多読仲間にさまざまな人がいるように、授業といってもさまざまな学生がいます。
それは一斉授業ではなく、ほぼ完全にひとりひとりが自分のいいように英語を
勉強していくからです。わたしはひとりひとりが選んだ道について助言するだけです。
だから授業中にTOEICの問題集をやる学生もいます。
1年半そのまま何も言わずに来ましたが、この春休み中についに
「多読的アプローチ」に目覚めたかのようであります。
新学期の授業がはじまるとすぐに、わたしに報告に来てくれました・・・
***********************************
以下に紹介するメールはHTRくんから来ました。
この人は英語に熱心で、英語で話をしに研究室に来ます。
また「お勉強」にも非常に熱心で、かなり過酷なノルマを自分に課して、
それを着々と実行してきました・・・これまでは。
授業の前で発表するのは恥ずかしかったので、メールで報告させていただきます。
春休みの間のことですが、毎日最低1本はアニメを見てました。
アニメを選択した理由は時間も短いし、日本語版も英語版もyoutubeで探せば大体あるためです。
本編は19分ぐらいなので続きが気になったら続けて見るなど、気軽に見てました。
そのHTRくんがなんとアニメに目覚めた!
・毎日1本見続けている変化
日本語に訳す感覚も減り、似たようなシチュエーションが何度もでてきたため、こういう風に言ってるかなというのが日本語を通さなくてもわかることが多くなったので英語→日本語→理解が英語→理解に少しですが変わったのだと思います。
ちなみに強制感はありません、思い立ったら見ようという感覚でした。
なんでもきっちり理解したい人だったようですが、徐々にほぐれてきたのでしょう。
日本語に訳す感覚が減ったきたとは朗報です。
最初はアニメの日本版(47話くらい)を一通りみて、次に同じ作品の英語版を見てました。
英語版で見るときはどうしても最初に日本語版を見たせいか、日本語が頭に出てしまって無意識のうちに訳している感覚になってました。
しかし、見ているうちにだんだん訳している感覚が減っていったきがしました。
次にこの作品の英語版をアップロードしている人のリストに違う作品の英語版があったので日本語版は見ずにみました。
多少は日本語に訳している癖、わからないところがありますが、だいたいわかったので見る分には支障はあまりなかったです。
どちらも日常生活に近い設定のものです。
まだまだ未熟者で学ぶ事は多々ありますが、色々なシチュエーションでこういう風に言うのかなとか作品を通して思いました。
先生の言う興味のないものは見なくていいと言うのがなんとなく分かった感じがしました。
つまらなかったらこれだけ継続していないと思います。
まだまだ面白いのがたくさんあると思うのでこれからも毎日見ていこうと思います。
以前はHTRくんにはおもしろい、おもしろくない、という基準はなかったようです。
「この対策本をやるとTOEFLには有効らしい」といった基準で参考書を選び、
それを「こなしていく」人でした。それだけにこの変化はわたしにはとてもうれしいの
です。
ここからは「多読支援」をする人向けです。すなはち「多読支援は我慢」!
わたしはよく1000人に向かって言うときには自信を持って原則論を展開する
けれども、ひとりの人に助言するときはどう言っていいのか手探りだ、
というようなことを言います。
HTRくんの場合はそのかなり極端な場合です。
HTRくんがこんな風に「いい加減な」やり方を楽しむようになるまで、2年待ちました。
その間、日本製のTOEFL対策問題集をやるなんて無駄だよ、といった原則論は
一度も口にしていません。
言ってもHTRくんの心には届かないと感じていたからです。
なぜかというと、HTRくんは壁にぶつかっていなかったからです。
壁にぶつかっていない人には非常識なやり方は耳に入らないし、
多少入ったとしても踏み切ることはできないのが普通です。
HTRくんは幸い壁にぶつからずに、多観の楽しさに目覚めたようです。
これからどうなるのか、また少し離れたところから見守ります。
そしてなにか変化があったらお知らせします。
最近のコメント