多読のはじめかた
多読とは、やさしい本から、辞書を使わないで楽しくたくさん読んで日本語を身につけていく方法です。全部わからなくても楽しめればいい。これがポイントです。絵や写真をよく見て、その本の世界を味わってください。そうやって日本語を日本語のまま、場面とともに理解することが日本語習得の近道です。
これまでこの多読の方法で、本が読めるようになった人、漢字がだんだんわかるようになった人、会話がうまくなった人がたくさんいます。ひらがなが読めるようになったら始めましょう。ひらがなが読めない人は、音声付きの本で始めましょう。中級や上級の人でも日本語の本を読んだ経験がない人は、やさしい本から多読を経験してみてください。
読み方のルール
多読をするとき、大切なことがあります。それは、読み方のルールを守って楽しく読むことです。ルールは4つあります。
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やさしいレベルから読む
絵がついていて、母語に訳さなくても読めるやさしいものから読みましょう。絵をじっくり見て本の世界に入ることが大切です。
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辞書を引かないで読む
わからない言葉を辞書で調べていると、速く読めません。ゆっくり読むと、つまらなくなってしまいます。わからない言葉が出てきても、辞書を引かないで、絵を見たり、その後の文を読んでみましょう。
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わからないところは飛ばして読む
絵を見たり、ちょっと考えてもわからない部分は、飛ばしてしまいましょう。楽しく読めていれば、全部わからなくていいのです。
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進まなくなったら、他の本を読む
進まないのは、読んでいる本が難しいか、興味がないからです。その時は止めて他の本に替えましょう。
この4つのルールで多読をするためには、漢字にふりがながついている、「レベル別読みもの」から始めるといいでしょう。また、文字を読んだことがない人、聞いてわかるけれど、文字に弱いという人は、朗読を聞きながら読む「聞き読み」がお勧めです。漢字を知らなくても最初はひらがなを読んでいきましょう。徐々に、漢字を見ただけで読み方がわかってきます。
読んでみよう
多読向けの図書を私たちは0から5まで6つのレベルに分けています。これはレベル0のサンプルです。まず、絵をよく見てください。
自転車に乗っている人はだれでしょう?
どんな仕事をする人ですか?
どこでだれと挨拶していますか?
たばこを吸っているのはだれ?・・・
次に音を聞きながら絵を見てください。それから文字を読みましょう。
こんなふうに多読では、まず絵をよく見て内容を楽しむことが大切です。
体験者の声
ひらがなが読めるレベルから多読を始めた学習者(日本国内)の声を紹介します。文字が3種類もある日本語を読むハードルはとても高いのですが、多読多聴で文字に接するうちにだんだん読めるようになったと言っています。
日本語の文字を見るのは怖かったので、ずっと見ないようにしてきた。でも今ではレベル4の本も読めるようになった。難しい言葉や漢字も読んでいるうちに覚えた。前はスーパーで買い物をするとき、字が読めないから、買い間違いがたくさんあったけど、今は字を読んでから買うから大丈夫。
漢字は一人でドリルをやってもなかなか覚えられなくて、自分はバカなのかとあきらめていました。私だけじゃない。漢字がわからない外国人は、みんなそう思っていると思いますよ! チラシも看板も無視。ないものと思って生活してきました。でも、「多読」に出会って、初めて文字を読むようになりました。すごく自信がついたし、うれしい!
よくある質問
Q. どうして辞書を引いてはいけないのですか。わからない言葉を飛ばしてそのままにしていたら、言葉を覚えられないと思います。
A. 一つ一つの言葉を辞書で調べて、その場で意味がわかっても、その言葉が身についたとは言えないのではないでしょうか。読みながら、たくさんその言葉に出会うことで意味が体得できると私たちは考えています。母語で本を読むとき、わからない言葉はあまり気にしないで読んでいますが、たくさん読んでいるうちに、いつの間にかいろいろな言葉がわかるようになっています。
Q. どのレベルから読んだらいいですか?
A. とてもやさしいと感じるレベルから読みましょう。母語に翻訳しないで、辞書を使わないで、どんどん読めるレベルからです。字のない絵本、字があっても絵を見て理解できる絵本、あるいは、「よむよむ文庫」「にほんご多読ブックス」のレベル0から始めてみてください。
Q. 漢字にふりがな(読み方)がついていると、いつまでも漢字が読めるようにならないのでは?
A. ふりがながついていると、どんどん読めます。漢字が読めるかどうかいちいちチェックしないで内容に集中しましょう。そのうちに、だんだんふりがなを読まずに漢字を読んでいることに気がつくでしょう。そうなったら、少しずつふりがなのない本を読んでみましょう。
さあ、始めよう
では、さっそくレベル0の無料本を読んでみましょう。
他にも読みたい人は、レベル0の本を探してみてください。