10月22日、日本語多読に力を入れている国際交流基金関西国際センターの先生と司書さんにお話を伺ってきました。
いま、国際交流基金関西国際センターのこのページが多読授業をしている教師たちの間でちょっとした話題になっています。
KCよむよむ – KCクリップ
https://www.jpf.go.jp/j/kansai/clip/yomyom/
関西国際センターが、日本語多読のための読み物を作っているのです! そして、それを無料公開してくれています。そのシリーズ名は「KCよむよむ」。ちょっとどこかで聞いたような名前?(笑)
その中心人物である日本語教育専門員・東さんと司書の畠中さんに、理事の川本が会ってお話を伺ってきました。
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10年ほど前に、私たちの活動を通して多読を知った東さん、そのころ出版されていたよむよむ文庫と手作り版多読ブックスを引っ提げて、カタールへ赴任。日本人、日本語と触れる機会の少ない環境で、この多読用の読みものは威力を発揮したそうです。車社会なので、カーステレオで毎日聞いているうちに「先生、お話覚えちゃいました」という学習者がいたり、シャド-イングが習慣になったり。東さんによれば、多読用読みもののすばらしさは「分冊であること!」だそうです。「合本では、手に取ってもらえなかったと思う」と。その後オランダに赴任し、2014年に帰国、関西国際センター勤務となり今に至るそうです。
司書の畠中さんは、英語が苦手で、我がNPOの酒井邦秀理事長の著作を読み、英語多読を始めたそうです。日本語でもできたらいいと思っていたところ、アスク出版の「レベル別日本語多読ライブラリー にほんご よむよむ文庫」が出版され、とりあえず図書館でそろえたとか。しかし、長らくこの本を生かしきれないままの状況が続きました。そこへ、東さんが関西国際センター勤務となったことで、日本語学習者にこれらの本を多読してもらう「多読セッション」が誕生したそうです。
そして、学習者に多読を紹介するうち、初級レベルの学習者向けの読みものが足りないことに気がつき、身近な話題のやさしい本を作ろうと始めたのが「KCよむよむ」の始まりということだそうです。
なんといっても、このシリーズは、無料のイラストや写真から話を作ったその手軽さが、多読をやっている教師たちを勇気づけてくれました。同様の読み物を作ろうと動き始めたグループもあります。私たちもとても勉強になりました。
内容は、「天王寺動物園」「泉州野菜」などの地元の話題から「お化け」「ラーメン」など人気の話題までいろいろ。
畠中さんのユニークなアイディアで「ラーメン麵太」ができたいきさつもうかがいました。次の麺の主人公も楽しい工夫がいっぱい。お楽しみに!
24日には、多読セッションを見学させていただきました。はじめ2人だけ。その後終わるころに何人かが来ました。
大きな机の上に、表紙がよく見えるように本が並べてあります。
最初に東先生が多読のルールを説明しました。
☆辞書を引かない
「子供のとき親の膝で絵本を読んでもらったでしょ。そのとき言葉がわからないから辞書持ってきてとか言わなかったし、100%わかっていたわけじゃないでしょ」
☆つまらない本、読みにくい本はさよならする
「友達や恋人で気が合わない、楽しくない人とはさよならしますね、本も同じです。でも気が合わないと思ってた人と後で気が合うようになることもありますよね。本も同じです」
次に、東先生自身が主人公の「私の一日」を読み聞かせしていよいよはじまり。
集中して読んでいるときの気持ちのいい静寂が訪れました!
参加者は、読み終わると、コメントカードに着々と記入していきます。
ほぼ40分で2人は8冊読みました。しばらくの間、図書館にはこのようなレイアウトで本を並べておいて、いつでも読めるようにしておくのだとか。、図書館なので、もちろん借りられます。貸出率もかなり高いそうです。
12月からは、外交官・公務員研修で多読を選択授業として実施するそうです。機会があったらまた拝見したいと思いました。ありがとうございました!
(川本)