字幕なしで楽しむ
2010年2月10日
カテゴリ : 多読的鑑賞
タグ: 多読的視聴, 多読的鑑賞, 映像は動く絵本, 村のビデオ屋さん
「パッチ」さんが「村のビデオ屋さん」の掲示板で
「字幕なしで(今)判るタイトルを募集♪」という投稿をしてくださいました。
それを見て、「パピイ」さんが、メールをくれました・・・
(わたしの感想が邪魔な場合は飛ばしてお読みください!)
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字幕なしで映画を楽しむというのはたくさんの人の希望でした。
洋書の読書を楽しむというのもたくさんの人の希望でしたが、
それは多読で手にすることができるようになりました。
一方、字幕なしで外国の映画を楽しむとことは、
洋書の読書からまた一段高いところにあって、
別の「苦労」をしなければならないと、みんな思い込んでいたように思います。
わたしも含めて。
でもどうもそうではないようだ、ということがこの1年以内にわかってきたと思います。
まだまだ多読のように多読的鑑賞によって映画を字幕なしで楽しむ人がたくさん
出ているわけではありませんが、探ってみる価値のある道のようです。
で、パピイさんはインドに2ヶ月の出張をして帰ってきたばかり。
きのうの蘊蓄オフのあとの飲み会では、土産話に花が咲いたのでした!
そこからみなさんの海外旅行失敗談なども出て、またまた楽しい時間を過ごした
のでしたが、蘊蓄オフの直前にパピイさんからいただいたメールです。
酒井先生、こんにちは。
パッチさんが、「字幕無し」で(今)判るタイトルを募集♪ を掲示板に揚げていらっしゃいますよね。
字幕なしで楽しめる映像素材が、先生のtadokuでの、ひとつの大きな課題であるということは、ブログなどからも理解していますが、私は違う意見を持っています。(詳しくは、明日の蘊蓄の隙間時間にでも)
第一に、映画は「絵本のひとつ」で、音に関して言えば、オーディオブックをPBとすれば、字幕なしの映画は、ORT、SIR、ICRなどと感じています。
第二に、字幕無しで映画を見ることは、(タドキストにとっては)敷居はとても低いとも感じています。
第三に、「ちゃんとした映画DVDを字幕なしで観れるぞ」は、「観れるぞ」ではなく「楽しめるぞ」と思います。観れるぞは、理解度は?となり敷居を高くしてしまいます。楽しんだであれば、次も見て見ようにつながります。
第一の点、なるほどと思えますね。
第二の点、これも最近になって、多読してきた人には字幕なし映画は
敷居が低いはずだと、わたしも思いはじめました。
「字幕なしはむずかしい」と思わずに、また「聞き取らなきゃ」と思わずに
「わからないところは飛ばす」をそのまま援用すればよいのですよね。
場面や表情がついている分だけ、絵本よりも字幕なし映画のほうがとっつき
やすい可能性だってありそうな気がします。このへんはみなさんの意見や感想を
お聞かせください。
以下は、経験談の一部です。
インド出張中、「AVATAR」(現在日本でも公開中)を職場の同僚と、終業後に一緒に行きました。面白かったですよ。語数は3,000万語直前です。(語数は、あまり関係無いと感じています。それは、最後にSSS掲示板投稿を添付しておきましたので、読んでください。4年前にそこで感じていることと、今とでも差があるとは感じられないからです)
そうそう映画は、3D映像、英語音声、字幕無しでした。一緒に行った人に字幕が無いのはなぜって聞くと、インドにはいくつ言葉があると思っているの、それを全部字幕にしたら、画面が見えなくなるでしょと 笑われました。インドでは、字幕無しが当たり前なんですね。
映画を見に行ったことを、駐在員さんたちに話すと驚かれたことに驚きました。私より海外経験が長くても、(タドキストでもないと)現地で映画を見ようとは思われないのでしょうね。
字幕なし「多鑑」とはちょっと関係の遠いことを・・・
海外経験が長いことと、ペーパーバックを楽しんで読めるということとは、
どうも関係なさそうだと、わたしも見ています。海外経験は長いけれども
洋書は読めないという話をたくさん聞いているからです。
そのあたりだけでも、日本国内に留まりながらペーパーバックを楽しんでいることが
どれほどこれまでの常識に反するか、察することができると思います。
私は、洋画は字幕を見に行きます。次女が5歳のとき「キャスパー」を見に連れて行きました。連れてきてよかったかなって様子を見ると、楽しんでいることに安心したことを思い出しました。日本語吹き替えであっても、全部理解できるわけではありませんから、大した差はないのでしょうね。
以下は、2005年10月(900万語過ぎた頃)、「映画を英語他で聞いてみると」で掲示板に投稿した原稿です。
こんにちは パピイです。
英語が出来るようになりたい理由のひとつに、洋画を字幕なしで、気楽に
楽しみたいというのがあります。でもこれって、野望というか夢というか、
それに近い物だと思っていました。今年6月末から、3回ポーランド出張がありました。休日の、時間つぶしの
ために、映画を何本か見る機会があり、おもしろい経験をしたのでご報告
いたします。■私の紹介
映画は、だいたい年50本程度、映画館で見ます。その3分の2は米国映画ですから、英語で聞いて、日本語字幕で読んでいます。その時、
出来るだけ会話を聞くように、心がけています。
多読は、約2年、900万語前後で、多読前は、ヒアリングマラソンや、NHKラジオ講座をやっていました。今は、特にリスニングはやっていません。■映画(見た順)の紹介と感想
☆Star Wars Episode III
掲示板でも話題になっていましたので、見た人も多いことと思います。いつものように初めは、宇宙空間に、黄色い字幕で能書きが出て来る
はず。多読の成果確認はいかにと、期待していたら、ポーランド表記のため、撃沈。
気を取り直して、会話に注意を払うと、戦闘シーンは別にして、結構聞き取れ、ストーリーについていけて、ちょっとうれしかったです。
感激したのは、apprenticeという単語が聞き取れた時でした。これは、ディケンズのGreat Expectations (MGR5、OBW5、PGR6)で知った単語で、こんなところで、多読の成果がと、とても満足でした。
そうそう、この単語Memoirs of a Geisha (PGR6)にも出てきました。これの映画化SAYURIは、日本で12月公開予定でとても楽しみです。
Star Warsは、全世界をマーケットにしているでしょうから、英語はかなり聞きやすく、設定してあるのかも知れませんね。2週間後、日本で見て、聞き取り結果に安心しました。☆Herbie: Fully Loaded (「ハービー/機械じかけのキューピッド」の題で、日本公開済み)
続いて、ディズニー映画。結構いけるかもと、期待して見に行きましたが、
ポーランド語吹替えで、全滅。出ようかなと思いましたが、時間つぶしが目的で、支払った料金(約700円)も惜しいので、そのまま見つづけました。
ところが、95%理解不能な会話(挨拶、Yes/No、御礼ぐらいは判ります)でしたが、人間の心を持った、茶目っ気あふれるフォルクスワーゲンが主人公で、
イタズラもするけど、レースにも挑戦という、大体想像のつくストーリーですので、人のアクション、表情と声のトーンで、会話はある程度想像出来、結構楽しめました。わからなくても、楽しめたというは、面白い経験でした。
帰国の飛行機の中で、この映画を英語で聞くことが出来ました。かなり早口で、俗語も多くGRリーダーにはつらい物があり、英語であって
も、楽しさは同程度でした。
↑ このあたり、ほっとしませんか?
つまり、すでに多読してきて、わからないところを飛ばせるようになっている人は、
英語がわからないから楽しめない、のではなくて、
英語がわからないことを気にするから楽しめない、のかもしれませんね。
映画によっては、ポーランド語でも楽しめる! 楽しめたら、飽きるまで多視!
☆Mr. & Mrs. Smith (日本では、12月公開予定)
ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーが夫婦役で競演する映画です。
それぞれの正体を知らずに、すれ違い生活を送る夫婦をコメディ・タッチで
描きながら、アクション満載の娯楽作品です。
最初、夫婦のインタビューから始まります。少しはわかりましたが、
ちょっとイライラ。その後のアクション、ロマンス展開からは、ストーリーに
ついていけて、楽しめました。
日本公開時に、もう一度妻と見に行って、細かなところをチェックする予定です。☆The Island (「アイランド」の題で、日本公開済み)
近未来SF映画で、地上最後の楽園“アイランド”に行くことを夢見る青年が、ふとしたことから、自分たちの住む世界に疑問をもつように
なり、やがて衝撃の事実を知ることなる話です。
SF小説や、映画を一杯見ていれば想像のつくストーリーでした。最後の方のアクション・シーンはちょっと新鮮で、驚きの出来栄え。医学
用語がいろいろ出ましたが、そこは飛ばしても、ストーリーにはついていけました。同時期に日本公開のため、再チェックができないのが残
念。☆Hostage (「ホステージ」の題で、日本公開済み)
映画館のポスターは、ブルース・ウイルスが拳銃を持っているだけで、その他ポーランド語表記だけのため、何の映画かわからず選びました
。でも特徴のあるオープニングで、以前日本で見たホステージとわかり、気楽に見始めることができました。
最新セキュリティ完備の邸宅で発生した籠城事件のストーリーですが、悪役たちの会話は、俗語が多く聞き取りにくかったのですが、ブルー
ス・ウイルスの方は結構聞き取れ、楽しめました。☆Hauru no Ugoku Shiro
ご存知、「ハウルの動く城」です。久々に、日本語で聞いて楽をしようと考えていましたが、吹替え版でした。
Herbieの例もあるしと思ってみていましたが、この作品難しいですね。昨年日本で見ていたからいいようなものの、そうでなかったらイライラがつのって、楽しめなかったかも。
蛇足ですが、この作品ポーランド語が似合っていました。うまい説明が出来ませんが、設定が昔のヨーロッパ風なこともありますので、いい雰囲気に感じられました。
「ハウルの動く城」はことばがわからないと楽しめないのでしょうか?
おもしろい例ですね!! わたしはまだ見ていないので、音を消して見てみようか?
☆Wedding Crashers (日本公開未)
主人公二人は、他人の結婚式に紛れ込み、飲み食いしたあげく、女の子をナンパすることを趣味としていたが、そのうちある結婚式で…というアメリカン・コメディです。Crashersの意味がわかりませんでしたが、見ているうちに判って来ました。
会話は早口で、非常に聞き取りにくかったです。多分ギャグを一杯言っていると思うのですが、わかりません。でも、そんなことを言っているんだろうと、聞き流してみていると結構楽しめます。最後は、恋愛映画になっています。
日本公開済みの「奥さまは魔女」のダーリンが、脇役で出演しています。怪演というか、パワフルでした。日本公開はあるのかな?
ほほう・・・ 「そんなことを言ってるんだろうと聞き流」すと結構楽しめる・・・
☆Red Eye (日本公開未)
主人公(若い女性)は、乗った飛行機の隣の席に座った男性と仲良くなり、恋愛に発展するのかと思いきや、この男とんでもないやつで、協
力しないと…というサスペンスです。Red Eyeの意味は最後までわかりませんでした。帰って調べたら、夜間飛行便、深夜発明朝着便とのこと。充血した目というイメージから恐怖感をあおる意味もあるのでしょうか。
会話は、一部を除いて、ゆっくりでしたが、聞き取りに苦労しました。というのは、この作品の半分は飛行機の中のシーンで、会話の内容判
断を助けてくれるのが、表情と声のトーンと少しのアクションだけ。手に汗握るサスペンスになっており、また女性の過去の事件が伏線になっているようなのですが、その辺の詳細が十分にわからず、自分の英語力の無さにもどかしさを感じました。
ぜひ、日本公開を期待します。サスペンスをじっくり、その後はホラー風でかなり楽しめる作品です。実は、この日は、Oliver Twistを見たかったのですが、発券所の人が、ポーランド語吹替えだから、止めてこっちにしたらと提案してくれて見たものです。ほんとに良かったです。
主人公を演じた女性(Rachel McAdams)、どっかで見たことあるなあ、と思って調べると、Wedding CrashersとThe Notebookのヒロインでした。
Red eye はマイケル・コナリーにときどき出てきます!
この映画の場合は「詳細が十分にわからず、自分の英語力の無さにもどかしさを
感じ」たと・・・ なるほど。
■まとめ
取りとめも無いことも書いていますが、不純な目的(時間つぶし)で始めましたが、洋画を字幕なし(有ってもわからない)で見ても、それ
なりに楽しめることがわかりました。最初は、多読でいうと、いきなりPBを読むようなものかな思っていましたが、
会話はPBレベルでも、その他は絵本みたいな物(例がむちゃくちゃですが)に
相当すると思います。ですから、画像と音だけで楽しむこともできたのかなと考えます。とは言っても、会話の内容で盛り上がってくる作品や、アクションが少ないシーンは、イライラやもどかしさを感じまた。そうそう、どのくらいわかりましたか?と質問されても答えられません。30%とか50%とか割り出す理解度の根拠が自分に持てないから
です。でも、楽しめましたか?と質問されると、前述の感想のように、素直に答えられます。「この楽しめましたか?」評価は、自分の理解度を測る上で、あいまいなようで、結構シビアな指標になりそうだと、今頃になって気付きました。(苦笑)
以上、やってみたら思ったより簡単だった、楽しかったという、多読初心者のコメントみたいになりました。
みなさん、Happy Seeing Movies!
2005年という昔にこんな貴重な報告があったのですね・・・
時を得ないと宝物が目の前にあっても気がつかないということですね。
パピイさん、ありがとう!
みなさんも、実はパピイさんのような経験をなさっていませんか?
あるいは字幕なしで多読的鑑賞をしてみた経験を、お知らせください・・・