聞きやすい英語、聞き取りにくい英語--英語の音いろいろ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

#字幕なし多観 のタグでTwitterやFacebookで大宣伝(?)をしていますが、
紹介している YouTube にはそれこそあらゆる種類の音声英語が登場します。
一方日本の学校やテレビやラジオや英会話学校では一種類の英語しか聞けません。

(オンライン英会話では種類が多そうですが、それを確かめるのは
わたし自身のこれからの課題です。)

つい最近、聞き取りにくい英語についてNPO多言語多読事務所で語り合う
ことがあったので、振り返って少しこの話題を掘り下げることにします。
きっとみなさん、びっくりすることを書きますから、楽しみに!

先週の木曜日にしおさんが事務所に遊びに来たのです。
この人は古い仲間はみんな知っていますが、くわしくは紹介しません。
今はある専門職についていて、日本ではその業界でいちばん大きな事務所で仕事をしています。

(その仕事に就く前はNPOの理事をしてくれていました。)

で、その事務所は世界中の大きな事務所とたがいに所員を出向させ合う
のだそうです。それでしおさんは3ヶ月間、ロンドンに出向した、と。
そこで、どんな風に多読が役に立ったか、立たなかったか、
わたしは例によって根掘り葉掘り聞き出しました。

おもしろい話がいっぱいで、おー、しおさん、がんばったね!と、
敬服したのですが、その中で、しおさんはいちばんの壁は
「リスニング」だった、と言って、次に越えたい壁はロンドンの
同僚たちが互いの間で世間話をしているときのリスニングですね、
という意味のことを言いました。

すると、なんと一緒に話していた事務局のJJさんが、
それなら YouTuber のクリップを見たらどうかと、提案したのです。

えらいこっちゃ・・・とわたしは思いました。
これは Clash of the Titans だ、と。巨人の対決のようなものだ、
相当英語に入り込んだ人同士の対話だ、と。
多読は見事に tadoku になって、こんなやりとりにまで到達したのだ、と。

わたしたちが耳にする英語の音を(半分遊びで)一本の直線で表すと、
片方の端に 「学校英語の音」があって・・・途中に「映画やドラマの音」があって・・・
(日本国内にいると、普通はそこまでしか耳にしません。)
もう一方の端へ向かって・・・「トークショーや YouTuber の音」があって、
その先に「気の置けない仲間や家族と交わす何気ない会話の音」があります。
(もっと聞きにくいのは警察官や犯罪者や兵隊のことばかなと思いますが、
なにしろ生のそういう音を聞いたことがないのでわかりませんが)

実際にロンドンで仕事で使う英語を浴びてきたしおさん、
そしてそのしおさんに、ではこうしたら、と言えるJJさん・・・
二人は今の直線の、学校英語とは反対の端に届こうとしているのですね。
Tadoku実践者の二人の巨人(Titans)と言っていいと思います。

いろいろな英語の音の話はここまでですが、付け足しを・・・

しおさんと同じ時に同じ海外出向に応募したけれど同僚社員は、
相当英語に自信のある人なのでしょうが、普段から社内で単語を覚えようと
しているのだそうです。しおさんいわく
「あれでは向こうでやっていけないと思う」
と・・・

日本で言う「英語上級者」などという区別はほとんど意味のないものですが
(試験でいい点を取れるという「上級点取り虫」にすぎない!)
実際に英語を読書や映画鑑賞や友だちとの会話やメールで使っている人は、
単語を覚えようなどとはしないものだと言っていいでしょう。

最後に、出だしに書いた「日本の学校や・・・一種類の英語しか聞けません」という
意味を説明しておきます。それはひとくくりに「学校英語の音」と呼べると
思いますが、その実体は・・・

リズムはなし、単調で、極端にゆっくり、一語一語をはっきり分けて「発音」します。

その点で、日本の英語学習の場ではどこでも画一的に同じです。

学校や大学の教室だけでなく、YouTubeの英語関係のクリップに出てくる
日本人はもちろん「ネイティブ・スピーカー」の音も、
テレビやラジオの英語講座や英会話学校のネイティブ・スピーカーの先生も、
同じことです。

(この点は今書いている「Tadoku的シャドーイングへの招待」(仮題)の
中では音声で紹介します。)

ま、結論は、学習用、お勉強用ではない英語の音を(外国語の音を)
たっぷり、映像とともに、堪能しましょう、それには YouTube で Tadoku を!

追記
この記事の下書きをしおさんに見てもらったところ、
「日本で手に入る素材は「聴衆を意識している」いるものが多いので、
困っているということを明確に書いてほしい」
という注文がつきました。まったくその通りです。
上に書いたように、日本の学校や塾や研修や日本発のYouTubeで
わたしたちの耳に入ってくる音も、英文も日本の学習者向けです。
(もちろんそうでなければ売れない!)
「生の英語」とは大違い! それはこれからも声を大にして訴えていきます。

しおさん、JJさん、ありがとうございました。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る