多読的視聴(仮名)について カナダのあるお母さんから その三
2009年6月27日
カテゴリ : 多読的リスニング(多聴), 多読的鑑賞, をさなごのやうに
タグ: をさなごのやうに, 多読的鑑賞, 村のビデオ屋さん
いよいよ順序が混乱してきましたが、「カナダのお母さん」から届いた報告を記事に
してしまいましょう。もしかしたらやはり時間順にお届けした方がいいのかなとも
思うのですが、かなりな数の(1日数通)のメールなので、それを途中でまとめて
いただいたこの報告で「多読的視聴」や「感覚的理解」の例を見ていただくことにします。
(あとでうまく整理できたら順番に並べますが、その自信もあまりない・・・)
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カナダのお母さんは5月の半ばに、いわゆる「海外ドラマ」で大きな変化を感じて
しきりにメールをくれました。それを6月にはいってからまとめてくれませんかと
お願いして書いていただいたのが、この報告です。
5/18 22990分(380時間)
越えた所辺りから変化が早くて戸惑います。
カナダのお母さんは英語にはとても不得意感を持っていた人です。
(不得意感ということばはなじみませんがみなさんの「不得意感」を
表現することばをぼくは持たないのです)
カナダのお母さんは昨年のいまごろからわたしの研究室に来て多読をはじめ、
10月ごろカナダに戻って2月から日本でいう「海外ドラマ」を「多読的リスニング」
(ご本人の呼び方です)をはじめました。「ぴーママさん」のいう「辞書なし鑑賞」
つまり字幕なしで見はじめました。はじめはもちろんことばはわからなかったそうです。
380時間くらい鑑賞したころから大きな変化が出たとのこと・・・
一つの資料として覚えておこうと思います。
5/22 400時間
5/8~「Spooks(MI-5)UK」と「The Dead Zone(USA)」がお気に入りです。
「話を動きで理解する」事の出来た「どたばた24」よりずっと動きが穏やかで、感覚的理解は少々劣りますが、理解力は上がったと自覚出来楽しいです。
ここが最初のころの感想です。「24」は動きで楽しんでいたのでしょうね。
5/24 410時間
ここ数日間22990分(380時間)より、DVDを見ながら「大笑いしたり、泣いたり、意見言ったり」しています。
今まではこんな事はありませんでした。
結構必死になって見ていました。
「音と文字を合致させるのよ。頑張って。」
「感覚的理解をも昨日よりも今日は進むようにね。よし!」
「今日は 272分う~ん短ーい。。」
「プラス、そうそう楽しまなくっちゃ!!駄目よそれが一番大事!」
「楽しまなきゃ」と必死に「苦労する」というやつですね・・・
多読のパラドックスの一つです。
こちらの方と片言でやり取りしていて、やけに通じるんです。
今、気が付いたんですが「ノリが一緒」なんです。
一所懸命に考えて答えるより通じます。
「感覚的理解」と「ノリ」「通じる」一緒ですね!!
なるほど!
音もPhonicsの音では無く「ノリの音」ですね。
だから聴こえて来る音で良いんですね。
合点が行きました。
勝手に納得しています
カナダのお母さんとはメールで「ノリ」と「感覚的理解」の話を
たくさんしました。「頭より気持ち」です。
5/25 24953分(415時間)
「これはもっと英語が解る様に成ってから見た方が面白い話・構成だわ。」と思いまして、途中で見るのをやめました。
5/30 26193分(437時間)
とっても面白くて片っ端から「勿体無いので取って置きたい」状態です。
でも今の感覚(段階)での感じですから、やっぱり取って置かないで見ます。
このあたりの「自分に合わないと思ったら途中でもどんどん投げる」姿勢は
見上げたものです・・・
5/30 25968分(434時間)
「もう一回見たい話」が有りまして、昨日見ました。
今の感覚的理解の状態では無かったので、途中でやめました。
もしかして「更に感覚的理解が進んだ状態で正解」だったかも知れませんが、判断が付きませんので「おかしな癖」として残るといけませんので、止めました。
5/31 26703分(445時間)
今日は、不思議~な日です。
1.今まではUK英語とUSA英語は「全く別の聴力が必要」な様に感じていました。
始めの頃は、USA英語DVDを沢山見過ぎてしまいますと、UK英語DVDが聴き取れるまで暫く時間を要しました。
その後は、USA英語DVDを沢山見ましてからのUK英語DVDには問題が無かったのですが、その逆は聴き取れるまで暫く時間を要しました。
今日両方交互に45分ずつ見てみましたら、両方とも全く問題無くすんなり聴き取れました。
また、と~っても不思議!!な事に、「両者にさほど違いを感じません」でした。
[MI-5]に登場する色んな国の方々の英語がお国訛りで楽しいです。
英語獲得をはじめてまもないころは、どうしてもイギリス英語とアメリカ英語の
ちがいが気になります。
(それも「明確な目標は立てない方がいい」例でしょうね。)
海外ドラマ400時間を超えたあたりで、カナダのお母さんはどちらでもおなじように
楽しめるようになったようです。
2.先程喫茶店に行きましたら、皆さんがUK英語で話していらっしゃる以上にもっと綺麗に、まるで日本語のカタカナ英語で話していらっしゃるかの様に聴こえました。
私は油断をしたらしく口から出たのは「カタカナ英語」でしたw
ひとつひとつの言葉がはっきりと聴こえ、互いの音も全く混ざり合っていない感じです。
これはまたなんと興味深い報告か!
英語が非常にくっきりと聞こえたので、(そのころまだなじんで聞こえた)カタカナ
英語のように聞こえて、それに対する反応がカタカナ英語になってしまったので
しょうね。
文章にするとお馬鹿さんみたいですが、びっくりではなく「不思議な感じ」でした。
「多読的リスニングの日付順時間表」で分数に成っているのは、
「思いっきり我侭に」「つまらないから」「楽しくないから」途中で見るのを止めたDVDです。
視聴時間が15分以下の場合は記載して有りませんが、大量にあります。
6/3 37303分(450時間)
数年ぶりに、The Lord of the Rings: The Fellowship of the Ringを見ました。
とっても簡単な英語でびっくりしました。
以前見た時は「字幕を全部ノートに書き写して辞書を引きました」が、さっぱり解りませんでした。
私は何をやっていたのでしょうね(笑
これもすごいと思いませんか? The Lord of the Rings が簡単?
同様にすごいと思うのは多読的リスニング以前に見たときは実に細かく理解しようと
していたということです。
6/3 27569分(459時間)
「感覚的理解」って素晴らしい!!ですね。
初めて解りました。
今日もう一回見たい位面白いDVDが有ったんです。
「日本語版で見たい!絶対に面白いから英語版で終わりにするの勿体無い。」
と思いました。
初回は「字幕無し」だったので、二度目は「字幕付き」を探し出し視ました。
今までは「感覚的理解」は、「字幕の有無でかなり左右される」と思っていたんです。
全く関係無い!!!んですね。
理解する事も、楽しむことも。
びっくりしました。
ここまで読まれた方はカナダのお母さんが「感覚的理解」ができずに悩んでいた
人だとはとても思えないでしょうけれど、実はすべて分析して理解しようとして、
それで、苦しんでいたようです。
6/5 28284分(471時間)
5月29日の結論が出た様です。
感覚的理解を会得したのでしょうか?
何を見ても無茶苦茶面白いんです。
「面白かったから勿体無い。日本語で見たい。」
なんて全く感じもしません。
日本語で見ているのと全く同じ楽しさ、
いえ、それ以上ですw
なぜそれ以上なんでしょうか?!
多読的リスニングを始めたのが2月5日です。
このペースを落とさずに、多読的リスニングを続けます。
わたし自身は多読的リスニングを意識して実行した覚えがありません。
(「こども式」でもtadoku.orgでも、その知識や知恵のほとんどは
みなさんが作ったものです。わたし自身の貢献は数パーセント
くらいのものでしょう。これは謙遜ではないですよ。
それがいつかわかる日が来るはず。)
したがって、こうした報告をつぶさに観察して、「をさなごのやうに」
の行く先はどっちだろうか?と考えるわけです。
これからもみなさん、ちょっとでも変化があったら知らせてください。
カナダのお母さんの報告はまだ続きます・・・
今回はあまりにコメントしたいところが多かったので、引用を細かく
区切ってしまいました。こういう書き方は読みにくいという人はぜひ
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