今年のはじめでしょうか、「音は落ちる」というタイトルの記事をいくつか書いたのは。
もちろんそれは「チャーチル・マーティニの法則」と関係があったわけです。
それで、今回はいよいよ新しい花火を打ち上げることにして、
「音が落ちる」
落ちた音を本人は言っているつもり(チャーチル・マーティニの法則)の実例をお目に、
いや、お耳に・・・
まずこの録音を聞いてください。0.3秒くらいの短いフレーズです。
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もし音が聞こえなかったら、QuickTime という再生ソフトをダウンロードして
インストールしなければいけないかもしれません。
そのあたりになると、よくわからないですが・・・
で、上の音は I’ll call. と言っていたのです。
でも、実際には 「 ア カ 」としか聞こえませんよね。
そこで、教訓!
* 音は落ちる!
何度聞いても、 I は アイ とは聞こえないし、will の短縮形は聞こえないし、
call の L も聞こえませんね。
((((( したがって、ディクテーションは意味がないことになります。
((((( どんなに懸命に耳を傾けようと、L の音はそこにないのですから・・・
* チャーチル・マーティニの法則
でも言っている人はちゃんと I’ll call. の全部の文字を声にしている つ も り !
* 落ちているのにわかるのは 状況 があるから
これは多読村宣言(草案)の中で提案した 「部分より全体」 の実例ですね。
全体がなければ部分は意味を持ちません。
この場合、録音の最初でかすかに聞こえる電話の音とか、
数秒前の会話で電話すると言っていることとか、
そういった状況があってはじめて、聞いている人に I’ll call. と言っているように
聞こえるのですね。
((((( ディクテーションで、もし I’ll call. を書き取れたとしたら、
((((( L の音が聞こえたのではなく、状況から L の音があると思い込んだ
((((( のですね。
実はもう一つ、
* 音は無限に変化する
ということも教訓としたいと思いますが、
それは今後の記事で積み重ねて行きましょう。
この録音では L の音はまったく聞こえませんでした。
一方で、Lights out! などと叫ぶ時の L ははっきり、くっきり聞こえます。
そして Lights out! の <L> と I’ll call. の <L> の間には
<強くはっきりした L> から <弱い L> を通って、
<まったく聞こえない L> まで無段階に変化する L の音があります。
このことは上に書いたように、多読村宣言に関わる大きな問題です。
いわば 「神は細部に宿る」 とでもいいましょうか。
L の音の問題を一つから、言葉の成立そのものという大きな問題が
見えてくるのです。
ああ、このまま書いていくと今晩は眠れなくなります。
「音は落ちる」のタイトル名で、実際の録音を例に挙げながら
改めて先を続けることにしましょう。
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