5000語から1万語くらい。
挿絵は間遠になり、挿絵だけ見たのでは話はさっぱりわかりません。

で、飛行機はふわっと浮くとすぐに車輪をしまいます。黄色ラベルの厚い本、
1万語くらいの本を気持ちよく読めるようになるのがこのあたりでしょうか。

でも、まだ飛行機は急上昇を続けていて、わたしなどはまだ息を詰めて、
この高さなら墜落してもかなりの確率で助かるのではないか? などと
気休めを思いつつ、街の俯瞰図を楽しんでいるあたり。

多読支援する人にとってもこのあたりは伸びについていちばん気を遣う
ところですね。無理に機首を上げると失速します。それに黄色ラベルになると、
それ以上上昇しなくても十分おもしろい本があるので、
ゆっくり時間をかけたいところでもあります。

そうやって息を詰めていたのが、少し楽になるのは、シートベルト着用の
サインが消えた時。トイレに立つ人、頭上の荷物置きから何か取り出す人、
なんとなくざわざわしてきて、客室乗務員が飲み物の用意をする音も
聞こえてきます。さあて、ここからの数時間をどうすごそうかと、
上昇よりも楽しみの方向へ気持ちが向き始める。
(絵本にはまってずっと絵本を楽しむ人もいるのだから、ラベルの色なんて
ほとんど意味がありませんが、字ばかりの本でいうと、そうですね、
緑ラベルに入ったあたりでしょうか。)

けれども最初のメールの人がいみじくも書いた「大空を飛び回る」のは
もう少し先かな? それは水平飛行に移って巡航速度で進み始めたあたり。
それが完全な離陸ですね。青いラベルまたは1冊の語数にして
3万語から5万語くらいの本を気持ちよく読めるようになったら、
このあたりですね。

1万メートルの上空からはどこへでも行けます。近い外国、遠い外国、
遠い国内もおもしろそう! 外国語の本を選ぶにしても、もう語数は
どうでもいい。好きな作家を見つけに空を飛び回ります。
飛び回るうちに今まで好きになるとは夢にも思わなかったものが
好きになるかもしれない!

追記 ついでに次の記事も必ず見てください。短いです。

それは絵本作家かもしれないし、何かの専門分野かもしれないし、
外国の友だちかもしれないし、ブログを外国語で書くことかもしれない。
Skypeで新しいことを始めるかもしれない・・・

大事なヒントをありがとう、ぴ~ママさん!

いま多読について書いたことは聞く、話す、書くについても言えます。
要するにすべて、簡単なところからはじめて、少しずつ複雑な方へ・・・
支えありから支えなしへ・・・

いわゆる4技能は読了語数や色ラベルと同じで、目安にすぎませんが、
聞く、話す、書くについても、具体的に離陸を図解できたらと考えています。