シャドーイングに徹する 朋在り・・・

2013年9月 5日
カテゴリ : 多読的シャドーイング, 多読亭日乗, 多読のパラドックス
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昨晩は強い雨が繰り返し屋根や窓を叩き、一晩中雷が鳴っていました。
雷は普通せいぜい1時間で去って行くもので、あんなに長い間鳴り続ける
というのは初めての経験でした。

その珍しい夜の寝床に就く直前、前世紀の朋からメールが届きました。
natubonさんの娘さんについて書いた記事でもちらっと登場した I さんです。

その時「シャドーイングの鬼」という称号を献呈したように、
普通では考えられない徹底ぶりです・・・

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分類 シャドーイング

種別 フランス語

体験日:30 DEC 2011

 

酒井先生の授業を初めて受けた時

1996年4月 映画を見て、空白になっているスクリプトに

聞こえた音をカタカナで書く授業を受けた。

「ショーシャンクの空に」やディズニーの「アラジン」などの台詞から
決まり文句の部分を空白にして、映画と同じように繰り返してください
という課題を毎週やってもらいました。

Can I ask you something? を「ナースム」と聞いた学生が何人もいた
のはこの授業でした。

シャードイング歴

2000年の冬から酒井先生よりシャドーイングによるトレーニングの紹介を受けて訓練を始めた。

主な使用教材

BBC World Service News 5-min version

 

題:真の英語の音を求めて

副題(悟りを開くまでの苦しんだ4年間)

訓練開始から4年、4年も歳月をかけたにもかかわらず、なかなか
カタカナ英語が抜けない状態に苦しんでいた。

英語を聞いても、どうしてもカタカナ英語が口から出てしまう。
スピードも追いついていない現状にかなりあせりを感じていた。

中学高校6年間のカタカナ英語の毒は抜けないのだった。

でも、4年も練習すれば、ある程度ネイティブっぽい音をところどころ
だせるようにはなったのでシャドーイングがからっきしだめということ
ではなっかたと思う。

しかし、英単語毎に発音してしまい、音が分離してしまう習慣が抜け
られないでおり、どうしても中学高校6年間のカタカナ英語が頭から
離れず、もう英語は私には無理かなと半ばあきらめかけていた。

この時点で、私は多読の3原則、辞書捨て、読み飛ばし、分からない
本は捨てる。

酒井先生が表向きに提唱していなかった4番目の闇の原則、
多読を捨てるを実践した後だった。

(たしかにわたしは「多読は止めた方がいいですよ」と何人かの人に言った
覚えがありますね。あれが「闇の原則」だったのか!? )

この原則は私も知らなかったけど私は知らず知らず多読を捨てる
闇の原則を実践していた。

多読を捨てた理由は、私は英文を見ると、自動的に翻訳さた日本語と
カタカナ英語音が浮かんでくるスーパー翻訳機頭脳が中学高校6年間
英語学習のおかげで完成されていたからだ。

この時点で私には、多読による英語力強化の道は既に閉ざされ、
シャドーイングによる英語強化方法も行き詰まり八方塞がり状態で、
第5番目の原則、酒井先生を捨てる最後の原則を発動する寸前まで
精神が追い詰められていた。

(まったくおもしろい人ですね、I さん! でも、ここからがすごい・・・)

ここで私は、酒井先生のせいにする前に自分が英語ができない本当の原因はなんだろうかと考え始めるようになっていた。

 

たくさん考えた後、ある次の疑問を抱いた。

英語を勉強するのに、なぜ英語を教材として使用するのだろうか。

英語を学ぶのに、英語を教材として使うのが常識。その固定観念に囚われていないか。

音をきれいにするだけなら、何も英語でなくてもいいのでは。

と思うようになった。

(ね、ここは劇薬シャドーイングと同じ考え方です! 
徹底的に考えた I さんと延々と悩んだわたしが同じ結論に達していたのですね・・・) 

「カタカナ英語が無意識から湧き出してくるのは、これまでの中学高校6年間の英語のせいだからだ。」

という最終結論に至った。

では、それなら別の外国語でやればその無意識からくるカタカナ英語が出なくなるのではと、これまでのカタカナ英語がきてしまう現象を個人的に分析した結果、そういう結論に至った。

この結論に達してから、精神状態が非常に楽になったのを覚えている。

なぜなら知らない言語なら、潜在意識からでてくるカタカナ音が出てこないかもという期待があったからである。

しかし前例がなく、根拠も何も無いし、検証もされていないから一抹の不安はあったが私の当時の精神状態では、もう別の外国語でシャドーイングする結論に飛びつく道しか残されていなかったと今になって思う。

(いや、もう、本当に驚きです。)

じゃ、次の段階はどの国の言葉を選ぶべきか、これも悩んだ結果次のような考えに至った。

 

英語はヨーロッパの言語であるから、ヨーロッパの言語の中かなら選ぶべきだ。

過去に自分が習っていない、つまりは知らない言語でなければ、またカタカナ音が出てしまうはずだ。

教材として選ぶ言語だから、広く使用されていないと、教材が見つけにくいはずだ。

 

この3つの条件を満たす言語を探した。

チェコ語などその他ヨーロッパ言語は、広く使用されていないので教材としては不適として却下。

候補として、フランス語、オランダ語、スペイン語、イタリア語、ドイツ語、ポルトガル語、ロシア語があがった。

ロシア語は大学の第二外国語で学習したので即却下。

オランダ語、ポルトガル語は、日本にカタカナ語として入っているので却下。

スペイン語、イタリア語は母音の影響が大きく、カタカナ音に近いので却下。

残り、フランス語とドイツ語が候補として残った。

フランス語は、語尾の子音を発音しない、つまり、文字を全て音にしてしまう、私のカタカナ英語の悪い癖を

抜くにはちょうど良い。さらにリエゾンは英単語一つ一つ分離して発音してしまう癖を抜くにはちょうど良いかも。

ということでドイツ語は却下。さらにフランス語はアフリカ大陸の多くの国で使用されており、国連の公用語にもなっているので教材が豊富にあると推定されるし、ひょっとしてまかり間違って英語よりもフランス語が上達しちゃったら便利かなという欲がでたこともありフランス語を選んだ。

(可笑しい! 徹底している上に、極端に明るい性格!!)

 

副題(フランス語によるシャドーイング)

 

【フランス語シャドーイング期間6ヶ月】

フランス語に決まれば後は教材探し。フランスのHPから音声教材を探すのが普通だが、私はフランス語圏のアフリカのどこかの国のHPのストリーミングニュースでシャドーイングをはじめた。

男性の低音フランス語流れてきた。地球上の言葉だろうかと思うくらい別世界の音声で、まったく付いていけなかった。

しかしできなくってあたりまえと思ってたのでプレッシャーは無く、リラックスして、とりあえずは、聞こえた音だけ口にしようと心がけ、知らない音、言えない音は無視し、飛ばし飛ばしのフランス語のシャドーイングが始まった。

( ↑ このあたりもわたしが考えたことと同じ。聞こえた音だけ繰り返して、
いつか聞こえにくかった部分が聞きやすくなるのを待つ・・・) 

成果はフランス語特有の鼻に抜ける音が出せるようになった程度で、流暢にはついていけない。

ただ、英語でのシャドーイング経験があったため、フランス語の耳はすぐ慣れた。

 

 

副題(フランス語によるチャット)

【フランス語チャット期間6ヶ月】

私には運よくフランス語を話す友達がいたので、チャットを始めることにした。

Bonjour, Oui/Non と Merci は知ってたがそれ以外は知らない状態で始まった。

特にフランス在住の友達は知り合うときは英語を使ってくれたが、チャットでは容赦なくフランス語のみで、友達がBonjourと打ては私がBonjourと返事する。友達がCa va?と打つが意味が分からず、チャット終了。

という無残なチャットを何度も繰り返すうちに、簡単な表現が脳裏に焼きついていた。

よく出てきた表現は、

Cou Cou, Salut, Kikou(良い表現でないらしい), Je vais bien, Merci, Il fait beau, moi aussi, toi, C'est ca. C'est bien, Je habite a Tokio. Je suis Japonais,

素晴らしいことに、英語ではカタカナ音と日本語訳が思い浮かぶが、フランス語ではそういうことがまったく無い。

 

副題(東京での実験)

フランス語でのシャドーイング、チャットでちょっとフランス語ができるようになったので,東京在住のセネガル人、スイス人に直接会って会話してみた。

簡単な挨拶程度だったが、私の発音が良いらしく難なく通じた。

 

副題(パリでの実験)

通じるとうれしいものであるが、友達が変に気を遣って通じたふりをしているかも。

本場に行って自分で検証しなければ気がすまない私はフランスへ行くことにした。

ストラスブールからTGVでParis l'est駅に着き、早速地下鉄・バスの一日乗車券を窓口で買った。

Bonjour Madam, Je voudrais un mobilis s'il vous plait.

Merci, Madam.

Au revouir.

パリでの最初のフランス語会話。大成功。

 

パリに入って2時間経過したところ、リュクサンブール公園から

サンラザール駅行きの21番のバスに乗った。

このバスの中で不思議な現象を体験することになった。

 

席に座っていると、老婆が 

Monsieur! s'il vous plait 何とか何とか Auber 何とか何とか s'il vous plait!!! 

と私の腕をさすって、必死で懇願してきた。

何を言うのかと本当にびっくりした。

だけど不思議なことに Auberってところで降りたいのだけど、近くなったら教えてください 

と老婆の言っていることが分かってしまった。

しかし、パリどころかフランス自体初めてだし、パリに着いて2時間しか経ってないし、そもそもAuberってどこか知らないし、聞いたことも無い。 

Je ne parle pas Fracais. Vous parle Anglais?

の問いかけには老婆はNonの返答。

 

私はフランス語で

Auberって場所も知らないし、 私はpalais royal-musee du Louvreで、

もうバスを降りないと行けないから 他の人に聞いてくださいって、 

言いたかったけど、フランス語知らないし、英語は通じないだろうし

バスがバス停に着くたびに、指でここか?と示すと老婆は首を横に振った。

palais royal-musee du Louvreに着いたので、罪悪感にさいなまれながら、バスを降りた。 

ごめんね、おばあちゃん。 

 

バス下車後、罪悪感から抜け出すために、老婆にお願いされたことは、きっと私の聞き違いに違いないと思った。

そもそも私はフランス語は知らないのだから。老婆はきっとお金を恵んでくれとか言ったに違いない。

そもそも外国の観光客にローカルなバス停のことなど聞くはずが無い。

と言っても私は手ぶらでバスに乗ってたので、観光客ぽっくは無かったが、釈然としなかった。

 

日本に帰って、まさか聞いたこともないAuberってバス停があるはずがない、聞き違いであろうことを確かめるために

インターネットでサンラザール駅行きの21番バスの路線図を眺めた瞬間背筋が凍った。

なんとサンラザール駅手前にAuberというバス停があるではなか。

オペラ、ルーブルなどパリの有名な地名ならまだしも、Auberという単なるパリの無名なバス停を果たして聞き間違えるだろうか。

やはりあの老婆の言葉を私が理解してしまっていたと状況から判断せざるを得ない。

なぜ老婆のフランス語が分かったのか、いまだなぞである。

ただ言える事は、フランス語でシャドーイングをしていたので老婆の発する音は全て拾えていたことだけである。

I さんの報告は突然ここで終わっています。次の報告を楽しみにしましょう。

実は I さんからは数年に1回くらいずつ連絡があって、前回電通大の研究室に
来てくれたときに、「シャドーイングでフランス語が分かるようになってしまった」
という話は聞いていて、それ以来シャドーイングの謎として、わたしはぜひ
いつか詳しく訊きたいと思っていたのでした。 

で、わたしが驚くのは、I さんとわたしがほぼ同じように考えていたことです。
つまり、これまでのところ「劇薬シャドーイング」などというとんでもない提案を
言うのはわたしだけだった。

でも、今は、I さんが、わたしとは 独立に 劇薬シャドーイングと同じ方法を
思いつき、それによる変化を体験したことが判明!

ちょうどシャドーイング相談会復活を考えているこの時にこんな報告が舞い込むとは・・・

こういうのを「天の配剤」というのでしょうか? 雷とともに点からやってきた?

「よおし、劇薬シャドーイングをみんなに知らせるぞ! がんばるぞ!!」
という心境です。 I さん、ありがとう! 「発音練習」などに走らなかったという
のは、えらかったと思うよ。これからもよろしく!