2月6日(木)にオンラインによる英語多読支援者講座を開催しました。一年ぶりのオンライン開催となった今回はゲストスピーカーとして北海道で英語多読支援をされている、NPO多言語多読準会員の新井希久子さんをお招きしました。
当日は、図書館、学校や個人など様々な現場で英語指導に多読を取り入れている方、これから取り入れたい方など13名が参加し、今回のテーマ「押し付けない多読を実現するためにー “支援者のファシリテーターとしての役割” を考えるー」を基に活発な意見交換が行われました。プログラムは、新井さんのお話、ブックトーク、少人数に分かれての話し合いという3部構成で、正会員の榊、山岸、小川が担当しました。
◇ゲストスピーカー
新井希久子さん
リトルハウス英数クラブ(主宰)、北見多読カフェ(講師)、Remote Tadoku オンライン英語多読スクール (スタッフ)、NPO多言語多読準会員
まず多読三原則及び多読支援三原則の説明があり、その後、新井さんが大人向けと子供向けに分けて多読支援について語りました。
地域活動の一環として行なっている大人の方の多読支援では、英語、多読という言葉に縛られず、読書ととらえて生活を潤すために参加されているという方が多く、ゆったりと楽しく続けているからこそ量につながり、みなさん読めるようになっている。読書にフォーカスして参加者にどう続けてもらうかを考えることが大事、ということでした。
また、子供向けの多読支援では “一緒読み” (感じたことを一緒に日本語で話しながら読む)が中心で、それが子供にとってのブックトークにもなっている。小学生のうちは英語以前に話を楽しみ、気持ちを口にしながら一緒に読むことで種まき、土台作りをする。自ら本を手に取るのは中高生になってからでも大丈夫、親御さんにも安心してもらえるよう、良いコミュニケーションをたっぷりとっていくことが大切と語られました。
そして支援者は自分で本を読む、文化背景を知るなど、読書についての深堀りをすることが大事という考えから、参考書物なども紹介してくださいました。その後の質疑応答では参加者の皆さんから “一緒読み” についての質問を始め、 “新井先生の——読書の楽しみを伝えたい——が響いた” など、たくさんのコメントがありました。
その後はブレイクアウトルームで小グループでのブックトークの時間です。まず、講座担当がファシリテーターになって、みなさんにブックトークしていただきました。次に参加者の方々にもファシリテーターになっていただき、ブックトークをしていただきました。
その後の振り返りでは、初めてブックトークをした方から、 “みなさんの意見を聞くのは楽しい” “話すとき結構どきどきする” などの感想があがり、ファシリテーターをした方からは “子供を相手に行うよりも大人相手であると緊張した” “自分が話しすぎないように意識した” などのコメントがありました。また他にも、話す側も聞く側も相手のことを思いやってお互いがいごこちのよい雰囲気になるようにする、コミュニケーションを大切にすることが大事など、様々な意見が出ました。
続いて支援対象に分かれてグループトークを行いました。そこでは “授業内で多読をする時間とブックトークの時間の割合について” “読書記録について” “一人でしゃべり続けてしまうお子さんにどう対応するか” など、現場での様々な悩みや出来事について活発な意見交換がありました。
最後に、講座担当の榊からまとめとして、 “ブックトークは勉強というものでもなく時間もかかり、授業などには取り入れづらい面があるけれど、多読推進の原動力とも言える大きな役割と効果を持っている。ぜひ多読支援の一環として取り入れて楽しんでいただきたい” とのコメントがありました。
新井さんの長い多読支援経験からのお話をききながら、共に多読支援について理解を深めたとても意義深い講座となりました。
アンケート回答より(抜粋)
- 新井さんのお話は、身に沁みました。こんな風に有りたいと心から思いました。私は、特に「相手の話を聞く」ことができるようになりたいと思います。
- 親の不安に寄り添うという、新井さんの基本姿勢に共感しました。
- 新井先生の「多読」を前面に出さない!というお話が目からうろこでとても印象に残りました。ついつい「多読」を広めたい気持ちが強すぎて「多読、多読」と言いたくなるのですが、まず絵本を見ながらおしゃべりしましょうというほうが参加しやすいですよね。これからの支援に行かせそうです。
- 多読を英語読書という観点から考えてみることができたこと、ブックートークやファシリテーターについての具体的なお話が聞けたことなど「多読」と敢えて示さないのもありだなぁと思いました。
- 多読を継続しようと構えるのではなく、まずは読書として楽しむことが第一である、というお話が印象的でした。楽しければ自然と継続でき、読書量が増え、結果的に多読になるという流れを意識して、今後の活動に取り組んでいきたいと感じました。
- 普段ブックトークをあまり取り入れていないのですが、話し合いの中で色々なヒントをいただきました。ありがとうございました。
- 何度もグループをシャッフルしてたくさんの方の意見が聞けたことがとてもよい刺激になりました。
- 子どもたちに読書を好きになってもらうことが最大の目標になりそうです!
- 自分自身は英語が出来ないことが支援の妨げになるのでは?といつも不安に思っていたので、伝えるのは英語が出来るようになることではなく、絵本や読書を楽しむ事で楽しんでつづけていけて自然に英語も身についていくこと。読書は好きなので本の良さを伝えることはできるかなと少し自信になりました。
(記 榊、山岸、小川)