おなじ話題の前回の記事で
We are cooking up something big here.
という台詞を採り上げました。
それで、全体に非常に音が落ちているというので、みんなで言えるかどうか
やってみようということになったのですが、
わたしがこの台詞を採り上げた理由は something でした・・・
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something は 「サムスィング」でいいのだろうか?
いや、 th のことを言っているのではありません。
(むしろ リズムのことを言っているのです。)
something は知っている人が多くて、中学校以来のなじみという人も
少なくないでしょう。
では、この見慣れた語は実際の会話や講演や朗読の中で、
どう聞こえているのでしょう?
聞き読みの場合は something という文字を目にしながら音を聞くので、
something を作っている一つ一つの音を全部聞いていると錯覚しやすいと
思われます。
ところが、実際にはいろいろな音に聞こえます。
* まず一つ一つの音がはっきり聞こえる場合:
たとえばビートルズの曲で Something in your eyes … ではじまる
なんとかという曲がありますが、この場合は
s も o も m も th も i も ng も全部聞こえるし、
たしかに言っていると思われます。
* 中間くらいには 三分(さんぷん) と聞こえる場合があります。
これをそのまままねするには、「プン」の「プ」で唇を閉じたら、
「ン」まで唇を開きません。「プン」は息を鼻に抜いて言い終わります。
サン(プン)
(実はこの 「息を鼻に抜いて終わる」ことは非常によくあるので、
いつかその話だけをしましょう。)
* そしてもう一方の極に、「スm」 としか聞こえない場合があります。
この場合はいくら耳を澄ませても、thing は聞こえてきません。
ではわたしは We are cooking up something big here. を
なぜそう聞いたのか?
それは単にわたしがこういう表現を知っていたからです。
ディクテーションやリスニングの「トレーニングやドリルや反復練習」を
たくさんやって、 thing が聞こえるようになったわけではありません。
そもそも thing は声にしていないのですから、「聞こえる」はずがないのです。
(ただし、something という文字を見ながら、あるいは意識しながら聞くと、
thing も言っているとしか聞こえません。
文字の影響はそれくらい強いので、
だから、聞き読みシャドーイングは気をつけないと音読と変わらなくなり、
カタカナ音で延々と朗読することになります。)
cooking up というような表現にいままでに何度か遭遇していて、
(どこで遭ったのかはまったく覚えていませんが)
「ダメージ」の中のあの場面で話の流れから thing を「聞いた」のでしょうね。
実際には 聞こえないところを埋めた に近いでしょう。
ところで、
* 最後の極の少し手前に蘊蓄オフの次の日に「独眼龍」さんが語った、
smthng があります。
「母音がないように聞こえる」
というのです。
「ダメージ」というテレビドラマのSeason 1 Disc 1 をお持ちの方は
ぜひ smthng と聞こえるかどうか確かめてください。
そして、どう聞こえたか、メール・フォームで知らせてください。
なお、一番大事なことは上に書いたように「発音」できるまで何度も何度も
練習すること・・・ではありません。
一方の極の 「 s o m th i ng を全部声にする場合」 から
もう一方の極の 「スm」としか聞こえない場合」 まで、
something の実際の音は無限のバラエティを持っています。
無限の種類を全部練習するなんてできるわけはないので、
朗読や映画やドラマや実際の会話の中で出てくる 文 をそのまま繰り返すことが
いちばんの近道と思われます。
そして繰り返すためのいちばんの近道はシャドーイングでしょう。
そして、日常生活の中で ながらシャドーイング の時間を持てれば、
それがいちばんの近道となりそうです。
なお、たとえば L の音のさまざまな変化は電通大の学生の場合、
20時間くらい聞き読みシャドーイングをすると、3つくらいは言い分けるように
なるようです。(本人は言い分けていることを意識していません。)
これは多読とおなじで 大きな部分から小さい部分へ という原理ですね。
なかなかすぐには納得できない話だろうと思うので、
これからも折に触れて書いていきます。 お楽しみに!
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