2月11日(火・祝)、英語多読特別セミナー「ビジネスパーソンのための仕事に活かすことを考えた『英語多読』入門」がNPO多言語多読事務所で開催されました。繁村副理事長を講師として、NPO主催では初めての「ビジネス」に目的を特化した講座となりました。8名の方が参加されました。『英語多読 すべての悩みは量が解決する!』の共著者としても知られる繁村さんですが、今回は同書や通常の多読入門講座の内容から踏み込んで、ビジネス現場で使える英語力を培うための実践的かつ具体的な方法を提案しました。
英語がとても苦手だったけれど、ミュージカル映画の魅力にとりつかれたことから多聴中心で初TOEIC765点、仕事でも英語で業務をこなせるようになった。しかし小説のペーパーバックも自分の専門のIT関連本も1ページに30分かかった…読めない!という自己紹介を兼ねた導入から始まりました。多読紹介、実際にやさしい絵本(Oxford Reading Tree)を読む体験、続いて多読からtadokuへ、多観・多聴、シャドーイングの方法の紹介、は通常の入門講座でも扱われる内容です。ここから、さらに「入門時期以降」や「仕事に活かすことを特に重視するなら」を含めた多読/tadokuの進めかたが紹介されました。
「仕事に活かす英語?」として以下の3つに分けて説明がありました。A:相手の立場がほぼ対等、ないしは下の場合(同僚:直属のボスを含む、仕事仲間、委託先との通常のやり取り、マニュアル等を読む)、B:相手の立場が上の場合(相手が明らかに上の立場とのやり取り、残る文書でのやり取り)、C:資格試験。ご自身の、そして海外駐在を控えた部下の方々の英語力を引き上げた繁村さんの経験から、多読でつけた力を仕事でどのように(トラブルを避けながら)使っていくかを場面ごとに分けて聞くことができました。資料やマニュアルを読むとき、メール・チャットや会話のとき、試験前の過ごし方(半年の最初の3か月、次の2か月、最後の1か月、とそれぞれ何をするかを説明する、きめ細かさ!)まで具体的に示され、多読では御法度?と思われがちな辞書との付き合い方、訳す必要がある場合の方法も紹介されました。仕事では、定訳の日本語で関係者に誤解がないように伝えることが必要な場面もありますから、当然といえるでしょう。
文字がほとんどない、ごくやさしい絵本で絵をよく見ることから始める多読が、仕事において機械翻訳やAIに頼らず自分の力で立てる英語力をしっかりとつけてくれることを、ご理解いただけたのではないでしょうか。繁村さんの実体験エピソードもたっぷりお聞きしながら、英語ができない会社員だった20世紀の筆者(海外出張では通訳兼運転手をつけてもらい、外資系企業に転職後はアメリカ人とコピー室で一緒になったら逃げだしていた)が当時から多読/tadokuを知っていたら…と思わずにはいられませんでした。
「入門」講座にもかかわらず、参加された方のほとんどは多読をすでに実践中でしたが、新しい視点を得られたようでした。初めての方は、さっそく英語多読講座の体験を申し込んでくださいました。今回紹介された方法を実践して、ぜひ多読を仕事に活かしていただきたいです。
アンケート回答より(抜粋)
- 仕事での多読の活かし方がよく分かりました。
- 改めてtadokuの整理ができてよかった。絵を見ることの重要性をこれまで教わっていたが、今回改めて聞いてとても印象に残った。
- 大変良かったです。最近、ひっかかっていた事が解決できて、安心して続けていく気持ちになりました。本当にありがとうございます。
- 読み物のジャンルに偏り(私の好み)があることが気になり、また、多読が楽しみだけだと方向性に限りがあるように感じて本講座を受講しました。悩みは解決出来ました。
(理事 小川)