多読的スピーキング (大事かもしれない)思いつき・・・
2013年8月30日
カテゴリ : 多読的おしゃべり, をさなごのやうに
タグ: NPO多読講座(英語)
8月28日の水曜講座(英語)の報告で、Yさんの多読的スピーキングを
紹介しました。
今朝、Stephen Krashen さんが Washington Post に送った投稿を
oreryutsjさんがtwitterで紹介していて、
早速読んだところ、Yさんの変化について大事なことを見落としていたかも
しれないと気がつきました。
それで補足・・・
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Stephen Krashenさんは Comprehensible Input ということを言っていて、
わたしはほとんど賛成です。
これは、ま、一言で言えば、「理解できる内容の外国語を大量に吸収すること」が
大切で、文法も語彙もその過程で自然に獲得されるというのです。
(上の投稿にもそのことが書いてあります。)
したがって、文法を教えたり、単語を暗記したりすることは必要がないと
言っています。
もう一つ避けるべきこととして、Forced Speech を挙げています。
これは「無理矢理しゃべらせること」ですね。
たとえば文科省が「英語の授業は英語で!」などとお題目を立てて、
無理矢理授業中に英語をしゃべらせることもこれに入るでしょう。
昔よくありましたが、「英会話の授業中に日本語を話したら1回100円!」
なんていうのも、forced speech に入るでしょう。
「Neo」さんは録音を聞いて、
先生、1年で多読だけでここまでくるのですね。話しているご本人もすごく楽しそうで表情が目に浮かびました。言葉が湧き出る感じのトークでしたね^^
と感想を寄せてくれましたが、forced speech ではあの楽しそうな様子や
湧き出てくる感じは(特にはじめのころには)あり得ないでしょうね。
わたしはNeoさんにこう返信しました・・・
すごいでしょう。1月と比べるとどれほど変化しているか・・・ それを覚えているからか、ぼくは聞きながら数分間のうちに二度鳥肌が立ちました。おとなの外国語獲得にも silent period があるとして、Yさんの例を見ると、その期間は半年前後ということになるかもしれません。
その場合、無理に話させないこと、できるだけ気軽に、気持ちよく英語が口から出てくるような「手ほどき」が一番大事かもしれません。
この2段落がタイトルに書いた「思いつき」です。
「おとなの silent period については・・・
Yさんの場合、9月から多読をはじめて、英語のbook talk をはじめた直後の
1月の末には紹介したような訥々とした話しぶりで、
半年後の2月から3月ごろには本の文章を引用しながらかなりの速さで
話せるようになり、 1年後の8月28日にはメモなしのbook talk でも
あの速さになりました。
赤ちゃんが「話し」はじめるまで、生まれてからたいていは1年から数年かかると
すると、その期間を silent period と言うようです。
(赤ちゃんはちゃんとしゃべっているつもりだと思うけれども・・・)
おとなが外国語を獲得する場合は、silent period ははるかに短いのかも
しれません。おもしろい、楽しい研究課題です! お楽しみに!!
注
読むことについては、外国語は母語よりもはるかに短い期間で可能になると
思われます。たとえば「リボン」ちゃんは小学校の時に多読開始から1年半で
同年代の英語を母語とする小学生が楽しむ本を楽しんだ! ほかにも
いくつも例がありますが、母語話者が生まれてから10年かかって読めるように
なる本を日本の子どもが1年半で読むようになったわけで、
これは母語よりも外国語の方が短い時間で獲得できる可能性を示した
最初の例でした。