わたしが大学を卒業したのは1968年の三月でした。
その直前、1967年から青山にある「草月アートセンター」で「アニメーション・
フェスティバル」がはじまりました。わたしはいまもいちばん親しい友人二人と
足繁く通いました。
卒業してまもなく全共闘運動がはじまりました。
わたしは完全なアウトサイダーで、大学院の友人たちがこぞってデモや集会や
団交に明け暮れる中、ひたすら「沈潜」しておりました。
(沈潜するとは、いまでいえば引きこもるに近いでしょうか?
だれもそうは思わなかったでしょうが、わたしの「鬱の時代」でしたね。)
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で、「インターネット礼賛」とどう関係するのか?
ま、いそがずにお聞きください。
その沈潜の時代に(わたしの高校時代からの友だちが聞いたら腹を抱えて
笑うでしょうね)ポール・グリモー (Paul Grimault)というフランスの監督が
作った「王と鳥」というアニメーションを見たのです。
当時、デモにも行かず、集会にも出ず、徹夜の団交にそっぽを向くというのは、
結構大変で、まわりの院生から哀れみの目で見られたり、直接文句を言われたり・・・
誰も彼も政治的だったあの時代に、(「ノンポリ・ラジカル」という言葉さえあった)
庄野潤三の「夕べの雲」で満足していたわけで、まあ腰抜けというか、
骨がないというか、能なしというか--まあ、「沈潜していた」としか言い訳は
ありませんね。
失礼しました。いくらなんでも昔語りが過ぎました。
「王と鳥」はそういう時代にわたしが見て、その中のロボットが、機動隊の列と
見事に重なったのでした。
思い出はともかくこのアニメはすばらしいです。
ディズニーとはまったく違います。
ディズニーはたくさんの人に気に入られようとしているとすれば、
(そしてそれに成功していますが)
ポール・グリモーの第一の観客は自分自身のような気がします。
そして、センスの良さが言葉に尽くせません。
ま、いろいろ書くよりも、見ていただきましょうか。
http://www.youtube.com/watch?v=2Sg6qzpa_wc&feature=related
全9部にわかれています。
ポール・グリモーのアニメ作品がこんなに簡単に見られるなんて、
インターネット万歳!
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