今回はやはり難問で、メールは少なかった。
いえ、あることはありましたが、前のブログの時にこの話題に乗った人たちから
2通、新たな参加者から1通のメールでした。

それは無理ない。そもそも学校で文法をやったり、英和辞典に親しんでいる人は
as のことなんて、考えたこともないでしょう。機能語だから。
あることさえ忘れているのではないかな、多読している時は。

stop や belong は as にくらべたら具体的かつ内容語の面が大きいから、
反応しやすかったと思います。ところが、学校英語の害がいちばん大きいのは
機能語寄りの語でしょうね。

でもそれはまたおいおいということにして、まず第一便・・・

こんにちは。AKです。

先生の英語の問題、難しくて考えるの苦手だけど
たまには頑張って、回答してみようと思います!

“…as ~”は、今までの体験だと
“~”の部分のおかげで、”…”の情景が
頭の中にパッと浮かぶような気がします。

んでもって「あっ、そういうことなんだ。」
って納得できる感じになる。

それって、どういうことだろう??
うーん・・あっ、つまり具体化するってことだから
“as”の役割は
“…で与えられた情報をもっと掘って深くする”
ことだと思います!

以上、私の意見でした。

AKさん、ありがとう!

as って、たいてい、… as ~ の形で登場しますね。
で、その … と ~ がどういう関係にあるか、おそらく問題はそこだろうと
思います。

それで、 AKさんの … が ~ でもっと掘って深くする!
これは三つ目のメールにもそのまま出てくるので、そこでまた考えますね。

で、二通目のメールです・・・

酒井センせー、こんにちは

あえて、英和辞典を引いてみました。Eゲイト英和という辞典です。

冒頭に、コアイメージとして、天秤の絵があって、両方のさらにAとBがのっている。
その絵にならべて A as Bと書いてある。それに注のかたちで、「バランスが取れている」

後は、訳語(になりうる日本語)の羅列でした。

めずらしく、悪くないなと思いました。
私もasに対してイメージを持っていて、上記のイメージとは少し違うのですが、
でもよりうまく伝えられるかというと、できません。 やはり、単語単体の
役割を云々するのは、学者さんに任せておきたい気がしてきます。

なお、Eゲイトのイメージと、私のイメージの差を、雑にいってしまうと、
私のイメージには”動き”がありますが、上記の絵は静的に見えたところ、かな。

独眼龍

おー、たしかに! そう悪くはないですね。
とにかく 訳語の羅列 が英和辞典の 心臓(?) であり アキレス腱 なのだから、
訳語より先に いちばん核となる役割を説明しているのは、
大いに歓迎すべきですね。ほかの英和辞典も真似してほしいものだ。
そして、少しずつこの部分が大きくなるといいですね!

(いや、それでまたいろいろおかしな情報が入って、めちゃくちゃになるか?)

でも、独眼龍さんが書いているように、天秤のイメージではいかにもまずいと
わたしも思います。

わたしは独眼龍さんと同じように、as には 動き があると思います。
これは結構確信があります。 「同時進行」という感じですね、言ってみれば。
… as ~ の … も変化するし、同時に ~ も変化する--これが as の核となる

役割ではないかな?

で、二つの変化は片方が片方の原因であったり、単に偶然同時に変化している
だけだったり、二つの関係はいろいろですね。また、動作の変化もあるし、
状態の変化もあります。

その辺のところを理解するまでにわたしは40年くらいかかったので、
15年くらい前まではわたしはいかにも学校英語風な説明として、
「as には4つの大きな役割がある。つまり、「~として、~につれて、
~ので、~のように」のどれかだから、訳すときは(!)四つを順番に
当てはめて、いちばん意味が通るものにすればいい」などと言っていたのでした。

冷汗三斗とはこのことです。

ところが、次のメールをくれた人は、前回この話題を記事にしたときに書き
ましたが、「同時進行」という理解まで、ほぼゼロから多読をはじめて4年たった
あたりで、気がついていた!

負け惜しみですが、学校英語をあんなに一生懸命やらなかったら、
わたしだって、4年くらいで 「as の役割は同時進行を示すこと」という認識に
至っていたはずだ! というのは、「asの4つの用法」みたいなことを言っていた
身では恥ずかしくて言いにくいのですけれどね。

で、その学校英語の秀才だったわたしの10分の1の時間で as の役割を
見抜いた人のメール・・・

ある人から

酒井先生、こんにちは。
今日は懐かしい話題につられてメールを書いています。
取り急ぎ、asについての役割については、5年前(正確には6年前)のわたしに譲ります。
http://tadoku.org/old-blog/archives/2008/05/14_2343.html

わたしが as について「?」のアンテナがたったのは、海外ドラマや映画を観ていたときのことです。
よくオープニングやエンディングで「俳優名 as 演じている役名」で表記されてますよね。
それをみて「as って何だろう?」と思ったのがきっかけでした。

でも感じてしまえば答えは簡単で。

Benedict Cumberbatch (Google画像検索)

Benedict Cumberbatch as Sherlock Holmes (Google画像検索)

どうでしょう?このまんまですよね。もう説明も何も…って感じです。

「asって、要するにasの前と後が同時に起きているっていうことですよね!」です。
いまはもうちょいこねくりまわして「前に後ろが乗っかって起きている」って言いたいところです。

そして面白かったのが、この例えを多読友に話したときに、
「俳優名 as 演じている役名 って日本語にならないー!」って言っていたら、
「演じてる役名 ”としての(として)” 俳優名 でどうかな?」と瞬時に言われ、
すっごく感動したのでした。なるほど、ぴったりー!
(シャーロック・ホームズとしてのベネディクト・カンバーバッチってことですね)

で、思うのは。
今回、このメールを書くにあたり辞書とかネットをみてみたのですが、
as のことを「同じ」とか「同じくらい」的に説明されているんですね。ビックリしました。。
だって、シャーロック・ホームズとベネディクト・カンバーバッチは別人だし!同じじゃないし!
Martin Freeman と Martin Freeman as Bilbo Baggins だって違うよー!

はー。スッキリした!

書きっぱなしではありますが、まとめは酒井先生に任せます。
それでは!

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火曜日午後にNPO多言語多読の事務所ではブッククラブの人が通ってきて、
ウンチクを語っていました。その二人の洞察は学校英語をまったく感じさせないもので、
わたしは二人の話についてきくがやっとでした。

したがって、このメールの中の 「そのまんまですよね」というところも、
よく理解できないのですが、どうやら、最初のメールのAKさんと同じ事をいっている
のではないかという気はします。確信はありません。

たしかに言えることは・・・

*学校で習った「~として」や「ように」や「ので」といった切れ切れの理解は
まったく as の核となる役割に届いていない。

*英和辞典の バランス というのも、ただの中途半端。

*学校英語で覚えたことを洗い流すには何十年とかかることがある!

さて、次は the にしましょう。the はいったいどんな役割を持っていると思いますか?
わたしの意見と違っていてもいいのですからね、どんどんメールをください!
宛先は info あとまく tadoku.org です。楽しみにしています!