Billy Elliot 映画から graded readerへ、そして社会へ、歴史へ

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続きにある Billy Elliot の書評はとてもおもしろい人が書きました。
長澤洋子さんと言います。長澤さんの勤め先で英語多読の講座を
担当していましたが、1年経ったところで定年退職なさった。
そして多読講座の受講を始めたのです。

その理由は多読講座の受講生が楽しそうだったから、と。
それだけでもおもしろいのですが、Pearson Readers の
Billy Elliot を読んで、たちまちさまざまな方面につながったのか、
鋭い感想をFacebookで書いていました。

お願いして引用させてもらいます・・・

ロンドン続編3ー1984年映画
1984年炭鉱閉鎖に伴う大ストライキが英国社会にもたらしたものの大きさは、この年をテーマにした映画の多さからもうかがえる。
「リトル・ダンサー(原題 BILLY ELLIOT)」「パレードへようこそ(PRIDE)…邦題はひどいと思う」「BRASS」。
“BILLY ELLIOT”のノベライズ版を読む機会があり、私でも楽しめる程度に単語数が限られた学習教材ではあるものの、小説としてなかなかの読み応え。映画はダンスと音楽が見どころの一つだが、ノベライズ版はビリー、父親、兄、ゲイの友達それぞれの視点からの語りで構成されていて、心理描写も結構繊細。労働者階級の男たちが魅力的に描かれていて映画には無い最後のシーンの父親の語りは感動的。
“PRIDE”では、1984年のストライキで同性愛者グループと片田舎の炭鉱の労働組合という、弱者同士が連帯する実話。30年前の英国と現在のLGBTをめぐる日本社会が同時代のような錯覚を覚える。
この80年代に英国を大きく変えてしまったサッチャーも今のメイ首相もグラマースクール出身でオックスフォード大に進学したらしい。グラマースクールとは、優秀な労働者階級の子供が階級を超えて高等教育を受けることのできる唯一のチャンスだったが今は無い。ブロークンブリテンの現実を描いた「私はダニエル・ブレイク」(2017)を撮ったケン・ローチ監督もグラマースクールからオックスフォード大へ。
ならば、なぜサッチャーは労働者階級に対してあんな圧政を?

短い文の中にこの本の世界と物語から場面や登場人物の気持ちに至るまで
全部語られていて、すばらしいと思いました。
ケン・ローチ監督まで言及! 映画評にもなっている!!

ブックトークはTadokuの大きな柱ですが、その最上の見本として
ブログで残しておこうというわけです。

なお、わたしは映画は観ましたが、段階別読み物版は読んでいません。
評判は聞いていましたが、ついに読もうと思いました。

長澤さん、ありがとう!

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