シャドーイング講座(4期)報告
昨年10月にスタートしたシャドーイング講座の第4期が3月18日に最終回を迎えました。今後も月に一度は集まろうという話になっていますが、ひとまずここで一区切りです。半年の歩みを簡単にまとめます。
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講座では、事前に各自でシャドーイングを録音してもらい、それをみんなで聞いて、自己分析や気づいたことなどを語り合います。音源は、「英語以外の言語」やナチュラルスピードの「生の英語(※英語学習コンテンツは不可)」を使います。母語での音の獲得と同じように、最初は赤ちゃんの喃語のような音からはじめ、少しずつことばの輪郭が浮かび上がってくるのを待ちます。
前編(最初の3ヶ月)は、主に「もごもご」シャドーイングで日本語(=カタカナ)の音や文字通り(=発音記号通り)の音を洗い流すことを目指しました。「もごもご」とは、一語一語・一音一音まねようとするのではなく、「もごもご」とつながった、ひとかたまりの音のようにまねるシャドーイングのことです。このとき「もごもご」のお手本にしたのは、23ヶ月のリリーちゃんでした。こんな風に、細部ではなく全体の「それらしさ」を「いい加減に」まねているうちに、英語らしさの土台となる強弱やそれが生み出すリズムが少しずつシャドーイングの中に現れてきました。
▽「もごもご」のお手本にした23ヶ月のリリーちゃん
後編は、引き続きこの「英語らしさの土台」の定着を目指しつつ、一つ一つの音についても少しずつ英語らしい音が出てくるように、「なりきり」に舵を切りました。「なりきり」は、「もごもご」の上に、声のトーンや感情や雰囲気、時には身振り手振りまでのせて、なりきってするシャドーイングです。リアリティ・ショーや人気YouTuber、TEDのプレゼンなど、好きな音源・動画を見つけてきてなりきるので、好み様々、「それぞれの ‘キャラ’ が定まってきた(Oさん)」なんて盛り上がりました。この頃には、すっかり力が抜けて、全体としては「それらしさ」を備えたシャドーイングになってきました。
最後の3回は、「もごもご・なりきり」に加え、好きなドラマや本からこれはという場面を選んで練習し、講座当日にみんなに披露する「お手本あり・練習あり」のシャドーイングにも挑戦してもらいました。音源とテキスト(スクリプト)を行ったり来たりしながら再現できるよう練習するのですが、これは、練習による音の獲得が目的ではなく、練習を通して「英語は、文字通りに一語一語・一音一音、音にはしない」ということを納得してもらうためのものです。頭と口で十分納得ができたら、今後も「発音練習」などに寄り道せずに、安心して「もごもご・なりきり」を続けられます。
こんなふうにして、あっという間に半年が過ぎました。ひとつひとつの音まで英語らしくなるには、まだ時間がかかると思いますが、この半年で、英語の音については「なるほど、あとは量」と納得できて、今後も楽しくシャドーイングを続ける土台が出来ていたら嬉しいです。
受講生の声(アンケートより抜粋)
- 英語らしい発音というものがどういうことなのかが分かりました。(中略)シャドーイング自体も、苦痛ではなく楽しくてラクチンな方法なので、続けやすいところも気に入っています。このやり方だと、ネイティブのように発音できていない自分を責めなくていいので。
- この方法でやっていれば上手くなるという方法を体得できたことが大きな収穫でした。前期初回の自分の録音と後期最後の録音では、英語らしさが大分進歩しており、(中略)他の受講生も全員が目に見えた違いを見せていました。(中略)英語学習というよりも演劇とか物真似に近い面白さを感じました。自分で探してきた好きな動画や音声を真似るので常に飽きることはありませんでした。
- シャドーイング中に色々な動画を見るようになったおかげで、「英語のものを英語のまま見る」ことに対するハードルがものすごく下がったと感じており、今後も無理せずシャドーイングや多観を続ける土台ができてよかったな~と思っています。
- なんと言っても共に受講した仲間の存在が大きいです。自分では気づけない音の変化などを仲間から教えてもらえることが自信にも繋がり、仲間を驚かせたい、笑わせたいという思いでお手本あり・練習ありシャドーイングをしました。
(シャドーイング講座担当 Katobushi)