11月27日(日)第31回「多読授業とリライト」入門講座報告

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今回は7名の方が参加してくださいました。

大学で日本語を教えていて、日本語教育関係の図書の管理を担当しているという先生(3名)、名古屋から来てくださった日本語学校の先生(前日、名古屋で開催された「多読セミナー」にも参加してくださいました!)、大学院で勉強中の方(2名)、10月29日の「日本語多読の本作りワークショップ」に参加して、多読のための本作りに興味を持った方が参加されました。

【第1部】多読授業入門講座 10:30~12:30(担当:粟野)

まず、この講座に参加された目的を話していただきました。

多読についてもっと深く知りたい、多読の効果について知りたい、多読授業をしたいと思っているので具体的な授業の運び方や注意点などについて知りたい、多読用の本作りのポイントを知りたい、多読用の本の管理や活用の仕方を知りたいなどでした。

はじめに、「多読とは何か」「読み方のルール」「教師(支援者)の役割」について話しました。

場面(絵)と結びついた言葉こそが体に染み込み定着すること、それには絵をよく見るように指導して、やさしいものから辞書を引かずに読んでいくようにさせることが大切。そして、面白ければたくさん読めるが、つまらなければ読めないので、面白いと思うものがどんどん読めるように、一人ひとりに合わせて本を準備することが教師(支援者)の役割になるということを話しました。

次に授業風景の動画を見てもらいました。

本を読みながら涙が止まらない人、話がおもしろくて、ストーリーを支援者に話し続ける人、本の中に心が入っている人たちの動画を見て、初級前半でこういうことが起きたということに、みなさん驚いた表情でした。

第1部の最後に、英語、韓国語、スペイン語の多読体験をしました。絵をよく見ることで、ストーリーを想像できる、ということを実感していただきました。

<昼休み:12:30~13:30>

昼休みになっても多読用の本を見て話したり、授業の相談をしたり、昼ご飯を食べずに、立ったまま話し込む姿が見られました。「1時半からリライトを始めますから、みなさん昼ご飯を食べてください」と言われて、慌てて食べ始めました。

【第2部】リライト入門講座 13:30~16:30(担当:松田)

まず、3つのグループに分かれて、イソップ物語をリライトしていただきました。4つの話を、候補にしたのですが、「田舎のネズミと都会のネズミ」は、落選。「アリとキリギリス」「ネコとネズミ」「ウサギとカメ」と、各グループが違う話を選びました。レベルは0ということで取り組んでいただきました。

20161127-1

「話を変えてもいいですよ」というと、原作にはないような結末を付け加えたり、途中に話を挿入したりして、世界に一つしかない読みものを作っていきました。とても楽しそうでした。1時間半という短い時間で、場面展開を考え、言葉をレベルに合わせ、絵も描いて、どのグループも本を作りあげてしまいました。

%e3%83%95%e3%82%a1%e3%82%a4%e3%83%ab_000出来上がった本を見せながら、グループごとに発表しました。聞いていたほかのグループの人たちから、「へえ、おもしろい」「そういう話の展開もいいね」などの声が聞かれました。

次は2つのグループに組み替えて、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」をレベル3にリライトしました。

言葉のレベルが書いてある語彙表とにらめっこしながら、「その言葉はレベル4」とか、「その言葉、語彙表にないけど、他の言葉で表現できるかなあ」「こんな感じの絵で表すのはどう?」など、知恵を絞って作っていきました。

1時間ぐらい検討したところで、できたところまで発表していただきました。そのあとで、アスク出版のレベル3「蜘蛛の糸」と比べていただきました。易しい言葉にするだけではなく、別の工夫が必要なこともある、ということを感じていただけたのではないかと思います。

(白石記)