3/5(日)の日本時間16時から、オンラインで日本語多読授業入門講座が開かれました。
参加者は5名。日本の大学、日本語学校やアメリカの大学で教えていらっしゃる先生方でした。
担当は正会員の高橋亘と片山智子でした。
まず、「多読とは?」で高橋が、多読について、その考え方をお話ししました。
「多読」は、学習者がひとりひとり好きなものを読むので、従来の精読授業とは違って、学習者が主体的楽しく読めること、楽しく読めるようになるには、多読のルールが有効だということ、支援者は文法や語彙を教えようとせずに、学習者の多読がうまくいくように本の準備や読み方のアドバイスなどに心を砕くこと、など、多読のエッセンスが語られました。
さらに、多読に向く読みものの紹介や事後のアクティビティなどにも触れました。
後半は、片山が大学でしている多読実践授業の紹介がありました。
「多読」は、学習者にとって今までの「読み」の授業とは全く違うので、とまどう学生も多いでしょう。なので、最初の「導入」がとても大切だとのことでした。
学習者の好きなように読むと言いながら、どうして「辞書を引かない」とか「わからないところは飛ばす」などのルールがあるのか、この多読のルールの意味は?ということを丁寧に説明し、さらに、「読む」とはどういうことなのか、文法と語彙を当てはめて文を解釈することではないことを文字なし絵本などで経験してもらうそうです。実際に、講座の中でも、文字なし絵本「あいちゃん」を参加者のみなさんと一緒に読んで物語を味わいました。
その他、本の提供の仕方や読んだ本のシェアについても詳しい実践報告がありました。
質問の時間もたっぷりあったので、さまざまな質問が出ました。
「読書経験のない学生に多読はうまくいくのか」
「年少者の日本語教育にも有効だと思われるが何か注意点があるか」
「話すのが不得意な学生のブックトークはどうしたらよいか」
「難しいものに手を出したがる学生はどうしたらよいのか」など。
講師の経験から、さまざまなアイデアやアドバイスがありました。
以下は、事後アンケートからの抜粋です。
- 多読を実践されている方のお話を伺えて「楽しむ」というコンセプトを知ることができてよかったです。事前に共有いただいた動画でも、参加者への声のかけ方など参考になりました。
- 「授業を始める前に本を読ませたい気持ちにする」など実践のアイディアが学べた。
- 4月より多読のコースを初めて受け持つことになるので、今日学んだことをしっかり生かして実践したいです。
- メインとして導入することは難しそうなのですが、多読クラブみたいな活動はできそうです。まずは、本を集めることから始めようかと思います!
みなさんの多読授業実践に少しでも役に立てたとしたらうれしいです。
次回の「日本語多読授業入門講座」は4月2日(日)午前9時からです。
(記 粟野)