多読支援セミナー 午後の部/英語分科会(13:30-16:30)の報告です。
- 多読支援者の心構えや多読の意義について
- 学習者に実施したアンケートの結果を紹介
- 小グループに分かれて話し合い
文京学院大学女子中学校高等学校の「多読教室」を会場に、三部構成で行いました。
英語分科会報告(13:30-16:30)
まず、当NPOで支援者養成講座の講師をしている伊藤幸子先生より、多読支援三原則「教えない・押し付けない・評価/テストしない」とは、ひとが学ぶこと、育つことを阻害しないことであることや、絵を見ることの大切さについて論理的なお話がありました。
続いて、学習者に実施したアンケートの紹介です。
この支援セミナーの会場である、文京学院大学女子中学校高等学校の飯野仁美先生からの報告では、午前中に体験談を話してくれた卒業生さんたちも同席のもと、アンケートから見えるものへの報告がありました。そのような話し合いが進行している中、卒業生さんたちが思わず、久しぶりに訪れた多読教室で本を楽しく物色している姿が印象的でした。
英語教室を主宰している榊桂子さんからは、通われているお子さんや学生さんたちの多読への体験談・感想の紹介がありました。また、時事問題や環境問題などのトピックを取り入れていくにあたって、支援者が行う工夫やアイデアなども紹介していただきました。
支援する場や環境は違えど思いは共有できます。休憩のあと、二つのグループに分かれ、さまざまなことを話し合いました。そのなかから、いくつかをご紹介します。
- やさしい絵本から読むことへの抵抗、または飽きがくることについて。
卒業生や先輩から多読を通して得たこと、感じたことへの体験談を話してもらう。支援者から何か言うよりも、いま自分がいるところやその後の道のりを実感することができる。飽きについては、やさしい絵本など、ORTの中には魅力が満載であることをもっと伝える。絵を読む大切さ、など。 - 多読授業での評価(成績)について。
実際にひとりひとりを見ていながらも、語数量で評価し、読んだ本のタイトルでチェックするなど、評価(成績をつけるということ)は難しい。 - 多読は仲間がいること、ゆっくり進むこと(急がないよう見守ること)が大切。
絵や物語を楽しみ、そのことを他の人とシェアしながらことばが身体にたまってくると、あるときぐっと読めるようになる。体験を共有できること、見守ることの大切さ。 - 日本語でブックトークすることについて。
母語で話すこと、感想を書くことにより、表現力がつく。後に英語になったとき、多くの言葉を使って表現できるようになる。支援者がまずは見本を示すことも大事。 - 学校の例として ― 他の「先生」に無理に多読を押し付けない。
まずは自分も楽しんで多読することで、生徒へのよい影響がみられた。そのうちに他の先生方からも、多読に対して好意的な目を向けられるようになった。多読支援三原則の「押し付けない」は、生徒さんだけでなく同僚にも有効なようです。
これらはブログで紹介できる一部分です。実際にはこれだけでなく様々な話題がでていました。今後もこのような、多読と多読支援への喜びや悩み、課題と挑戦を共有できる機会を増やしていきたいと考えています。
それでは以下より、英語分科会へのアンケート報告です。たくさんのご意見、ご感想をいただきました。重複しているものなどをまとめて、ほぼすべてをご紹介いたします。
「英語分科会」のご感想やご意見をお聞かせください
- 多読が伸ばすのは「英語力」だけじゃないと実感しました。うまく刺激を与え、興味を絶やさない方法を探していこうと思いました。
- 公共図書館の方もいらして違う立場での取り組みを知ることができた(自分が図書館利用者なので)。
- 今でも学校で多読を導入するときに一番反対するのが他の英語の先生だということ。学校現場に広がるため、先生たちを応援する方法を考えていきたいです。
- 英語多読を評価しないといけない悩み。とても気になった。
- 図書と学校関係だと議論の内容が違うので、事前アンケートを使って分けたほうがよいと思いました。解決できていない、深く話せないことがありました。
- ブックトークなど、日本語で始めたほうが、まず語る・発信する力がつけられるという意見にとても納得しました。学校の多読の広め方も「先生方に押し付けず、まず自分で楽しむ」というお話はすばらしいと思います。
- 他の団体の様子をうかがい、多読の取り入れ方の実現化の課題を考えさせられた。
- 教材としてとらえがちですが、単純に英語の絵本としての認識をすることで、楽しむことなど、根本的なことを教えられた気がしました。参考になりました。支援の仕方についても参考になりました。
- 学校以外で長く多読を続けている先生たちの話しが聞けて参考になりました。ぶつかる問題が共通しているので話し合うのが大事だと思いました。
多読支援についての疑問や、今後扱ってほしいテーマなどがあれば教えてください
- 多読をやりたくても導入できない人のための会があってもいいと思います。今回は多読を始めた人の悩みに特化していたので、どうやったら導入できるのかの話は別なのかなと思いました。
- 1時間授業内での実践例(5分~20分~まとめ、など)
- 世界の多読の実践例(日本の先生はglobal standardを知らないと思います)
- 生徒の効果実感方法について。
- 「親子多読」に関して課題と実態を知りたいです。
- 学校の現場でも、多観を入れてもらうための工夫など。
- 本以外の多読の形、動画を見るなどをどのように授業に取り入れてるかについても話を聞ければと思います。
以上です。ご参加くださった支援者のみなさま、ありがとうございました。
今後もみなさんの声を参考に、よりよい多読、よりよいセミナーにしていきたいと思います。ぜひ、またお会いしましょう!またこれを読み、興味をもってくださった支援者の方がいましたら、ぜひ、次回お越し下さい。
午前の全体会の報告は「第6回 多読支援セミナー「多読支援の落とし穴パート2~聞こえていますか?学習者の声」 全体会報告」でご覧いただけます。
(事務局/大賀)