教師・支援者の方へ支援者の声

日本国内や海外の大学や日本語学校、インターナショナルスクールで多読授業を実践している支援者の声を紹介します。

大学の正規授業に多読を導入

大学の外国語科目「日本語(読む・書く)」で多読を行っています。週1回90分で15週です。日本語能力試験N2程度以上の学習者が中心ですが、実際にはレベル差が大きいので、各自のペースで進められる多読は現場のニーズに即しています。学習者が実際に経験する日本語の「場」は大学と宿舎とアルバイト先がほとんどですから、経験の貧弱さから来る、表現と場面の不整合を自律的に正していくためにも非常に有意義です。

正規授業としては単位のための成績評価が必要なので、毎週残り10分程度で内容の「要約」を、また、時々宿題として「書評」を書かせ、それらを紹介・添削することで表現の勉強を取り入れ、その提出物の基準をクリアして平常点を積み重ねることで成績としています。書評の紹介は互いの刺激になるようです。読むことに慣れてくるに従い、語彙も増え、書く量や速度も顕著に上がっていくことを学生も実感しています。自信がついたという声もあります。

正規授業での「多読」は、「ただ読むだけ」という方法を良い意味で「強制」することができ、「よむよむ文庫」等多読用書籍の充実に関して図書館の協力が得やすいところが利点です。大学の正規授業として十分展開できるものだと思います。

坪内佐智世さん(福岡教育大学)

図書館多読で日本好きを増やす

2010年の日本語多読研究会の勉強会に出席し、多読の魅力を知ったことが大きなきっかけで、多読クラスを始めることにしました。試験的に4回実施した結果、大変好評だったため、現在では大学近辺の図書館で毎週1回、1時間半の時間をとり、読書好きが集まって楽しく活動しています。

ひらがなを初めて学習した1年生から中級レベルの4年生まで、今では始めたときよりもかなりレベルの高い本が読めるようになりました。回を重ねるごとに、辞書を使わずに推測しながら読むというスキルをおのずと学び、読むスピードも上がっているようです。特に 小泉八雲の短編集 などの「怖い話」が人気で、「先生、怖いですね」と言いながら熱心に読み進めている姿が印象的です。学生の読解力を養成し、日本好きの学生を増やすために、多読は今後も非常に大きな役割を担うものだと感じています。

高橋亘さん(セルビア、ベオグラード大学)

読むことが義務でなく、楽しみに変わった!

2009年、東京で行われた日本語多読研究会の勉強会がきっかけで、多読授業を始めました。今は、他のクラスの先生も巻き込んで、初級後半~中級前半の4レベルのクラスで「多読」授業を実践しています。週1回、たった20分間の読書ですが、学生たちは日本や世界の昔話、文学作品など様々なジャンルの日本語の本に触れ、夢中で読んでいます。忠犬ハチ公をテーマにした「ハチの話」に涙ぐんでいる男子学生も・・・。

「日本語をはじめて自分の心で感じられた」
「わかるっていうことがこんなに楽しいものだとは思わなかった」

日本語の本を読むことが、学習するための義務ではなく、楽しみになっています。また、読む技能だけでなく、書く力が伸びた、と感じています。

鈴木裕子さん(スペイン、マドリード・コンプルテンセ大学)

日本文化紹介の「よむよむ」が大人気

大学の選択クラスとして、「自由に読む」クラスを開講しています。1週間に1コマ90分の授業で開講期間は15週です。学生のレベルは初級後半から中級前半で、国籍、専門共多岐にわたっています。このクラスでは、学生たちは自分の好きな読み方で本を読んでいます。読みものも自由ですが、多くの学生が「よむよむ文庫」を手に取っています。特に人気があるのは、文化関係の読み物で、『カップヌードル/カラオケ/ウォークマン ―日本で生まれて世界へ』などは、常に順番待ちです。授業中は大変静かで、それぞれの学生たちが、読みものに集中しているのがよくわかります。話しかけても返事が返ってこないほどです。学生たちは、「リラックスして読めるため、読むことに対するストレスがなくなった」と言っています。

熊田道子さん(早稲田大学日本語教育研究センター)

多読クラスは、知的充足や精神的安定をもたらす場

科目選択授業(45分×週1回×3ヶ月)で多読をしています。最初は少なかったのですが、面白いよ面白そうだよ等の口コミで、今では毎回15名近くの学生が出席しています。いつの間にか集中して読んでいる様子や、読みながら思わず笑っている姿を見ていると、感動すら覚えます。普段は集中力が途切れがちな学生も、この授業ではチャイムが鳴っても読み続けたりしています。時間もレベルも気にせずに自分一人で読みたい日本語を読むって、彼らにとってなかなかない機会なんだということに気づかされました。読解力向上ということだけでなく、知的充足や精神的安定をもたらす場を提供できていることをうれしく思います。

猿倉和美さん、深田みのりさん(東京日本語文化学校)

学生は読む時間を欲している!

選択科目として、1週間に1コマ(50分)ずつ、1ターム10週間なので合計10コマ行っています。日本語レベルは中級~上級。国籍は韓国、台湾、香港、中国、タイなどアジア系を中心に欧米系が交じり、登録は常時20名ほどです。痛感するのは、学生が読む時間そのものを強く欲しているということです。その思いは決して自分の部屋でも図書館でもなく、学校の教室の、そして授業時間という限定された時間と空間の中で読むことで満たされるようです。

そして、私語がほとんど生まれないこうした場を各人が構成しているという、その一体感や所属感が、集中力ひいては教室の力を生んでいるように思います。教師にとっても、本の選択のみならず、教室内の様子すべてから学習者の個別性がうかがえ、新しいやりとりや気づきも生まれやすくなります。

萩原秀樹さん(インターカルト日本語学校)

自力で読める喜び

日本語多読研究会が作成したレベル別読みもの「よむよむ文庫」に出会うまで、生徒たちは年齢相応の本を読んで感想文を書いたりすることができませんでした。それが今では「よむよむ文庫」を読んで、2週間に1回の感想文を書くのを楽しみにするようになりました。その感想文の中に「この本は辞書を使わなくても読めます」というコメントを入れる生徒が少なくありません。自分の力だけで1冊の本が読めるということが生徒たちの読書に対する意欲をかき立てているのです。

感想文を録音し、イラストなどを付けて学校のサイトに載せるというアクティビティーを通して生徒たちの4技能の全てがどんどん上達していくのを実感しています。

キオ千佳さん(西町インターナショナルスクール)

「多読授業と読みもの作成」入門講座

多読授業の基本的な考え方を一日で学べる講座です。講師によるレクチャーだけでなく、学習者が読む「多読用読みもの」を作る体験を通して、多読への理解を深めます。

開催日:

※年に6回程度、開催しています

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日本語教師のための多読授業入門
  • NPO法人日本語多読研究会 監修、粟野 真紀子・川本 かず子・松田 緑 著
  • アスク出版(2012)
「多読」の考え方、多読授業のやり方、多読向けの日本語の本の紹介、多読授業実践報告、学習者の声など、多読や多読授業を具体的に解説しています。
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