教師・支援者の方へ多読の考え方
多読は、母語を獲得するときと同じ読み方!
「多読」とは、文字通りたくさん読むことです。でも、従来の「読解」や「訳読」のように、語彙や文法の知識を仕入れてから、それをもとに文章を解読する読み方とは違います。
多読は、ごくやさしい短い文の本からはじめて、わからない言葉が出てきても気にせずに、ぐいぐい読み進めていきます。今ある力でとにかく読み始めればいいのです。自分がわかるレベルのもの、読みたいものを読んで、先を楽しむ――こうして大量の文章に触れていくうちに、少しずつ言葉の背景や語や文法が獲得され、徐々にむずかしく長い本も気持ちよく読めるようになります。
学習者の苦手意識の強い漢字も、多読をすることで使いこなせるようになります。漢字を一つ一つ練習して暗記するより、私たちが子供の頃からしてきたように文脈の中で何回も触れることが重要です。
多読の普及がはじまってほぼ15年――いまや楽しさを優先する取り組み方は聞く・話す・書くへと可能性を広げています。
多読ははじめてという方は、まず、学習者向けに書かれた 多読のはじめかた のページをご覧ください。また、支援者自身にとっての外国語――たとえば、英語や韓国語やスペイン語など――でご自分が多読をはじめてみることも、多読で言葉が身につく過程や学習者の気持ちを知るのにとても役立つでしょう。
多読支援の基本的な考え方――
読む力は、一人一人が読むことでつけていく
「教師」が読むものを選び、語彙や文法を解説しながらクラス全体でいっしょに一つの文章を読んでいくのではありません。クラスの一人一人が好きな読みものを読んでいくのです。その教室風景はまるで図書館のよう。静かで濃い時間が流れます。
支援者の役割は、環境作り・・・
多読クラスの主役はあくまでも日本語を身につけようとする学習者と本です。教師は、支援者となって脇役に徹します。一人一人ができるだけ順調に読んでいけるように、読みものを用意したり、楽に読み続けられるようアドバイスするなど環境作りをするのが重要な役目です。
詳しくは――
より詳しい解説や、具体例などは以下の書籍をご参照ください。
「多読授業と読みもの作成」入門講座
多読授業の基本的な考え方を一日で学べる講座です。講師によるレクチャーだけでなく、学習者が読む「多読用読みもの」を作る体験を通して、多読への理解を深めます。
開催日:
※年に6回程度、開催しています
≫ 詳しく見る教師・支援者の方に読んでほしい本
- 日本語多読 上·下巻(日本語教師読本 12·13)
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- NPO多言語多読 監修
高橋亘・粟野真紀子・片山智子・作田奈苗・纐纈憲子 著 - WEB JAPANESE BOOKS(2022)
- NPO多言語多読 監修
- 日本語多読が始まって20年。世界中に広がった日本語多読のこれまでの蓄積とこれからの可能性を『上巻~広がり深化する多読~』『下巻~新たな挑戦と資料集~』の2冊にまとめました。
- ≫ 目次を見る
- 日本のアマゾン(上巻) アメリカのアマゾン(上巻) 出版社
- 多読のすすめ
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- NPO法人日本語多読研究会 監修・発行(2009)
- 日本語多読が始まった頃の多読授業実践報告、学習者の声などが収録されています。巻末の教師の座談会では、多読が始まったきっかけや初めての授業での驚きや喜びが語られており、10年経った今も色あせることがありません。
- 今すぐ読む ダウンロードする(PDF)
- ※この小冊子は、NPO多言語多読の前身、日本語多読研究会が2008年に日本財団の助成をうけて制作したものです。