明けて昨年四月からNPOではじまった「話す書く中心クラス」の四つの
道しるべを念頭にあたってもう一度・・・
※参加者同士で道を見つけていく
※話し言葉で話す、話し言葉で書く
※すべて一口大から！
※やさしい英語の吸収はこれまで通り続ける
で、どの方針も受講生のみなさんの協力で少しずつ実現に向けて歩を
進めていますが、そのうち、なかなかわかりにくいと思われる
※話し言葉で話す、話し言葉で書く
について説明を加えます。本で見かけた話し言葉による演説を
書き言葉で書き換えてみました。
小説はテレビ・ドラマにもなったPillars of the Earth と World’s End の
Ken Follet が同じやり方で20世紀初頭から第一次世界大戦後までを
描いた Fall of Giants。19世紀までの世界史の「巨人たち」が次々に
倒れていきます。
中でも大きな変化は（イギリスでは）労働者階級の台頭でしょうか。
悲惨きわまりない第一次世界大戦を通じて、支配階級の無能さが
あからさまになります。
そうした背景のもと、第一次世界大戦から帰った炭鉱労働者が
戦場で見た支配階級の無能さを仲間の炭鉱労働者に訴える場面です。
まず最初に原文そのまま貼り付けます。引用符の中だけ貼り付けました。
意味はどうでもいいでしょう。使っている語を見るだけにして、
「見たことがあるか、ないか」だけたしかめてください。
The war has changed us all. I remember when people used to say the rich were put on this earth by God to rule over us lesser people. Many men were cured of that delusion by fighting under the command of upper- class officers who should not have been put in charge of a Sunday School outing. The war was won by men like us, ordinary men, uneducated but not stupid.
全部「やさしい」でしょう？ 一度も見たことがないのは、
cured や command、delusion などかな？
ほかはほとんど「１音節」または1音節の語の変化したものですね。
じゃ、これを書き言葉で書き直してみます。
The war has imposed on us a tremendous adjustment. If my recollection is correct, it was customary for people to claim that the affluent were installed on this planet by God so that they can rule over the destitute.. A considerable portion of men no longer partake of that view because they experienced battles under the command of elite officers who should not have commandeered a Sunday School picnic. The conquest was achieved by men like us,ordinary men, uneducated but not idiotic.
全体に長くなりました。２音節以上の語が多くなったので当然ですね。
話し言葉は普段だけでなく、書くことも含めて暮らしのほとんどの場面で
使われる圧倒的な言葉です。わたしたちはまずこちらから慣れていかないと
いろいろ具合が悪いことが出てくると思います。（日常の会話の速さに
ついていけない、ことばがなかなか口から出ない、など・・・）
で、上は話し言葉で演説した文章、下は書き言葉で演説した文章です。
こうすると、二つの言葉の違いがはっきりするかな？ しないかな？
演説には書き言葉を使いそうなものですが、話し言葉で演説
（public speaking をすることはよくあります。）
アメリカの大統領の演説なんかは話し言葉に近いですね。
イギリス議会の討論は書き言葉に近いような印象がある。
たしかめてはいないけれど。
どうでしょうか？ わたしたちはまず話し言葉で話し、話し言葉で書く、そこから始めましょう。そして、書き言葉をたくさん吸収したら、書き言葉で
話し（かなり格式張った講演など）、書き言葉で書く（学術論文など）を
必要に応じて目指しましょう。
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