はじめての多読:オススメ!段階別読みもの〈Graded Readers, GR〉

イラスト:slo
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段階別読みもの (Graded Readers, GR) って?

英語が母語でないおとなの学習者向けに作られた「段階別」読みもののことを、総称して Graded Readers (GR) といいます。出版社ごとに独自のレベル設定があり、段階別に使用語彙や文法が制限されています。内容は古典、ミステリー、恋愛、伝記、SF、ノンフィクションなど多岐にわたり、多読向け図書の中でも、図書館や書店などで比較的手に入りやすい本です。

おすすめな読み方、楽しみ方は?

ここではGRの特徴とともに楽しみ方の一部を紹介します。

Tips朗読CDを利用して「聞き読み」をしよう!

GRにはたいてい朗読CDがついています。朗読に引っ張ってもらうつもりで音を楽しみましょう。「≫ 聞き読み」についてはこちらで詳しく紹介しています。

Tips大人向けのストーリーに充実感!

大人向けの内容に最初からページ数も多めなので、多読を始めたばかりのころや、するすると楽しめたときなどは、「読んだ!」という充実感があります。

Tips絵本から児童書への足慣らしに!

児童書を読んでみたいけど、ページ数が多くちょっと手強そう…という方は、長めの読み物への足慣らしに手にとってみてください。

Tipsあこがれの原作ミステリーまであと一歩!

ミステリーにはかかせない殺人事件や捜査、法廷の様子なんて、こども向け絵本には出てこない!ぜひ本格ミステリーの入口を体験してください。

Tips多彩なライナップを楽しもう!

出版社ごとに様々な古典、名作の簡約版や、映画のノベライズが揃っています。各社からそれぞれ同じタイトルで出ている本もあるので、読み比べてみるもの楽しい!

Tips段階が上がるごとに本格的な読書へ!

制限が少なくなるので、どんどん「生のことば」に近づきます。ここからがGRの真骨頂。読みやすさを残したままの世界の名作をお楽しみください。

tips

絵本や児童書のことばにも触れよう!

Tips「飛ばす」ことに慣れる

GRの利点は、学習者向けに「分からないところがないように」書かれているため、学校で習った知識で読め、達成感が得られやすいことです。けれどもその読みやすさに慣れすぎると、GR以外のものを読むときに多読三原則のふたつめ「分からないところは飛ばす」を実行するのが難しくなります。「飛ばす」ことに慣れるためにも絵本や児童書も読むようにしましょう。

Tips絵と音といっしょに

また、GRは一般向けの読みもので使われている「生のことば」への感覚が育ちにくいことがあります。それを補うには、GRと並行して絵本にも触れ、絵や音の力を借りて、やさしいことば(基本的なことば)を身体に貯めて英語の土台を育てることが大切です。

GRしか手に入らない環境の人は……

ご安心を!アニメやドラマでもやさしい言葉は補給できます。また、図書館やインターネットを活用すれば、絵本や児童書は比較的手に入りやすくなりました。下記の記事で利用できるものはないか確認してみましょう。

では、代表的な GR をご紹介します!

Oxford Bookworms

このシリーズには Tim Vicary という人気リトールド作家がいるなど、簡約に工夫があります。名作古典が充実しており、簡約ながらストーリー展開がおもしろく読み応えがあるものが多いです。下のレベルでも子どもの時に読んだ「小公女」「オズの魔法使い」「赤毛のアン」が楽しめ、上のレベルになると、「ジェーン・エア」「嵐が丘」など読み応えのある名作が揃っています。

The Coldest Place on Earth
The Coldest Place on Earth
by Tim Vicary (Author)
南極点到達競争。イギリス探検隊長スコットの日記のなかの‘Great God! This is an awful place!’という言葉は、GRながら感動しました。作者のTim Vicaryの文章は読みやすくて引きこまれます。Vicaryは他にも‘The Elephant Man’などを書いています。(pom)
The Love of a King
The Love of a King
by Peter Dainty (Author)
離婚歴のあるアメリカ人女性と結婚しようとした英国王エドワード8世。「王冠を賭けた恋」として大スキャンダルになりました。映画『英国王のスピーチ』では、この事件を、王位を継いだ弟ジョージ6世の側から描いています。(pom)
Henry VIII and His Six Wives
Henry VIII and His Six Wives
by Janet Hardy-gould (Author)
ヘンリー8世は跡継ぎの王子が生まれないので次々とお妃を変えました。結局娘のエリザベス1世で血筋は絶え、メアリ・スチュワートの息子が英国王になります。スコットランド女王メアリの転落の人生については‘Mary, Queen of Scots’で読めます。(pom)

Penguin Readers

カラーイラストや写真が豊富なシリーズです。レベル2にある、Fly Away Home (映画グース)や Heidi (アルプスの少女ハイジの原作)は絶大な人気です。レベル3以上には、映画の原作簡約版で人気があるものがいくつもあります。
ジャンルが多岐に渡り、ラインナップも多いですが、かつては「黄色い壁」と言われたほどレベル2には当たり外れが多いです。面白くないな…と思ったら、すぐに止めてしまいましょう。ここはわがままに読むことが大事です。

Notting Hill
Notting Hill
by Andy Hopkins (Author)
I’m living in Notting Hill. You are living in Beverly Hills—有名人気女優と貧乏古本屋の恋の行方は?ユーモア満載の同名映画をたっぷり楽しんだ後で本書を読むのがおすすめです。映画の場面が浮かんできて思わずニヤニヤすること請け合い!(あわの)
Billy Elliot
Billy Elliot
by Pearson Education (Author)
映画「リトル・ダンサー」ノベライズ版。舞台は北英の炭鉱町。父と兄が炭鉱閉鎖と戦う中、次男ビリーはバレエに目覚め、成長していきます。章ごとに兄、父、ビリー、友人が一人称で語るので、映画と違った味わい方ができます。(かっこ)
Captain Corelli's Mandolin
Captain Corelli’s Mandolin
by Louis de Bernieres (Author)
ギリシャの島のロマンスもの。読み終わってあまりにおもしろかったのですぐに原作を読み始めました。しかも読後感は同じだった! 段階別読み物は上のレベルほどおもしろいけれど、中でもこれは傑作です。(さかい@tadoku.org)

Macmillan Readers

このシリーズは低めのレベルから古典が多く揃っています。低めのレベルでも読んでみると古典の様子や雰囲気を少し味わうことができると思います。他にも、人気のある The Princess Diariesシリーズやハードボイルド探偵L.A.シリーズはレベルをまたがって作られています。少しずつ色濃くなるストーリーを楽しんでください。
また、文章が短め(シンプル)なのに他のGRに比べて長めの作りになっているので、読み応えを実感できると思います。朗読CDはBGMが豊富で臨場感があります。

Jane Eyre
Jane Eyre
by Charlotte Bronte (Author)
このページ数、読みやすさで長編小説『ジェーン・エア』です。孤児ジェーンが数奇な運命を乗り越え、愛する人と結ばれ物語。当時の階級制度も感じることができます。これを読んで、字幕なしで映画を観てみるのもいいかも。(ココ)
Little Woman
Little Woman
by Louisa M. Alcott (Author)
個性あふれる四姉妹の成長物語。ときに苦難がありながらも、母親とともに出征した父親の無事を祈り、姉妹は仲良く明るく暮らします。この出版社からは、四姉妹のその後を描いた Good Wives もあります。(じゅんじゅん)
The Beginning of Everything Else
The Beginning of Everything Else
(Dawson’s Creek シリーズ)
by Kevin Williamson (Author)
4人の高校生の恋愛や友情を描いた物語。アメリカの人気ドラマが原作だけあって、恋の行方にキュンキュンしたり、身勝手な行動にイライラしたりと、つい感情移入してしまう入りやすさ。シリーズ全4冊。CDもおすすめ。(katobushi)

Cambridge English Readers

ほとんどのGRは原作や映画を下地に簡略化したものですが、このシリーズはすべて書き下ろされたオリジナルストーリーになっています。
初めから大人をターゲットにしたラインナップになっているため、各レベルでミステリーやラブストーリーを楽しむことができます。レベルが上がるごとに登場人物が増え、緻密になっていくストーリーをお楽しみください。
こちらもレベルをまたがりInspector Loganというシリーズがあります。

Inspector Logan
Inspector Logan
by Richard MacAndrew (Author)
Loganは新任の若きinspector。ベテランの部下とともに冷静に事件を解決していきます。警察ミステリー。全30ページ。ミステリーが好きだけれど、クリスティなどの原書を読むのはまだハードルが高いという方にはお勧めです。(slo)
Two Lives
Two Lives
by Helen Naylor (Author)
一組の男女の若い頃と50年後の話です。若い頃の純粋な恋。その恋は引き裂かれ、別々の人生を歩む二人。50年後に再会し、年月を超えても変わらぬ愛情を確認した二人は・・・。平易な英語で愛を語ってくれます。(ms.mikan)
All I Want
All I Want
by Margaret Johnson (Author)
人気小説「ブリジット・ジョーンズの日記」を彷彿とさせます。愛すべき女主人公の考えていることは、どんな年代の女性でも共感できるかも。軽いラブコメだけど主人公の成長ものでもある、なかなかお得なお話です。(かっこ)

Scholastic ELT Readers

ここで紹介しているGRのなかでも、Scholastic ELT Readers は一番新しいシリーズになります。GR特有の細かい制限があまりされておらず、他にはないエンターテインメント性があるのが特徴です。人気のある映画や海外ドラマシリーズのタイトル群が目を惹きます。作品からの写真がふんだんに使われ、ぜいたくな作りになっています。

Merlin: Arthur and Unicorn Book
Merlin: Arthur and Unicorn Book
by Lynda Edwards (Author)
アーサー王物語をもとにした魔術師マーリンのドラマの1話。森で狩りをしていたアーサーがユニコーンを殺してしまい、呪いにより国に災いが起こります。アーサーの前に見知らぬ老人が現れ、試練に合格したら呪いが解けると告げます。(RuRu)
Amazing Grace
Amazing Grace
by Steven Knight (Author)
18世紀イギリス。奴隷解放へ向け活動する政治家ウィリアム・ウィルバーフォースの半生を描く。賛美歌アメイジング・グレイスは劇中で歌われます。朗読CDではそのメロディが流れ、巻内にある付録で歴史を知ることができます。(じゅんじゅん)
Sherlock: The Hounds of Baskerville
Sherlock: The Hounds of Baskerville
by Paul Shipton (Author)
シャーロックは “父親が殺された場所で「ハウンド(犬)の足跡」を見つけた” という依頼を受け、ジョンと調査に向かう。英BBCドラマ『SHERLOCK』シリーズ2・第2話。本編に比べ控えめながらも二人の掛け合いは健在。(ココ)

Black Cat / Green Apple シリーズ

ここまで全て英語圏の出版社でしたが、これはイタリアの出版社によるGRです。ヨーロッパの出版社だけあり、英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語でのラインナップがあります。
こちらも Scholastic ELT Readers 同様に細かい制限はなく、古典が多くあるシリーズです。おすすめは朗読CDです。男性、女性、複数人の朗読、BGMまであり、まるでラジオドラマを聞いているかのようです。知っているストーリーから、聴いて楽しんでみるのもおすすめです。

Peter Pan
Peter Pan
by James Matthew Barrie (Author)
ウェンディたち三姉弟は、自分の影を探しに来たピーターパンと出会いネバーランドへの冒険へ。ラジオドラマさながらの音楽、効果音があり、ピーターパンをはじめ、こどもたちの声は本当にこどもたちが演じていて楽しい。(じゅんじゅん)
Hamlet
Hamlet
by Derek Sellen (Author)
シェイクスピア四大悲劇の一つ。ハムレットは父の亡霊から、自分を殺したのは、母と再婚し王位を継いだ叔父だと告げられる。苦悩しながらも復讐を果たす。時代を越え、演じられている戯曲。挿絵が多く、流れを知るにはおすすめ。(ココ)
Oliver Twist
Oliver Twist
by Charles Dickens (Author)
ご存知、文豪ディケンズの古典。孤児オリヴァーがたどる波乱万丈の物語。おいしいところ取りでコンパクトにまとまっているので、ハラハラドキドキ、続きが気になって止まりません。音源も聴きやすく、当時を知るミニ読み物も随所にあって楽しめます。(Owly)